第七話 レベルシステムと巨乳
【登場人物紹介】
主人公:綾瀬雷人
勇者:キャロル・R・バーミリオン
魔法使い:ユーリン・ドーランド
戦士:レイラ・ライトニング
僧侶:セシル・フリード
竜王:転生完了という迷惑な言葉を残し死亡
いやそれ絶対なにか別ものと勘違いしてるっしょ。
薬剤師が"伝説の職業"なわけがない。
国家試験とかあるけど、超難関というわけでもないし。
そもそも、こっちの世界に国家試験とかあるのか?
いやまてよ。
"戦士"とか"魔法使い"っていう職業が平然と存在する世界に「薬剤師」って職業が存在する方こそ変だ。
確実に何かと勘違いしている。
「あのね、薬剤師って薬を調合したりする職業なんだけど、こっちでは何か別物なんじゃない?」
「いや。その通り、薬のスペシャリストのことだ」
お、おう。
合ってるじゃないか。
そんなにレアな職業なのか?
もしかしてこっちでは何百億もの原料が存在していて、それら全てを暗記してなくてはいけないとか。
薬剤師だからって薬品マニアってわけじゃないぞ。
これは何に効くの、とか聞かれたらどうしよう。
しばらくガタゴトと馬車の進む音だけ響いていたが、勇者キャロルが思いついたように聞いてきた。
「ライトはレベルいくつだ?」
…はい?
レベルって、RPG世界によくある"あの"レベルシステム?
やっぱりこれは夢なのかと疑ってしまうほどゲームっぽい言葉が出てきたな。
てかそんなレベルはどうやって管理してるんだ。
まさかデジタル的なものが存在するとは思えない。
「レベル?そんなものがあるのか」
その返答に皆が少し驚いたような顔をしたが、すぐに「ああそうか」となる。
「そうか、ライトは異世界から来たんだったな。こっちの世界にはレベルが存在するんだ」
そういって胸元からカードのようなものを取り出した。
その時に一瞬胸元がチラリと見えたが、勇者さんはなかなかの巨乳のようだ。
ほほう。。
そういえば防御のためなのか全員ガチガチの装備をしているが、実は脱ぐとみんな凄いのかもしれない。
しかも美人ばかりのパーティだ(性格は別として)。
気付かなかったが、これはかなり美味しい状況なのかもしれない。
…魔法の縄で縛られてなければ。
そうこうしているうちに、キャロルは僕にカードを見せてくれていた。
いかんいかん。妄想はとりあえず横に置いておこう。
しかしこれはまさしく…
向こうの世界でいう「運転免許証」のようなものだった。
名前、生年月日、顔写真まで載っている(写真技術が存在しているのか!)。
その基本的な情報の下にレベル、HP、MP、賢さなど
つらつら〜とまさしくゲーム世界のような数値が並んでいる。
やっぱりこれは夢で、現実の僕はトイレで気絶しっぱなしとかじゃないだろうか。
あまりに"それ"っぽい。
書いてある文字は日本語だし。
レベルが上がったらどうなるんだろう?
テテテテッテテッテー
とかいうファンファーレでも流れるのだろうか。
そんな疑問を感じとった、かどうかは定かではないがキャロルが説明してくれた。
世界冒険者協会というものが存在し、そこが発行している。
レベルが上がったらファンファーレが鳴り(やっぱり!)カードが自動で書き換えられる。
冒険者はほぼ全員このカードを所持しており、あらゆる特典を受けられる。
とのこと。
どんな原理で?と質問すると、そこは魔法使いであるユーリンが説明してくれた。
一つ一つが魔力を込められた紙で出来ており、その人の髪の毛などを一つ入れることにより
その人専用のレベルカードになる。
魔力で守られているため、水に漬けても火に炙っても無事で
しかも落としても自動で本人の場所へ飛んでくるらしい。
ある意味向こうの科学技術より発展しているんじゃないか?
恐るべし魔法世界。
ちなみに
勇者キャロル:レベル17
魔法使いユーリン:レベル18
戦士レイラ:レベル19
僧侶セシル:レベル18
とのこと。
「ライトはレベル不明か」
レベルに興味ないことはないが、どうせレベル1だろうし
それ以前に、早く自由になりたい。
まあ自由になったところで、どうやってこれから生きていけば良いか分からないけどね…。
向こうの世界へ戻る方法も分からないままだし、考えれば考えるほど不安になるので
もうこれ以上考えるのを止めよう。
とりあえず今は、彼女たちの上司、王様へ身の潔白を晴らすのを最優先にする。