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ドラゴン娘とラノベ作家の現代生活  作者: 福耳 田助
1章:ドラゴン娘と同居する
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6.ドラゴン娘がお泊り


 ―――♪―――♫―――♪―――♫―――


 寝惚けた頭に何やら軽快な音楽が聞こえてきた。


「…ん……むぅ…?」


 布団から片腕だけ出して枕元をごそごそ漁り、アラームを鳴らし続けるスマホを引っ掴む。

 アラームを止めて画面の時計を見れば、現在朝6時。

 …何でこんな時間に。


「…ああ、いや、そうか」


 そこでようやく意識が覚醒し、この時間に起きた理由を思い出す。


「…寒っ」


 真冬の北海道、まだ暖房を入れていない室内は、言うまでも無く寒い。

 寝巻のジャージの上から愛用のパーカーを着込み、いつもならまず真っ先に薪ストーブの火を入れるのだが、今日は先に客間に向かう。

 普段は全く使用せず、札幌の友人達や姉一家が来た時ぐらいしか出番のない客間と客用布団。

 しかし今日はそのどちらでもない客がいる…筈だ。


「…いるよな?」


 なんか不安になって来た。

 昨日の事(・・・・)が夢や妄想だったらどうしよう。

 夢ならまだしも、無意識の妄想だったりしたらこの歳でやばすぎる。

 いや大丈夫だ、俺はオタクだが、漫画とラノベとアニメを嗜む程度のライトなオタクだ。

 流石に妄想と現実の区別ぐらいついている。

 …ついている筈だ。


「(起きてるか―?)」


 不安は拭えないまま、ふすま越しにそっと声を掛ける。

 返事は無く―――ますます不安が―――ふすまを僅かに開けて覗き見ると、敷かれた布団の上で包まれるように丸くなる、角と翼(・・・)の生えた少女の姿が。

 念の為頬を抓って確認、痛い。

 …良かった、夢でも妄想でも無くて。


 夕べの食事の後、これから先どうするかはともかく、今日の所は泊るように提案。

 案の定最初は遠慮したが、この世界には所謂知的生物は人間しかおらず、角と翼と尻尾の生えた“人”がうろついていたらとんでもない騒ぎになる、と教えると素直に従った。

 それから客間に布団を用意してやると、我慢していたのか直ぐに寝入ってしまう。

 単に生活習慣かもしれないが、やはり精神的な疲れもあったのかもしれない。

 この時午後二十一時、俺が寝るには早すぎる時間だが、この時間に眠りについた彼女がいつ起きるかは分からない。

 なので一応俺も早めに寝て早めに起きる事にした。


 これが現在までの経緯である。


 因みに宿を固辞したのは純粋に遠慮であり、貞操の心配などは特にしていないようだ。

 まぁもし仮に俺が襲い掛かったとしても、正体が竜である彼女には軽く返り討ちにされるだろうしな。

 昨日俺が鉞で割ろうとした薪を素手で割ってたし。

 こう、バカッと、割り箸みたいな感じで。

 …信用されていると思っておこう、俺の精神衛生の為に。


 取り敢えずグランディーネ…ディーネは寝かせておいてやる事にして、俺はストーブに火を入れ部屋を暖める。

 薪に火が付いたのを確認してからテレビの電源を入れると、丁度朝のニュース番組の占いコーナーが。


「お、乙女座一位か」


 俺は寅年の乙女座だ。

 寅年はともかく乙女座は似合わないとよく言われる。

 全く持って余計なお世話である。


『人生に係わるほどの大きな転機があるかも?後悔しないような決断を!』


「人生の転機、ねぇ…」


 転機はともかく大事件は起きてるな、現在進行形で。




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