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第十四話 「薬師」

【登場人物紹介】

綾瀬雷人ライト:主人公

ユーリン・ドーランド:女魔法使い ドS

ラウール国王:名前はアレだけど立派な王様

ザイザル:ラウール国宰相 黒光り筋肉

竜王:迷惑な言葉を残し死亡したラスボス


【あらすじ】

トイレから転生イリュージョンした薬剤師ライトは何故かラスボス竜王に「後継者」と名指しされてしまう。

しかし何とかこうにか自由の身を得たライトは自立の第一歩として「冒険者の資格」を取ろうし、その前の適性検査で「薬師」と出るのだが・・・。

チビ・テッペンハゲ・白髪のおじいちゃんは少し頬が赤く、まるで酔っぱらっているかのようだ。

いや実際に少しお酒をひっかけているのかもしれない。なんだかユラユラしているぞ。

というより誰だこの人。


「会長!」


その答えは、ネコ耳の呼びかけにより判明した。

...会長!?

という事はこの冒険者教会の、会長!?


「ども初めまして。冒険者教会の会長やっとります、スーグラ・ボシェロです。よろぴく」


人差し指と中指を揃え目の上で跳ねてみせるスーグラとかいうじーちゃん。

怪しい。怪しすぎる。


「それよりもミキティ、薬師くすしと出たというのは本当かね」


ネコ耳の名前はミキティと言うらしい。

赤パンツ一枚で叫んでしまいそうな名前だな。


「はいにゃ。このページを見てくださいにゃ」


開いていたページを会長に見せるミキティ。

本に付いていたホコリが舞う。


「ビエークショイ!どれどれ」


スーグラも、本と水晶に映った白い僕を見比べる。

鼻水が垂れ下がってますけど会長...。


こんな事していて後ろは大丈夫かと思ったが、どうやら僕が最後だったらしく建物には誰も入って来なかった。


しかしこの職業はそれほどレアなのだろうか。

こちらの世界では薬剤師という職業自体が伝説らしいので、似たような職業はレアなのかもしれない。

確か昔の日本にも薬師くすしという職業は存在した。

現在のように医師と薬剤師が明確に分かれる前、二つを合わせたような職業が薬師くすしであったはず。

つまり昔の医者は自分で薬を処方・調剤していたのだ。

こっちではどういった解釈になっているか判らないが、まあ似たようなものなのだろう。

結局、異世界に来ても僕は"薬"と切っても切れない関係というわけだ。


「ふむー。本当じゃな。お主、名前は?」


「ライトです」


ぷふーと吹き出す会長とミキティ。

そのくだりはもういいよ。


「ほうほう。では浮気者のライトくん。ぷぷ…君には特別に今から試験を行う」


いきなり宣言する冒険者協会会長。

試験だって?

資格試験は月1で行われるはずでは。いきなり試験だなんて、それはあまりにも権力を行使しすぎじゃないのか?

というより、まだ薬師くすしで受験するなんて一言も言ってないんだけど。


「え、えーっ!?薬師くすしの試験を受けないの!?こんなに、、レアなのに!?」


凄く凄く残念そうな顔をしてこちらを覗く会長とミキティ。

良いコンビだなこの二人。


何かの職業になりたいとか特段こだわりはないのだが、そう言われると別の物でも意外といけるんじゃないのかと考えてしまうのがヒトの常である。

その他にどんな職業が向いているか聞いてみると、ミキティが会長の代わりに答えてくれた。


「それ以外は無いにゃ。それ以外はクソみたいな能力にゃ」


「ク、クソ…」


薬師くすし専用の能力値みたいなのがあって、それがダントツで多いみたいだにゃ。こんなの初めて観たにゃ」


水晶に映る情報を読み取るように答えるミキティ。

僕が見てもただ白い服を着た自分しか見えないので、彼女にはそういったのを見る力が備わっているのかもしれない。

能力値でそれのみダントツとは、元の世界で薬剤師だった事が関係しているのだろうか。


兎に角。

それしか向いていないというのは痛いほど分かったのだが、いったいどういった職業で冒険者としてどんな役割を担うのかはっきりさせないと、いまいちピンと来ない。

そんな状態で試験を受けろと言われても、「どんな仕事か知らないけど適性があるって言われたんで受けにきました~アハ」では社会的に通用しないだろう。


薬師くすしというものについて会長に聞いてみると、意外な答えが返ってきた。


「ワシも詳しくは知らん」


いや知らんのかい。

フザケたジジイめ・・・と思っていると、ミキティが本を見ながら補足してくれた。


薬師くすしという職業は超レアものなのにゃ。えっと、本によると…」


超レアなのか。

それはちょっと自分が特別な気がして、悪い気がしない。


「『薬品の調合により上級アイテムを作製したり、魔法のような現象を生み出したり、何より特殊なのが天界や地界より召喚を行い』…」


ちょちょちょ。

ちょっと待った。

アイテムまでは分かる。ね。アイテムまでは。

"魔法のような"とか"召喚を行い"とかって、それ違うんじゃないの。


「ほえー凄いのぉ」


ジジイは黙っとれ。

100歩譲って"魔法みたいな"までは許そう。

でも"召喚を行い"ってそれは召喚士みたいな職業があって、それ専門なのでは。


「召喚士という職業は存在しないにゃ。この本によると、召喚できるのは『薬師くすしのみ』だにゃ」


つまり薬師くすしとは、RPGでいう召喚士みたいなものって事なのか!?

想像とまったく違うんですけど…。

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