表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴン娘とラノベ作家の現代生活  作者: 福耳 田助
1章:ドラゴン娘と同居する
8/37

8.ドラゴン娘、悪の組織に憤る


 食後、今日一日は体を休めて落ち着いてから今後の事を話そう、と言って今ディーネはゆっくりさせている。

 一見特に何事もないように見えるが、実際の所はどうなのか分からないからな。

 異常事態に心の方が付いていけなくて、本人でも気付かないうちに疲れを溜めている可能性も有る。


「おお!?何やら奇矯な構えを取ったかと思えば、何じゃこの武装は!?」


 当の本人はCGや火薬を使った派手な番組演出に歓声を上げているが。

 気を使ったのが虚しくなってくる。

 …あれだ、心を守るために感情に蓋をする、みたいな。

 そういうあれで何でもないように振舞ってるんだよきっと、うん。


 俺は洗い物を済ませた後、コーヒーを飲みながら作品のプロットを考え、ディーネはテレビに齧り付いている。

 …もっと離れて見なさい。


 さておき昨日から現在までの間にディーネは数々の現代家電を見ている訳だが、意外なことに特に反応は無かった。

 話を聞く限り彼女の世界はゲーム世代の日本人がイメージする、よくある“剣と魔法の世界”であるらしいのに、だ。

 不思議に思い聞いてみると、科学機械や電化製品ではないが“魔導具”で同じような物があると言う。


 …“魔導具”って単語で若干テンション上がるのは仕方ないよね。


 量産は出来ないのでそれなりに高価で、使っているのは主に王侯貴族や一部の資産家だけらしいが、国王ともなれば現代日本人と大差ない生活水準で暮らしているようだ。

 だから実は最初、ディーネは俺の事を物凄い資産家だと思っていたらしい。

 俺は特別金持ちという訳でも無いし、日本人の大部分はこれぐらいの暮らしをしている、と言ったら流石に驚いていた。


 そんなディーネが唯一大きな反応を示したのがテレビだ。

 通信技術は在るらしい―――水晶玉に顔が浮かんで喋るアレ―――のだが、魔導具の中でも特に高価で、国防上の問題から規制も厳しい為、王族や一部貴族、国境警備などの要職についている人間しか持っていないという。

 映像通信や映像保存的な技術は在っても、それを娯楽として一般に普及させるという余裕と、発想自体が無いという事だろう。

 同じような理由でスマートフォン、携帯電話の存在も彼女からすると信じられないらしい。

 一般人が国内どこでも、それどころか外国とすら気軽に簡単に連絡が取れる、彼女の世界ではそんなことを許す国がある筈がないと。

 理由は分からないでもない。

 封建主義の国では、自国の国民に他国の情報が知れ渡るのも、他国の国民に自国の情報が知られてしまうのも歓迎できないだろう。

 そもそも平民にはある程度無知でいてもらった方が、専制君主制の封建主義国家にはありがたいだろうし。

 その所為か夕べの夕食の後、俺が何気なく点けたテレビにひどく驚き、これが娯楽の為のモノだと聞くと尚一層驚愕していた。

 …この国の政治形態やら社会制度やら教育制度について教えるのはやめとこう。

 驚きすぎて倒れるかもしれん。

 まぁ直ぐに丁度チャンネルの合っていた、ブルドッグとチンパンジーのコンビで有名だった某大御所芸人の動物バラエティー番組に夢中になって、驚きはどっかへいったようだが。


 因みに今見ているのは所謂ニチアサのヒーロー特撮番組。

 最近はバイクに乗ってなかったりもするバイク乗りの方ではなく、最近は五人組じゃなかったりするらしい戦隊モノの方だ。


「か弱い幼子を人質に取るとは、何と卑劣な…!」


 …盛り上がっているようだ、そっとしておこう。

 どうでもいいけど、自分が小さい時に見ていたのが何ライダーと何戦隊だったのか、思い出せないのは俺だけだろうか?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