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死にたくないから  作者: 神山リョウイ
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ドッペルゲンガーは・・・

ドッペルゲンガーを見てから早3日。それ以来見かけることはなく、もしかしたら見間違いだったのかもしれないと思い始めていた。

また今朝も学校へ行く途中にあの公園の前を通る。

「ふぅ……」

自転車を止め辺りを見回す。やはり"ボク"の姿はそこにはなかった。

「居ない。やはり見間違いだったか。ま、僕が死ぬわけないだろう」

なんてぼそぼそ呟くと自転車に乗り駅へと向かった。


電車のホームにいる時、乗る時、座っている時、立っている時、降りる時、僕は辺りをキョロキョロしていた。いつも乗る電車は少し空いている。座るところがポツポツと空いている程度だ。その少ない人の顔をちらちらと見る。僕は自然と"ボク"を探していた。いるはずもない"ボク"を。

『間も無く到着致します〜。左側の扉が開きます。ご注意下さい』

アナウンスが流れ次の駅で降りることに気づく。駅に着くと鞄を持ち電車を降りていく。そこから五分くらい歩けば学校だ。

同じ制服を着たやつがちらほらと見える。その中に友達を見つける。

「おはよう」

「あぁ、おはよ」

少し睨まれた気がしたが気の所為だろう。

「この前の課題って今日までだっけか?」

「知らねえよ」

「何怒ってんだよ」

こいつに何かした覚えはない。少し黙って歩いていると佐々木が口を開く。

「お前さ」

「なんだよ」

「朝電車で俺のこと無視したろ、こっちに見向きもしないで」

「……は?」

僕は朝、佐々木に会った覚えなんてなかったのだ。

「聞こえなかったのか? それでもあんなに近い距離なのに」

どれくらいの距離かはその場にいなかった僕には分からない。それに挨拶もされていないし会ってもいない。

そう言えばドッペルゲンガーは周りとコミュニケーションを取らないんだっけ。それは喋れないという事なのか、僕には理解出来ないが、とりあえずそいつはきっとドッペルゲンガーだ。

もう見ないと思ってた。僕が見たわけじゃ無いが、近々僕は死ぬのだろうか。この場はとりあえず謝っておくべきか。でも謝ってしまうと僕が本当に無視した事になる。

「……い! おい!」

佐々木の声で我に帰る。

「お、おう……。ごめん」

「もういいよ、それだけ必死に思い出そうとしてくれてるんだろ。今度からは気をつけてくれよ」

「あぁ、すまなかった」

結局、"ボク"は僕になった。ドッペルゲンガーってのも喋ってくれればいいのに……。そう思うと一つ疑問が出てきた。僕が公園にいた時のやつは一体誰なんだ。ドッペルゲンガーは周りとは話さない、何故気付かなかったんだ。

「お前、いつまでついてくるんだよ」

「えっ」

「ここおれの教室、川崎は隣の教室だろ。ボーッとすんなよ」

「そうか、じゃあまたな」

僕は自分の教室へ入ってからもずっと公園の"ボク"のことを考えていた。





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