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多分良い人だ。

「おはようございます。ロゼリさんでしたっけ?隣、いいですか?」


「ゲッ。」

変な顔をする私とは裏腹に眼鏡をかけ、爽やかな笑みを浮かべてやってきたのは他国の王子(偽)。

二回目の「独裁」の授業に居るということは授業がかぶってしまったということだ。


嫌な偶然だ。


「え、イヤだよ。他に行って。どうせ昨日のこと掘り返したりするんでしょ?」


「ありがとうございます。」

言語が通じていないのか聞こえなかったのか普通に隣に座ってきた。

と、いうことで一つ席を開ける。が、笑顔で詰め寄ってくる。


「あ、私の紹介がまだでしたね。申し遅れました特待生のノア・ウェプスと申します。学友として仲良くしてくださいねロゼリさん。」


「私は仲良くなんてしたくないよ…弱み握られてるしね!!」


「暴風雨の中嬉しそうに遊んでいるほうが悪いと思うのですが?と、いいますか弱みを握られているならなおのこと私と仲良くしといたらどうです?」

「それはそうだ。」とまたもやぐぅの音も出せずに黙っていると「やあ、ノア君だっけ?昨日ぶり。」と王子ジョシュアとキールさんがやってくる。

王子を見た瞬間私の目は輝き、脳内には花が咲き乱れた。


__貴方が神だったのか?


王子を連れてきたことによって急激にノアの株が上がるロゼリ。

「えーっと…ジョシュアさんとキールさんですよね?昨日ぶりです。」

敬語で話し、ぺこりと頭を下げているのを見て私は寒気を覚えた。

なんというか似合わなすぎる。


「ん?隣に座っている淑女は?どなたです?」

キールさんは首をかしげる。

「この方はロゼリさん。私のご学友です。」

そう言いながら私の腰を掴む。

そしてバレないように腰を擦っている。


完全にセクハラである。

訴えよう。次会うときは法廷だ。

…なんていう世界じゃないのは百も承知だ。

手を払ったり手をつねる実力行使!!

…も弱みがあって出来ない。泣き寝入りかぁ…。


「ロゼリさんね。僕はジョシュア…と、紹介しなくても分かってるよね…ハハハハ…よろしく。」


「あ!はい!よろしくお願いします。」

丁度そのタイミングでチャイムが鳴り、王子とキールさんは少し離れた場所へ行ってしまう。くそう。

一番後ろに座っているということもあり周りに誰もいないからかノアは本性を出す。


「なあ、なんでお前昨日の授業出なかったんだ?」


「そ、それはノアがいじめてきたからやる気が…。」


「はあ?やる気無くなっただけでサボるとかクズかよアホロゼリ。」

確かに、あんなことで美少女(私)がサボるとは情けなかった…ごもっともな説教を食らいしょんぼりと反省するロゼリ。


「それにな、やっぱりあんな暴風雨に晒されて喜んで遊んでるアホをからかわないほうが悪いだろ。」

なんて私の頬を突きながら言う。

畜生、今日だけで何回蒸し返す気だよと内心「ぐぬぬ。」と怒りを抱えながら、まあ確かに憐れみを向けられてスルーされたり怒鳴られたりするよりはマシだったかと思い「なるほど。」と納得すると「だろ?」と得意げに言われる。腹立たしい。


授業中は常に身体のどこかしらを触られていて「腰の肉付きが悪い。もう少し太れ。」なんていうセクハラ発言もあったが、なんだかんだ言って初回の授業のことをサラッと教えてくれたし、教科書忘れたのを見せてくれたし、そもそもノートとペンを忘れた私に「ホントアホな。」と言いつつも紙とペン貸してくれたし、ノアは私の弱みを握っている悪逆非道のセクハラ魔王だけど良い人認定しておいてあげよう。

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