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「あ、あともう一つ指示されてて……」


 ベッティはチラチラとリアーヌの顔色を伺いながら言葉を濁す。


「――なんだろう?」

「その……犯人はボスハウト家の人間だと思わせろって……」


 そこまで言ってベッティは下を向き身体を小さくすると、自身の身体を守るように胸の前で自分の手を握り締めた。


「あー……」


(だから私を犯人だと告発したのか……――許せそうにはないけど……私、この子に恨まれているわけではない……?)


 リアーヌが納得した声を上げながら首を傾げた頃、ゼクスは値踏みするような瞳でベッティを見つめていた。


「……だから嫌がらせの犯人はリアーヌだと彼女に吹き込んだのかな?」

「そ、そんなにハッキリとは言ってません!」

「けれどわざと勘違いをさせて、それを今も訂正しようともせずに黙っている――だろ?」

「それは……家族が……」


(……貴族に脅されてたっていうなら仕方がない部分もあるだろうけど……――それでもこの子……私のこと嫌い、だよね? この子から(うわぁ……罪押し付けちゃって気まず!)とかいう感情、今まで一度も感じたことありませんけど……?)


「――それで……君が今回俺たちに話しかけてきた目的は? これ以上学院側に真実を告発しないでほしい、ってお願い?」

「ちがっ⁉︎」

「じゃあ……どんな要件だい?」

「その……助けて、もらえませんか? ――私! 本当はこんなことしたいわけじゃなくて……! でも貴族も王妃様も怖くて! だから……!」


 胸の前で手を握り合わせながら祈るように訴えるベッティに、ゼクスは相変わらず冷めた視線を送り続けながら大きく息を吐き出した。

 そしてリアーヌと視線を合わせ小さく肩をすくめると、再びベッティに向かって言い放った。


「――こちらが出す条件をクリアできるのであれば、保護下に入れることも不可能ではない、かな?」

「条件……?」

「そう。いくつかある。 ――まず一つ目。 君がフォルステル家の人間に脅されていたという証拠。 あー……信頼できる立場の人間であるならば証言でも構わないが……――こちらが納得できる者でなければ却下だ。 そして二つ目。 ――ユリア嬢の誤解を解いてほしい」

「それは……」

「そこまで難しい条件だとは思わないけれど……?」

「……その――フォルステル家の人とは最初しか合ってなくて……」

「……ただ一回家にやってきた不審人物に脅されただけで、友人に嫌がらせをしたのかい? ――しかもボスハウト家を敵に回してまで?」

「あ、相手は伯爵様だし……」


 ゼクスの指摘に、ベッティは顔色を悪くしながら視線を彷徨わせる。

 しかし、ゼクスが追及の手を緩めることはなかった。

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