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StarFrontier  作者: KUEMA
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アリスの混乱

挿絵(By みてみん) 



 アリスでは、総統の宣戦布告が届いた後、緊張と興奮が交錯する雰囲気が漂っていた。


 星々間の通信網を通じて、その戦報は広まりつつあった。総統のメッセージは、アリスの市民たちにも届いており、彼ら


 の中には恐れや疑念を抱く者もいれば、心を燃やす者もいた。


 アリスの指導者たちは、迅速に対策を練らなければならないと感じていた。


 彼らは軍事的な準備だけでなく、市民の安全と安心も確保する必要があった。総統の宣戦布告によって、アリスは避け


 て通れない戦いに巻き込まれることを悟っていた。


 アリスの軍部では、戦時体制が整えられていった。


 各軍が、戦地に向かえば防衛力が失われる。


 そのためアリスでの中心都市の襲撃を想定した訓練や兵器の点検が行われ、避けては通れない戦いに混乱しつつも準備を進めていた。


 —ヴァリス教徒軍 東部海上通信部—

 空軍の偵察機が、Hyurioの総統らしきものを搭乗した小さな飛行艇を捉えたとの連絡が入った。


 度重なる緊急事態に通信部は驚きと戦慄に包まれた、指揮官たちは冷静な判断を下さなければならない状況に直面していた。


 指揮官たちの中でも、通信部隊長であるライヒマンは特に重要な決定を迫られていた。ライヒマンは戦略地図の前に立ち、部屋を埋める静寂に包まれながら考え込んでいた。


 その時、司令部の通信装置が静かにビープ音を発し、総統からと思われる謎の通信が入った。ライヒマンは、息を呑んだ。深呼吸し、通信装置の前にたち、応答した。


「こちら通信部!」

 ライヒマンの呼びかけに、低い声で通信先の男は答えた。


「攻撃の意思などはない。」

 報告された飛行艇のサイズ感から見て武器などは搭載していないものと見立てを立てていた。総統の策略を瞬時に予測した。


 交渉もしくは正式な宣戦布告風景をメディアに放送し、観客を集めスターフロンティアの戦いに注目させる狙いだと見ていた。しかしそれだけでは危険すぎる行動。ライヒマンは、思考した。ひとまず防衛部隊を総統の降着地点に配備し、万全の体制での着陸を強要する作戦に出る。


「我々も無駄な争いは避けたい。東に見える海上に浮かぶ航空母艦に着陸を願う。」そういって。通信を切った。


 少し時間が経つと、空母に赤い飛行艇が静かに着陸した。


 静かに緊張が走る。

 扉を開けるとともに兵士たちは銃を向けた。


 その瞬間 


「おろせ!馬鹿者共!」臨時で来ていた陸軍軍曹シーダ が声を荒げた。兵士たちは一斉に武器を下げた。

「恨む気持ちも、恐れる気持ちも、今はしまっておけ。この男にそんなものをぶつけても何の解決にもならん!」


 そう言ってシーダは、総統の元へ静かに歩みよりながら


「いきなりですまないが、帰っていただく方が賢明かと。

 今更頭を下げろとはおもわんが、ここに居座り続ける限り覚悟は...したほうがいい。」


 総統は、ふかしていたパイプ煙草を、地面に落として、シークレットと表記された書類のようなものを木張りの大きなトランクケースから取り出した。


「この惑星の一番 上 のものに渡せ。」


 シーダは、書類を受け取った。


 そして総統は、手を叩き始め、声を上げた。


「さて諸君!君たちが、私に出会った記念として土産話をしよう!」


 その瞬間に、兵士たちの胸の通信機のpowerランプの赤い光が消滅した。

「今からする話は、シークレットな話だ。すこし通信を妨害させてもらう!」


 シーダは危険を察知し、ライヒマンに書類をすかさず渡し武器を構えた。


「勝手な真似を!総員構え!!」


 そこにいた総勢、30名ほどの部隊が一斉に銃口を向けた。


 総統は、なんの躊躇いもなく話し始めた。


 しかし構えていた武器が突如全兵士の手から離れていった。


「私たちは、アリスの民からすれば憎むべき影の存在。」


 その武器を、起点にカーテンを開くように続々と総統の手下らしきものが奪った武器を構えながら現れた。

 武器を奪われた兵士は、呆然と話に聞き入り始めた。


「諸君らとの亀裂は大きな戦争を起点に生まれた。科学実験のように各国の新兵器が投入され、惑星中が破壊され尽くした戦争。」


 かつてヒューリオとアリスで戦争があった、全惑星を巻き込んだ大きな戦争だ。


「歴史上最短で最多の死者を出した戦争。

 この発端となる原因はわかるか?」


 ライヒマンが口を開いた。


「ドミニード大聖堂の大爆破テロ事件。」


「そう。芸術、聖職者養成、学問、国教の中心となる大聖堂が、hyurioの構成員を名乗るものによって一晩で瓦礫の山になった。」


「この事件以降両国の、緊張は高まり徐々に戦時体制が整えられていった。


 しかし、当時総統であった私の父はその一報を受けたとき、驚いていた…


 Hyurioの構成員を名乗った人物に見覚えはなく、Hyurioとは全く関わりのない人物だったからだ。ここでHyurioは、独


 自で捜査を始めた結果とある一つの可能性に辿り着いた。」


 総統が、一休み煙草に火を点けたと同時に兵士の胸にある。通信機のPowerランプが復旧した。ライヒマンの通信機に、ビープ音が鳴り響いた。


「ピー.——.東部海上通信部へ。首相からの命令が降りた。SROが直にそちらへ向かう。総統から受け取ったとされる機密書類をSROの隊員に渡し、渡し終えたその瞬間から戦闘を許可する。」


 SROの大きな飛行艇が雲を裂きながらこちらへ近づいてくる。


 総統「話は、お預けだ。嘘も迷いも真実と覚悟の前では無力だ。”私たち”の勝利を願おうとしよう。」


 そういって総統は、飛行艇に乗り込み颯爽と姿を消した。

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