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ミスって投稿していたので、前話の後ろに話を付け足しています。

話に違和感がありましたら戻って読んでいただけると嬉しいです!

「はい。 あの、リアーヌ様。 どうかお力を貸してはいただけませんでしょうか……? その……」


 そこで言い淀んだクラリーチェは、グッと手を握りしめると、バッとリアーヌのほうに身を乗り出し、叫ぶように訴えた。


「――(わたくし)、これからの結婚生活で、あの方とうまくやっていく自信が無いのです!」

「え……?」

「その……」

「……クラリーチェ様、レオ――そこの第二王子――いだっ⁉︎」


 顔を曇らせたクラリーチェを心配したリアーヌがレオンを呼ぼうとして、言い方を考えたまでは良かったのだが――“そこの第二王子”呼ばわりはさすがにマズかったようで、隣に座るビアンカによる教育的指導をつま先に受ける。


「――レオンハルト殿下よ。 ……愛称呼びの許しも得ていないのだからキチンと呼びなさい?」

「はい……」

「――今まで通りどうぞレオンとお呼び下さい」


 ビアンカの言葉に、レオンは空気を読むように、にこやかに答えた。

 その言葉にリアーヌはビアンカにうかがうような視線を向け、大先生からのお墨付きをしっかりもらってから改めてクラリーチェに話しかけた。


「それで……レオン様との結婚を迷ってる話でしたっけ?」

「……いいえ⁉︎ 違います!」

「じゃあ、上手くやっていく自信が無いって話は……?」

「……ベッティ・レーレンです」

「――はぁ⁉︎ どういうこと⁉︎」


 リアーヌはギョッとした顔をレオンに向けながら怒鳴りつけるようにたずねる。

 そんなリアーヌに素早く答えたのはフィリップだった。


「まごうことなき政略結婚の話をです。 王家としてはただの罪人に『守護』のギフトを持たせてはおけません。 そして――これは我々の願望になってしまうが、レオンの近しい者が持っている状態が好ましい……――つまり現状では、あの娘に恩赦を与え側室に迎えるという手段が手っ取り早いわけだ」

「――クラリーチェ様が嫌がってるのに、ですか……?」

「それは……――その……」


 リアーヌの指摘に、フィリップは気まずそうに視線をうろつかせながら答えを探す。

 そんなフィリップを助けるように声をかけたのはゼクスだった。


「――だからこそリアーヌの出番なんじゃない?」

「……私の?」

「そう。 ほら、リアーヌが『守護』のギフトをコピーしちゃうか『譲渡』のギフトごと――って話あっただろ?」

「はい」

「リアーヌがベッティから『守護』のギフトを貰い受けるかコピーをして、クラリーチェ様の要望で王家のためにそれを使うって確約が取れるなら、おそらくベッティと殿下の婚姻話は無くなる」

「そう……なんです?」

 

 リアーヌはクラリーチェに向かい首を傾げながらたずねる。


「……おそらくは」


  クラリーチェの答えに、リアーヌは少し迷うそぶりを見せながらゼクスに小声でたずねた。


「……なんでですか?」

「守護持ちが王家のために力を使うと分かっているならば、犯罪者と殿下の婚姻になんのメリットも無いから、かな? いくら特別なギフトを持っていると言っても、それが不当に他人から奪ったもの――ともなると、ね」

「……文句言う人も多そうですね?」

「王妃殿下、第一王子と立て続けにご病気(・・・)になってしまったから、今の王城は静かなものなんだろうけど……――一度(いちど)結んだ縁はそう簡単に消えたりしないから……後々の火種にはなるだろうね?」

「あー……――つまり、私がコピーすると、クラリーチェ様が嬉しい……」


 チラリとクラリーチェを見つめながら少し考えこむリアーヌ。

 クラリーチェの幸せを邪魔するつもりは無かったが、自分が“守護のギフトを持つ”ということ自体に、決して少なくはない拒否感を感じていた。


(……だってそれ主人公のギフトだよ……? いや、ここまで来ちゃうとストーリーとか主人公とか無いようなもんなんだけどさぁ……――でもそれって結局、私が泥棒みたいになっちゃわない……?)


「――嫌な予感でもしていますの?」


 うーん……と考え込み始めてしまったリアーヌにビアンカが声をかける。


「それは……してないんだけど……」


と、少し気まずそうに答えるリアーヌの様子に、ビアンカは肩をすくめながら淡々と続けた。


「じゃあ、なにをそんなに嫌がっているのよ?」

「……だって私、ユリアとか専門学科の人たちに泥棒扱いされててさ? まぁ、今はその誤解は解けてるんだけど、それで結局、私が守護のギフト持ってたら「あれ? やっぱりあいつが泥棒だったじゃん……?」ってことにならない? しかも――私が譲渡まで貰うことになったら完璧泥棒じゃん。 陰謀論が白熱しちゃうよ?」


 リアーヌの言い分を聞いて思うところがあったのか、ビアンカはフィリップたちに視線を送り答えを求めた。

 レオンと目配せをしあいながらフィリップが口を開く。


「……我々の要望は、なんの憂いもなく『守護』のギフトが使えることだ。 リアーヌ嬢がイヤなら『譲渡』のギフトについては聞かなかったことにしてくれてかまわない」

「……『譲渡』はコピーしなくていいってことですか?」


 少し警戒心を滲ませながらリアーヌは確認する。


「リアーヌ嬢の思う通りにしてほしい。 欲しいならコピーしてくれて構わない。 いらないならそのままで……」

「――いらない、ですよね?」


 今度はゼクスに確認するリアーヌ。


「……コピーするとダメな感じかい?」

「……ダメな感じとかはしないですけど――でもなんかヤです!」


 鼻息も荒く答えるリアーヌに、ゼクスは苦笑いを浮かべながら肩をすくめた。

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