15/19
閑話 二人の男
暗闇に二人の男がいた。
一人は長身で一人は小さな男であった。
しばらく沈黙が続いていたが、長身が口火を切る。
「──やはりヤツからは竜の匂いがします。殺しておくべきでは」
小さい男がその身体を揺らしながら返答する。
「いやまだ時期尚早じゃ。もう少し様子をみたい」
それに長身は返答せず、ただ小さく頷くだけであった。
再び二人の間に沈黙が訪れる。
次にそれを破ったのは小さな男の方であった。
「気に食わないか?ライライン」
ライラインと呼ばれた男は軽く首を振り
「いえ、ご命令には従います」
とだけ答え闇から音もなく消えていった。
小さな男もしばらくその場にいたが、独り言を漏らしながら消えていった。
「失敗でなければ良いが…」




