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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第五章 異世界総力戦偏

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第108話 副次的効果

「議長…… ガイアス議長っ」


 庁舎の防護区画にある、指揮所の魔伝スクリーンを呆然と見つめる、帝国評議会議長ガイアス。


 ガイアスを呼ぶ秘書の声は、今の彼の心には届かない。


 秘書が語り掛けても、ただ固まったように赤褐色の化け物であるネクロノイドが、3体の戦闘ゴーレムと勇者カミオの魔法によって殲滅される様を見つめ続けるばかりである。



 なんという破壊力であろうか……



 天空から仕掛けられる光の粒子の帯、光の弾丸、そして金属とおぼしき弾丸、それらが混然一体となって化け物を粉砕し続け、ある時は串刺しにし、またあるときは焼き払い、そして跡形もなく消し去っている。



 ゴーレムが空を飛ぶだと……



 プルートニアのベリアル公、そしてあのカミオと親しくしているという冒険者一洸の力によって導かれた戦闘ゴーレム。


 その力は、異形の化け物と戦うためだけに協力するという約束……



 こんなふざけた話があろうか。



 あれを、あの戦闘人形を操る力と技術があれば、一体どれだけの問題が解決すると思っているのか、素人どもには決してわかるまい。


 国家が潤うのだ、戦力も整えられるし、予算の配分もそれまでとは全く違ったものとなる。


 国威発動、挙国一致で戦力増強を図り、ゴーテナス帝国は再び世界一の強国として圧倒的な力を誇示することができる。


 くそっ、どうして冒険者風情が、そんな伝手と力を持つことが出来て、独占までしてしまうのだろうか。



 なぜ、なぜ私ではないのか。



 私こそ、この国の将来と、来るべきエネルギー危機を憂いて先手先手で動いているというのに。



 なぜだ、なぜ……



 ガイアスは口元を震わせながら、すぐには言葉を発することが出来ずに、秘書の言うことなど耳に入っていない様子であった。


「議長、セトレーギアの国務大臣より通信が入っていますが、いかがしましょう。

議長……」


 秘書がそこまで言って、やっと我に返ったガイアスは、それでも狼狽した様子を隠そうともせず、傍らにあった飲み物を飲み干した。


「こっ、ここへ回せ」


 ガイアス議長は、セトレーギアの国務大臣からの通信を受け、さらに驚くこととなる。



    ◇     ◇     ◇



 その日グラートは、急遽駆り出された保安部隊としての業務に、休む間もなく動いていた。


 突如街の外れに現れた粘体の化け物は、途方もない大きさで大地を覆いつくし、街区を飲み込まんと迫っていた。


 避難民の誘導と警備にあたる保安部隊、一般の冒険者も駆り出されていたが、とても人手が足りたものではない。



 大通りを着の身着のまま避難する市民たち


「出てくるときにさ、見ちゃったんだよ、空飛ぶ巨人みたいなのが、細かい光の矢を空中から飛ばしたりして、あの化け物を消してるんだ」


「うちの所からは花火みたいなのしか見えなかったけど、巨人が空飛んでたのか?」


「そう、物凄く早い動きでね、鷹でもあんなに速くは飛べないよ、まるで空を転移してるみたいだった」


「そりゃあすげぇ」


 グラートの傍らを歩く市民の声が入ってくる。



 空飛ぶ巨人……


 空飛ぶ巨人が光の矢を細かく飛ばす、転移するように速く、か。

 まるで一洸たちのところの女の子の魔法みたいだな。


 いや。


 ひょっとしたら、そういうことなのか。



 一洸、派手に活躍してるわけだな。

 また一緒に仕事したいよな、とにかくあの子達とんでもなく可愛いし。


 グラートは、避難誘導に支障がない程度に、口元だけ笑みを浮かべた。



    ◇     ◇     ◇



 あたしは化け物の残骸がないか、確認しながら飛んでいた。


 アンナちゃんもレイラちゃんも、ここからは見えない。


 アールの光玉で穴を開けた後ほどじゃないけど、大地はぐちゃぐちゃの状態になってる。


 これに乗ってると、本当にいくら魔法使っても疲れないし、身体の内側から元気が溢れ出てくるみたいな気がする。


 ネフィラ先生やアールが言っていた通り、魔素の供給に限界がないって、ちょっと凄すぎるかも……


 とにかく身体が元気になり過ぎて、もっと暴れたい感じ。


 おにいちゃん、早く会いたいな……


 理由なんていいし、みんなが見ててもいいから、思いっきり抱き着いてやろう。


 だって、そうしたいんだし。


 身体の中が熱くって、あたしじゃどうしようもできないよ……


 おにいちゃん……



    ◇     ◇     ◇



“もうこのぐらいでいいかな……”


 私は空から見る限り、あのネクロノイドの身体の残骸は残っていないのを確認している。


 今回は、自分にとっては大きな収穫だった。


 私の氷魔法、細かい霧状にして撃ち出した金剛氷は、ミーコちゃんの光魔法のように化け物を消し去れることがわかった。


 魔素を限界なく供給できるって、私の身体への負担があるかと思ったけど、すごく調子がいいし、不必要に元気になり過ぎてる感じがする。


 いけない子になっちゃいそうな、そんな気も少しするし……


 あとでネフィラさんとアールに相談してみるか。



    ◇     ◇     ◇



 どうしちゃったんだろう……


 私、胸の中がすごく熱い……


 まるで、身体の中に太陽があるみたいな、そんな感じ……


 気持ち悪いわけじゃないけど、すごく違和感がある。


 ミーコちゃんには悪いけど、すごく、会いたい、あの人に……


 いや、会わなくても、近くに、ちょっと離れたところでもいいから。


 私、今日も少しは、あなたの役にたてました、よね……


 一洸さん……


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