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第二編「鞄の重みは」
「もっと、こっち来いよ。濡れるだろ」
ぶっきらぼうに言う、彼の横顔を盗み見た。その顔は、少し赤い気がする。
私は彼が持ってる傘からはみ出ないよう、ちょっとだけ近づいた。
相合傘、なんて生まれて初めて。
きっと、私も赤くなっているんだろう。
だって、頬が熱いもの。
いつもより重い通学鞄を、胸にぎゅっと抱え込んだ。
「……重そうだな。持ってやるか?」
「ううん、大丈夫。自分で持ちたいから」
だって、と心の中で呟く。
この重みは、忍ばせた折り畳み傘の。
そして彼についた、嘘の重み。
だったら、自分で持たなくちゃ。
それに、これは。
彼に聞こえないよう、小声で呟く。
「──幸せの、重みでもあるんだから」




