Z級プロローグ
気ままに連載する友達との妄想物語です。
特に意味は無い物語です。
これは、酷いな。
勇者は木の枝を手放して呟いた。隣の賢者は伝説の杖を握りしめて離さない。逆隣の戦士は今にも泣きそうな顔をしている。
物語というのは大体エンディングが良ければそれなりに良く見えるものだ。対してそれまでが最高でもエンディングが胸糞ものの物語は2度と見たくはないだろう。
そうなるとこれは、Z級と言ったってまだ足りない。もっと、もっといろいろな語彙を使って罵倒しなければいけないエンディング。
チラリと俺達が倒した魔王の顔を見た。整った顔立ちはピクリとも動かず、そこにいた神様に踏みつけられた。
「さあさあ、勇者御一行」
振り返った彼女は魔王の頭をサッカーボールのように蹴りつけた。
「君らはどうするんだい?まだこの夢を繰り返すのか?」
ニィと笑い、彼女はそのままこちらを見据えていた。そして思い出したように持っていた刃物で魔王の頭を切り離すと、その顔を持ち上げじっと眺めている。
「彼は素晴らしいと言えるんだろうね。命を尊い物とみて、自分が奪ったものの詳細まで忘れることなく覚えている。それに比べて、君らはどうだい?覚えてるわけがないか」
悪だもんな、と彼女は呟いた。心底愉快そうな顔をしているが、そう見えるだけで何も感じていないと勘が告げている。それでも何にも考えていないような神様はニヤニヤと笑顔を保つ。
「魔物達も君ら人間と同じで、生きるために戦ったんだろうね。それを君らが一方的に悪と決めつけた。魔物達もそうだろう。妥協点のないエゴ程面倒臭いものは無いな」
回らない頭でよく喋るなと毒づいた。物語のキーパーソンというのは喋り続けないと死んでしまったりでもするのだろうか。
「戦士、賢者、やるぞ」
背中の鞘から抜いた聖剣を突きつけると、彼女の口角はよりいっそう上がった。