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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第五章 異世界総力戦偏

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第125話 ミーコとリロメラの光、量子殲滅禍

 オレの影が操る愛機は機械惑星に制御され、身動きのできないまま敵に引き寄せられていた。


 ミーコの機体のサブシートから見る360度スクリーンは、まるで目の前に展開する現実の如く、捕縛されていく状況をオレに見せている。


「おにいちゃん…… 助けてあげたいよ。

あのおにいちゃんも、おにいちゃんに変わりはないんだし」


 オレの影が乗ったバトラーは、トラクターネットに縛られ、全く自由を奪われてしまっている。


 自分の分身とはいえ不本意極まりない捕縛を受けているのは、複雑なものがあった。



 機体全体をスキャンされている。


“スキャンしているな。

自爆機能を検知しているはずだ”


 アールの動じない声音は、オレを少し安心させた。

 機械惑星は外郭のユニット内部へ、オレの影が搭乗した愛機を収納し始める。


“どうやら、入れたようだ……”


 アールはみんなに聞こえるように言った。


 中にいるオレの影が魂意鋲をデバイスの一部に打つことができれば、この第一段階は終了する。


 通信が切られる前に、映像を確認できているタイミングでそれをやらなければならない。


 愛機のバトラーに打つのでは不完全だった。

 分解されてしまえば、恐らくは有効性も失われる。

 検証はしていなかったが、可能性は大であった。


 まだ通信はきている。

 分解するための触手のようなものが降りてきた。


 固定されている機体に近づいてくるタイミングでオレは胸部ハッチを開けて、その触手を受け入れた。


 それは向こうから触れてくる。

 オレの影は静かに、触手に魂意鋲を打つ。


 そこで映像は切断された。




 しばしの沈黙があったが、オレは自分で声をだしていった。


“……上手くいった”


 この場でそれを言えるのはオレだけだろう、誰も何も声を発しなかった。




 ミーコの機体に同乗したオレは、ミーコのすぐ後ろにあるサブシートから、スクリーンを見ている。


“ミーコ、ポイントまでこちらの指示通り進めばいい。

この状態のままなら、遮蔽している機体が気づかれることはない”


 アールが伝えたポイントは、もうすぐだ。




 ミーコの顔は、後ろのサブシートにいるオレからは伺えなかった。


 ポイントに到着するまでの間、彼女の静かな息遣いを感じながら、オレは静かにその時を待った。


「……おにいちゃん、おにいちゃんの影、死んじゃったんだよね」


 ミーコが、思いつめたように語り始めた。


「あれはおれの作った影なんだ。

意識はあるけど、オレと同じ考えをもって動いてる。

死んだのかもしれないけど、ここにオレがいる限り、また作れるんだ」


「でもおにいちゃん…… 死んだんだよね。

あたし、助けたかった」


「ここにいるからいいじゃないか」


「おにいちゃんがいない時のために、あたし用のおにいちゃん作ってよ……」


 何を言い出すのかと思えば。

 冗談なのかと思ったが、この子は本気なのだろう、縋るように続けてきた。


「ミーコ…… 本物じゃ駄目なのか?」


「一緒にいられない時のためのおにいちゃんだよ。

いるだけでいいから、別になにもしなくていいから」


 泣いているのか。

 その声は少しかすれていた。



 アールの指定した空域のポイントに到着した。


 スクリーンの前面には3個の光点があり、2点の同一線上にミーコの機体は位置している。


“一洸、いいぞ”


 アールが伝えてくる。

 オレは姿勢を正して深呼吸をすると、皆に伝えた。


“リロメラ、ミーコ、アンナ、レイラ、そしてアール。

機械惑星の一つに次元窓を開けて攻撃する。

爆発がはじまったと同時に閾影鏡を発動、残りの2体を一気に殲滅する”


“““““了解!”””””




 オレは触手の絵柄を思い出し、静かに次元窓を開いた。

 開けた次元窓は、おそらく数キロに及ぶだろう。

 ジェネレーターからの魔素が自分を包む感覚がはっきりと感じられた。


 影が打った魂意鋲は、オレに手を差し出している。


 閾影鏡を発動、オレは叫んだ。


“量子殲滅禍6!”


 開かれた6個の魔法陣から撃ちだされたアールの量子魚雷は、機械惑星の内部に放たれる。


 量子の光は、恐らくは直径数百キロにもなる機械惑星を内部から溶かし始めた。


 内側から光を溢れ出させる機械惑星は、弾けるように砕け散った。




「……ミーコ、いくよ」


 オレはサブシートから離れて、ミーコに折り重なるように自分の手を重ねてコンソールに触れた。


 ミーコの体温と胸の鼓動が、彼女の背中から直接伝わってくる。


 オレはミーコの機体から供給される魔素を全力で吸収し、36個の閾影鏡を展開した。


 量子リアクターの鼓動を感じたのは、この時が最初であった。

 それは唸るというより、低く鳴動するような静かな響き。


 恐らくは数十キロになったであろう、閾影鏡の魔法陣36個が宇宙空間に広がる。


 オレはミーコの身体にピッタリと自分を重ねて、少し汗ばむコンソールを強く握った。



“量子殲滅禍36、撃てぇーっ!”



 リロメラの光子、アールの量子魚雷、アンナの金剛氷、レイラの黒硬鏃、ミーコのレーザーが、それぞれ6個の魔法陣から集約して放たれた。


 光の爆散をした一つ目の機械惑星を掠めて放たれたその破壊エネルギーの束は、宇宙空間を削るように、2つの機械生命体へ向かって突き進む。


 手前にあった機械惑星は中心を破壊エネルギーに貫かれ、内部崩壊を始める。


 貫いた破壊エネルギーは、さらにその先にあった機械惑星に向かって進んだ。


 回避行動であろう、3個目の機械惑星は体動を始めるが、瞬く間に発生した圧倒的な破壊の暴威を前に間に合わなかったようだ。


 破壊エネルギーはまるでリンゴを齧るように機械惑星の一部を爆散し、高位知性種の有する最後の機械惑星は、その営みを停止する。




「……お願い、壊れてもいいから、思いっきりギューッとして」


 オレはミーコに従った。

 言われなくてもそうするつもりだ。


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