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【ゲームブック】望遠鏡を覗いて覗かれて、それが来た

作者: RAMネコ

00:フィッシュハートは初めての星見に胸を踊らせ望遠鏡を覗き、妖精ザーヒダーンを呆れさせた。空の果てを見るのだ、許可を何年も待った。


01:妖精は心配に飛ぶ。「気をつけてね」注意深く、黒紙に針で穴を刺したような輝く星を見た。巨大な怪魚が泳ぐ:02、銀河の瞳である:03


02:「フィッシュハート!」小さな妖精に望遠鏡を塞がれる「見ちゃダメだ」大きな声に驚き、怒るよりも困惑があった。星以外に本当に……:04


03:それはフィッシュハートを真っ直ぐに、心まで見つめてきた。遥か数千億光年から知覚されている。訓練で知っていた。見てはいけないものだ:04


04:妖精ザーヒダーンの半分閉じた目が監視に光る「危なっかしいなぁ」気が気ではないようだ。「見過ぎないで。認識がゲートを開くんだ。怪物を呼んじゃう」:05


05:五月蝿い妖精を脇に、フィッシュハートは今見つけたものを考えていた。星見は危ないと口を酸っぱく言われてきた。見たら、見られるのだ。宇宙にいるのは星だけではない。


06:「考えちゃダメ!」ぺチリ、小さな手が小さな頭を叩かれた。「いつもこれだ!」フィッシュハートの口が不満に歪んだ。「ふん、考えるとこっちから繋がるんだよ」


07:天体観測は何よりも危険な行為だ。人類を宇宙から追い落とした存在が、見下ろしているからだ。フィッシュハートはそれでも気になった。


08:フィッシュハートは面白くない。「本当に宇宙には戦艦よりも大きい怪物がいるのかな」:09、「ザーヒダーンは人間が消えなくちゃいけなかったものは怖いのか」:10


