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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第五章 異世界総力戦偏

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第126話 助け合う心

「衝撃波、来ます!」


 第7航行群旗艦のオペレーターが言うや否や、ズシンという衝撃波が空間全体に波打つように押し寄せた。


「第二波、来ます…… 続けて、第三波です」


 微かに輝いた光点は、とてつもない破壊の証であると同時に、あるポイントの消失を物語っていた。


「大佐…… 杉本一洸の機体の反応が、消失しました」


 衝撃波による振動から身を支えるため、コマンドブースの背もたれに手をかけていたホワイト大佐は、一瞬表情を凍らせた。


「機体信号の再確認をしろ…… エイミー少尉、一洸に連絡だ」


 エイミーは、了解を言う前に一洸に通信を試みた。


“一洸…… 一洸、応答して、一洸……”




 オレはミーコとしっかり抱き合いながら、エイミーの通信を受けた。


“一洸、応答して、一洸……”


“……連絡遅れましたが、今あの敵機械惑星を排除したところです。

こちらの被害は…… 提供していただいたラウンドバトラーを破壊されてしまいましたね”


“バカ、あんた生きてるのよね…… もぅ”


 オレはエイミーの普通の女の子らしい声を初めて聴いた気がして、少し嬉しかった。


 ミーコが、話しているオレの唇を塞ごうと躍起になっている。


“エイミーさん、もう少ししたらすぐ連絡します、今ちょっと後処理にかかってまして”


“大変なの? 手を貸すわよ”


 オレの唇はミーコに完全に奪われてしまい、その先を話すことが出来なかった。




「未知の知性体デバイスの破壊映像、出ます」


 第7航行群の技術スタッフが、司令室のホワイト大佐以下、尉官たちに確認できた機械惑星破壊の状況をモニターで説明している。


「弾跡反応からわかる限りですが……

あれは、光子エネルギー弾です。

それに、量子魚雷も。

同時に成分不明の実体弾が複数種類、粒子ビームからの制御で収束されて放たれています。

どういった制御方法なのか、エネルギーのコントロール方法も不明です」


 彼の説明が、それ以上続くことはなかった。


「現在の、我々の技術であれを再現するのは…… 不可能です」


 ホワイト大佐の唖然とした表情、今の彼はおじさんなんだろうか、それとも……


 エイミーは、大佐の横顔を心のファインダーに収めていた。


 一洸、やったわね…… 

 あなたのせいで忙しくなりそう。


 でも次のゲームでは、絶対負けないわ。


 エイミーは、誰にもわからないように不敵に笑った。




“一洸、忙しいところ度々ごめんなさい。

ネクスターナルから公開通信が入っているのよ。

あの攻撃の立役者である、あなたの所在を確認して話がしたいそうなの……

一洸…… ね、聞いてるの?”


 しばらくして、またエイミーからの通信だった。

 内容からすぐ応答が必要なようなので、オレはしがみつくミーコを抑え込んで、返答した。


“わ、わかりました、今大丈夫です”


 公開通信か。

 みんな聞いているわけだな、いいだろう。




“イチコウスギモト、先の6734G4H救出の件では大変世話になった、ユニットを代表して深く感謝を申し上げる”


“いえ、当然のことをしたまでです。

大事に至らなくてよかったです。

先に攻撃を受けて破壊された艦は、残念ながら救えませんでした”


“その心配には及ばない。

我々ネクスターナルは、意識媒体のバックアップを常に走らせているので、組織体が物理的に消滅しても、本質的な死に至ることはないのだ”


 なるほどそういうことか。

 だとすると、今回の戦闘も行方不明状態のアールも意識媒体は本体に保存されているということか。


 色々凄すぎだなネクスターナル。



“イチコウスギモト…… あなたは、本当にオールドシーズなのか。

いまの質量攻撃、我々ネクスターナルの持ちうる常識では理解不能だ。

一体どうやって……”


“話すと長くなりますが、これも多様性の一つです。

先ほどあなたがたが見た光は、多くの個性を持った仲間たちとの協力の成果、一つの形に過ぎません。

オレ一人の力ではとうてい成しえない成果なんです”


 ネクスターナルは、沈黙してしまった。

 同時に連邦も同じく押し黙ってしまう。


“手を取り合える部分を、少しづつ増やしていけばいいと思いますよ。

だって、オレたちは人間じゃないですか”


 ネクスターナルも連邦も、黙ってオレの発言を聞いてくれている。

 オレは続けた。


“……ある人の力が、この成果に大きく関わっています。

今その人の名前を言うわけにはきませんが、あなたたちにとって、心強い味方となる人です。

その人の力なくして、あの横暴な連中を退けることは出来ませんでした。

彼は失われた文化を感受することを希望しつつ、長い年月を過ごしてきました。

ネクスターナル、その生き方が間違っているなどとオレが言うことは出来ません。

オレは人間です、人の多様性や個性は、人の数だけあるということ、これくらいはわかっているつもりです。

人類の…… 人間の形がいくつかあっても、いいと思いますよ”



 高位知性種、奴らはそう言った。

 この銀河系において生物としての形態を捨て、精神生命体としての究極の状態を得た存在。


 あの機械惑星、恐らくはまた現れるであろう。


 横暴な上位存在を自称する彼らがやっていることは、ネクスターナルがオールドシーズに押し付けていた考え方と、そう大差はない。


 オレは、連邦とネクスターナル双方に対して語りかけた。


“我々は人間です。

姿、形は変わってしまっても、その心は、人の心は失っていない。

それは理解し合い、助け合う心です。

私はあなたたちの生きる時間の人間ではありません。

ですがその心は、私の生きた20XX年の人たちとなんらかわらないことがわかりました。

もちろんあの時代でも争いは絶えませんでしたし、戦争もありました。

ですがそんな中でも、互いの多様性を認め合って、生きていこうという人たちに支えられて、あの時代まで脈々と種を保存してきました”


 すすり泣く声だろうか。

 なにか、掠れたような声がかすかに聞こえたような気がした。


 オレは続けた。



“今、私たちには共通の敵が生まれました。

人間は手を取り合って、この難局を乗り越えなければならないと思います。

お互いの主張はあるでしょうし、譲れない部分もあるでしょう。

多様性を認め合って、手を取り合える部分は協力していきませんか。

数百年前の、ただのちっぽけな人間にすぎない私ですら気づくのです、あなたたちがわからないはずはない”


 繋がっているコミュニケーターから、なにか熱い想いのようなものが伝わってくる。

 言葉にならないそれは、とても機械が発するものだとは思えなかった。


“……オールドシーズイチコウ、連邦の若者よ。

我々ネクスターナルとオールドシーズは、互いの主義主張により人の道を岐れて久しい間柄だ。

君の言うことはもっともだ、我々もそれはわかっている。

君の意見を受け入れる用意も、素地も、またその心も、私たちは持っているつもりだ”



「私も…… 多様性の一つなんだよね」


 涙ぐんだミーコが、呟くように言った。


 オレは返答するように、再び彼女をしっかりと抱きしめた。


【 恐れ入りますが、下記お願いいたします 】


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