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『ギフト』
それは神が人に与えた贈り物。
神が起こすような様々な奇跡の力を少しずつ――
【あなた】は国の端にある小さな村で平穏な生活を送る、ごく普通の少女だった。
――その日までは……
その夜突然、村は野盗に襲われた。
どこからともなく現れた野盗たちは、家や小屋に火を放ち、我が物顔で村を蹂躙した。
村人たちは逃げ惑うことしかできず――
【あなた】も両親と共に、道を走っていたが、逃げ惑う者たちにぶり転んでしまう。
急いで立ちあがろうと顔を上げるが、すでに両親の姿は逃げ惑う人々に押されて、少しづつ小さくなっているところだった。
「ユリア走りなさい!」
「こっちよ‼︎」
両親の言葉を聞き、グッと唇を噛み締めながら必死に立ち上がる【あなた】
再び走り出そうとした瞬間、背後から大きな爆発音と共に人々の悲鳴が聞こえた。
思わず足を止め、背後を振り返ると――
――そこで【あなた】見た光景は、燃え盛る村と野盗から逃げ惑う人々……そして、そんな村人に笑いながら襲いかかる野盗のおぞましい姿だった――
「なんで……やめてよ……私の、私たちの村に酷いことしないでよーっ‼︎」
涙を流しながら【あなた】がそう叫んだ瞬間――
奇跡が起こった。
恐怖に震えながらも野盗に立ち向かおうとする【あなた】のその勇気に、神がその力を少し分け与えたのだ。
――【あなた】の『ギフト』はすぐに発露し、瞬い光が辺り一面を覆った。
その光はゆっくりかき消え、人々が目を開けると、そこには野盗の姿はなくなっていた。
消えたのは野盗だけではなく、あれだけ燃えていた家や小屋からも炎がかき消えていた――
そのかわりに現れていたものが一つ。
――【あなた】の頭上には、赤緑青……様々な色に姿を変える、美しいオーロラがゆらゆらと漂っていたのだった――
【あなた】のこれからの人生を祝福するかのように――