09:「人の宇宙で昔、恐ろしいことがあったのは間違いないよ」人工妖精ザーヒダーンの言葉にフィッシュハートは黙る。母より縁が深い相手に言われては:11


10:「はぁ……恐れと恐怖の混同、子供だなぁ」むっ、としたが飲み込んだ。フィッシュハートハートは彼女に逆らえない:11


11:遮光された望遠鏡は光を取り込まない。だがフィッシュハートは接眼レンズを名残惜しく覗いた。暗い闇だけの筈が『目』があった。


12:驚き「うおぉっ!?」それは未だに望遠鏡の中に残っていたのだ。フィッシュハートが怪魚を見つけているなら:13、銀河の瞳ならば:16


13:怪魚というにはあまりに『魚ではない』それに見つめられている。二人だけで全てが無いようだ。目を逸らす:14、視線の檻に囚われる:15


14:フィッシュハートの瞳は逃げた。動悸が激しく、ザーヒダーンの心配が顔に浮かんでいる:16


15:目を離せない。燃えるような氷が、そこに「フィッシュハート!」妖精が光を取った:16


16:「いけないね」突然とフィッシュハートは頭を撫でられる。銀星の魔女だ。呪いのかかった彼女の掌が瞳を塞ぐ。


17:魔女は「星を見つめてはいけない」冷たく柔らかい指でまぶたをおろした。「もっと気をつけなさい。星に心を許しても良いことは一つもないのだから」


18:暗い影が瞳の裏に空を作る。フィッシュハートは生まれて初めて心が形させられた。銀河の瞳と交えているなら:19、魚が泳いでいる……:25


19:「星が見ていた」と訊けば銀星の魔女は「見ているなら繋がりが出来て当たり前でしょう?」心を裂かれ連れていかれる美しさをフィッシュハートは感じた。


20:「帰ろう」ザーヒダーンにうながされた。摩天楼から漏れる光が、眼下の高層建築物のエネルギーが、フィッシュハートを染める。


21:「怖いのかー?」ザーヒダーンが額を叩いた。だがフィッシュハートの顔を覗き込むのは、妖精?:22、あるいは:23


22:フィッシュハートは人工妖精に心配をかけさせない。「大丈夫」それに嫌な感覚は不思議と消えていた。ザーヒダーンの癒しかもしれない:24


23:端で知らない女が見つめる。だがノイズのように消えた。「どうかしたの?」銀星の魔女が怪訝だ。見えてはいなかった。:24


24:「ブリザードで強化ドームを閉じる。帰ろう」銀星の魔女に急かされ、フィッシュハートは望遠鏡を抱えた。大切なものだ。観測所から降りた:29


25:ちらつく光が魚のようなものにフィッシュハートは見えた。光の粒よりも大きく、漂う。望遠鏡で目を逸らしていたら:26、見返していれば:27


26:怪魚が見失ったものを探す。いないからこそ、それは執拗な執着をしているように見えた。それはフィッシュハートへ……:28


27:怪魚は星々よりも巨大な瞳でフィッシュハートを見て、どこかへと消えた。消えたが、心の中に奇妙な違和感が残っていた:29


28:その時、ぐるぐると腹の虫が鳴った。空腹ではないが、誰からも笑いがこぼれる。白昼夢を見ていたような感覚で、忘れてしまった:29


29:電気と文明の中で夕飯を家族と過ごす。「星見は危ないんだ。これからも気をつけよう」声が流れる。ノイズ女を見たなら:30、怪魚を見たなら:34


30:証明が消え影が起き、『それ』は、見た。言い知れない影が立っている。あぁ、忘れられるなんて願いは叶わないのだ。向き合うしかない。


31:「フィッシュハート、自分の感覚を信じなさい。迷わないで」銀星の魔女が言う。触れられるとは思えない:32、見つめ、引き裂かれる未来を見た:49


32:心に門が刻まれ、ノイズ女は消えた。瞳が開かれる。不愉快な感覚がフィッシュハートを沈めた。「……」悲しそうな顔が、あった。


33:戸惑うザーヒダーンが手を盗む。「繋がりができてしまった」しかし、でもと「大丈夫、私が絶対に貴方を守るから!」小さな手が、何より大きかった:48


34:お節介な妖精に倒された瞬間、空間が切り取られる。食べられた、そう見えた。「認識を越えてきた、イーターズ!」閉じた顎の結果が迫る。


35:「これって!?」「宇宙の神秘が味見に来たんだよ」「形無しは食べる概念だけだからね」「無茶苦茶!」視線を固く通っているなら:36、瞳と目を合わせなかったなら:47


36:望遠鏡で覗いたから覗かれた。フィッシュハートの直感が繋がりを察する。「あぁ、だから私は天体観測は危ないって!もう!」認識の通路を渡る何かはフィッシュハートを這いずる。


38:手当たり次第に噛み散っていく。肉も時間の問題だ。「どうすれば!?」ザーヒダーン!:39、銀星の魔女様!:40、無力なフィッシュハート?:41


39:人工妖精ザーヒダーン「任せて!」:46


40:銀星の魔女「いけるかしら」:45


41:「皆で力を合わせて押し返そう!」一人では駄目、二人では駄目、ならば『三人』だ!フィッシュハートは中身の詰まった書架を持ち上げた。


42:「う、うん!」「はぁ、疲れてきた」影が飛び散り伸びる。賭けだ。ダイスの運命力2を下回れば:43、超えれば:44


43:タイミングがーーズレた。フィッシュハートは体が呑み込まれ、最後の一粒の輝きが消える瞬間を見た:【捕食】


44:家の中は台風に襲われたように荒れた。だが、『それ』は消えていた。「星見:【認知】


45:銀星の魔女の溜息。フィッシュハートの現実が、黒い門に閉じて消えた:【巨体】


46:ザーヒダーンの手をフィッシュハートは掴めない。ばちゅん、と何かが噛み千切られた:【滑落】


47:銀星の魔女の手によって、怪魚が伸ばしていた舌先を容易く払う。『味見』はされた、それで満足だったから『引いた』のだと三人は感じていた:【賢者】


48:フィッシュハートは瞳に追われ続けるだろう。視線が途絶えることはもう無いのだ。道はここに作られ、長い始まりが開いている:【追跡】


49:「いなくなった?」と妖精「繋がりを絶ったのよ」と銀星の魔女。フィッシュハートの肩から力が抜ける。全ての繋がりを断った。平穏は続くだろう:【ハッピーエンド】

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