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(その辺、王子ルートで明かされると思ってたんだけど結局だったし……――そういえば、主人公とレオンの恋愛エンドが確定すると、守護のギフトを持つ主人公が弟の嫁になったらマズい⁉︎ って追い詰められた兄王子による主人公誘拐イベするんだよね。 で、その犯罪行為がバレて失脚。 かーらーのーレオンが王太子となって主人公と結ばれハッピーエンド! ――ゲームやってた時はなんの疑いようもないハッピーエンドだと思ってたけど……――あんまりハッピーエンドにはならないような……? だって、長年お城を開けてた弟王子がある日いきなり王太子。 しかも今までいた兄王子と現王妃を失脚させて……――しかもその二人、失脚したとはいえ、現国王の息子で第一王子に王妃なもんだから、王家の外聞を考えた結果なのか忖度の結果なのか実際の刑罰は受けてないっぽいんだよね。 病気療養ってことで二人仲良く王妃の実家に返される……――つまり、罪人にもなってなければ、元気で生きているわけで……――そんなん使用人全員雇い直したって安心できないレベル……ま、レオンの後ろ盾はパラディール家なんだから、そのあたりはうまくやるんだろうけどー)


「けれど……パトリオートなんて家、パラディール家の分家にいたのねぇ……?」


 窓の外に視線を向けながら、おっとりと不思議そうに首をかしげるビアンカ。


 ――幼い頃よりパラディール家とつながりを持っているビアンカがその存在すら認識していない分家など、そうそう存在しない。

 ビアンカはその事実を匂わせながら、リアーヌがどの程度情報を得ているのか把握しようとし、あまりに知識不足ならば問題を起こす前に釘を刺しておくつもりのようだった。


「領地無しで伯爵の爵位を貰ったって家だから、あんまり有名じゃないのかも?」


 リアーヌからの返事に驚いたように目を見開き、感心したように言うビアンカ。


「――そうらしいわね。 ……リアーヌ詳しいじゃない」

「……ゼクス様からの受け売りだったり⁇」

「あら……――ま、そんなことだろうと思ったわ? けれどその話をちゃんと覚えてたのは偉いじゃない」

「かな……?」


 ビアンカに褒められ、まんざらでもなさそうに鼻を高くするリアーヌだったが、その心の中では小さな罪悪感も感じていた。


(なんてね! 元々知ってたんだなぁこれがっ! 攻略キャラのことはリアーヌになる前から知ってるんだ! その辺は公式から出ている小説に詳しい話が書いてあったんだよねー。 ……まぁ、ゼクス様からも教わったけど。 ――あと、なんでだかオリバーさんからも説明されたんだよね……王家に仕えた人だから、裏事情とかちょっと知ってるのかな……?)


「けれどそうなりますと、やはりうちよりもラッフィナート家の方が情報が早いんですのね……」

「あー……ね?」

「――分かってはいたつもりですけどこうして事実を突きつけられると面白くありませんわ」


 ビアンカは面白くなさそうに鼻を鳴らし、ほんの一瞬顔をしかめる。


「……つまり最初の顔合わせで事情が分かってなかったのは私だけですのね」


 そう呟くと、ビアンカはどこか攻めるような視線をリアーヌに向けた。


(あー……この間のお茶会ねー……って)


「あ、違うよ? 私聞いたのお茶会の後だよ?」

「……そうなんですの?」

「うん」


(これは本当。 帰りの馬車で説明された後『そういう話になってるけど実際のところはね……――あんまりパトリオート様には近づかないで?』って言われたんだよねー)


「……それにしちゃ、聞いたこともない家名だと言うのにあっさり受け入れてたじゃない?」


 探るようなビアンカの視線にリアーヌはドキッとしながら口ごもる。


「……それは」


(実際のところは、事前に事情を丸っと理解してたからなわけだけど……――待って? これ……私の場合――これって簡単に言い訳できちゃうんじゃない……?)


「――それは?」


 見定めるようにリアーヌを見据え、ごまかすことも許さない様子のビアンカ。

 そんなビアンカにリアーヌは言いにくそうに口を開いた。


「……そこまで自分の知識に自信が無いから……?」

「…………」

「…………」


 ビアンカは呆れたような表情を浮かべ、リアーヌはエヘヘ……とごまかすような愛想笑いを浮かべながら無言で見つめ合う二人。


「……本当にどうして私があなたより座学の成績が悪いのか納得出来ないわ?」

「ごめんて……」


 その会話が聞こえていたであろうクラスメイトの一部は、ビアンカの言葉に人知れず何度も頷いていた――


 呆れたようにため息をつきながら席へと戻るビアンカに習い、自分の席へと戻るリアーヌ。

 これ以上ビアンカの機嫌を損ねないよう身体を小さくしながらも、先程チラリと話題に上がったレオンを交えての初めてのお茶会を思い出す。


(なんで攻略キャラのほとんどが入学式後、フィリップ様のサロンに集まってしまうん……? ――主人公はレオンとニアミスするために大きな木のところに行ったんだよ⁉︎ なのにそのレオンは私より先にサロン入りて! 絶対、ゲームの流れ変わっちゃってますよね⁉︎ ――じゃあなにかい? 主人公は誰にも見そめられることなく、大きな木の下を鼻歌交じりでご機嫌に散策しただけの少女になったってことかい⁇ ……いや、元々主人公的にはそのつもりだったんだろうけど……――しかもそのお茶会、私が参加しちゃったもんだからゼクス様だけじゃなくエドガーまで参加してて……多分主人公、入学式のイベント誰とも発生させられてない可能性あるよ……?)

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