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同病相憐れむ

「襲い受け」とは。

BLにおいて、受けキャラが攻めキャラに対して性行為を持ち掛けることで、攻めキャラを誘惑して性行為を誘発させることを狙っている「誘い受け」とは、また少し違ったキャラの事。もしくはシチュエーションの事。

しかし、襲い受けも誘い受けも、攻めキャラを受け入れる立場ゆえに最終的に攻めキャラが()()()()()()()()()成立せず、最終的な判断はやはり攻めキャラの()()()次第という事になる。美月ちゃんも私も女の子同士だから、男の子同士以上に襲い受けが成立しにくい。


と、いうか・・・。どういうこと?

え~と要約すると美月ちゃんは、百合でBL好きで男の子も好きで、なおかつ襲い受けキャラってこと? 複雑すぎない?

そもそも百合って、今まで恋愛とかどうしてきたの? と尋ねると美月ちゃんは、それが原因で避けられたり、また、虐められたりもしたという。その答えは、はじめにも当てはまるようで、思わずはじめは美月ちゃんの手を取ってから、お互いに納得し、励ましあう様に抱き合っている。

こんな時に不謹慎だけど・・・・・・。眼福な光景過ぎて鼻血が出そう。

私の目の前でロリータと巨乳娘の百合プレイが繰り広げられている・・・・・。これに興奮しない男性はいないだろう。当然、私の中に復活し始めている男心を刺激しまくっている。

私の脳裏には、美月ちゃんがはじめに襲い受けを仕掛けるシチュエーションが繰り広げられている。

押し倒される小さなはじめ。その体に這うように詰め寄りながら上目遣いで見つめて衣服を一枚づつ剝ぎ取っていく。はじめの目に豊満な乳房をさらけ出した美月ちゃんの姿が映る。

その姿に思わず興奮したはじめの男性自身を握り締めて「あら? はじめちゃんは、女の子なのに、こんな風になっちゃうのね? いけない子だわ。私の中でお仕置きしてあげる。」とささやく美月ちゃん。はじめは赤面しながらも、美月ちゃんの次なる攻めを期待せずにはいられなかった・・・・・。

って、真っ昼間にこんな卑猥な妄想をしている場合じゃないわっ!

「いや、そういう場合じゃっ!!

 続きをっ!! 早く、妾にその続きを聞かせよっ!!」

私は心の中でそうせかせるお姉様を無視して、往来の中で抱きしめあう美少女二人に忠告する。

「あ、あのさ・・・。二人の世界に入っているところを悪いんだけど、皆が見ているから、やめない?」

私の一言に我に返ったはじめが、状況を察して慌てて美月ちゃんから離れると、美月ちゃんは「いやああ~~~んっ・・・・」と、名残惜しそうに鳴いた。

はじめちゃん。男の子なのに、本当に柔らかいのね。女の子とハグしてるとしか思えなかったわ・・・。どう? 私、アリじゃない?」

などと、ド直球に自分の感想を語る美月ちゃん。う~ん。こういうことを言わなければ、女の子のグループからハブられないんじゃないかな? と、言いかけてやめた。それを言うのは酷か。

それと同時に私は美月ちゃんに迫られた女子たちにも同情する。この場合、虐めは、自分の貞操を守るための防衛本能ともいえるから・・・・。勿論、それが虐めまで発展しちゃうのは、明らかなオーバーキルで、許されないことなんだけど・・・ね。


美月ちゃんに女の子みたいって言われてご満悦のはじめだったけど、はじめは訂正する。

「私、隆盛のことが好きになってから、完全に誘い受けだから・・・・。男の子じゃないと嫌だから。」

と、ハッキリと告げる。

オブラートに包むことなく、はっきりと百合に脈がない事を告げるのは、同性愛者同士にしかわからない優しさか。美月ちゃんも「あら・・。」と返事するけど、落ち込んだ様子はない。

そういえば、BLの本で読んだことがある。互いに完全に受けキャラ同士の場合、どれだけ好きになっていても、その瞬間に百年の恋が冷めるというか、()()()()()()で恋愛が成立しなくなるということが通常、現実世界でも当たり前のことのように起きているのだとか。この場合は、振った振られたの話じゃなくて、双方にその意思が無くなってしまうという事なのかな? よくわからないんだけどさ。

「そう思うと・・・・・ここの三人って、全員受けキャラだから、恋愛って私立しないよね。」

私は思わずポツリとつぶやくと、はじめは、「明ちゃんは、特にドМだから・・・・。」と言って笑う。

貴様っ! なぜ、それを知っているっ!?

「そんなの見ていればわかるわよ。明ちゃんのことを男の子だと思っていた時は、マゾ責めしていれば、することは出来ると期待してたんだけど、まさか・・・・女の子だったなんてねぇ・・・・。」

同胞は同胞を察することが出来ると言うけれども、はじめは最初っから私のM気を察して、あの時、女装レズを仕掛けていたんだね。

ん? でもそれって、自分が受けになることを前提にしてたってことで、私全然得しないじゃないのっ! ズルいぞっ!! 自分だけ受けを堪能しようと思っていたなんてっ!

私が心の中でつまらない抗議をしていると、美月ちゃんがはじめに同調した。


「そうなのよね。私もあかりちゃんが男の子だと思っていたから。急に実は女の子でしたって話になった時は、ビックリしたわ・・・。」

私が男の子だという認識は間違っていない。正確に言うと元・男の子。豊穣神であるお姉様の呪いで男の子から女の子に変えられてしまった。でも、世間的にそんな話をして信じてもらえるはずもなく、一応、家族以外には「医療ミスで男の子と勘違いされてしまった女の子。」という説明をしている。最近はホルモン異常で巨乳化していると説明しているから、なおさら、誰も私が元は本当に男の子だったとは思っていない。

美月ちゃんは百合娘でありながら、男の子もいけるクチで、私が男の子の頃から好きでいてくれた人・・・・。そう考えると、私はこの弱弱しい女の子の純情な思いに何も感じないわけではなかった。

でも・・・・私も今は、男の子の方が好きなんだよね。


「私、あなた達は私がどういう子かを知った後も虐めないし、あなた達と出会えてから、とても楽しい高校生活を送っているの。

 お母さんも私が元気になったととても喜んでくれているし・・・・。できれば、このままずっと一緒にいさせてほしいのだけど・・・・。」

はじめに振られた後に直ぐに関係の維持を持ち掛けるのは、タフと言うよりも切実な願いと言うべきなのだと思う。

私は、美月ちゃんの手を取って、「大丈夫よっ!! 私達、BL仲間じゃないっ!!」と答えた。

その言葉に大粒の涙をポロポロとこぼしながら、私に抱き着く美月ちゃん。

きっと、嬉しいんだろうね。複雑な事情を持つ美月ちゃんを受け入れてくれる人は、そうそういない。

私もはじめもどちらかと言えば、「同病相憐れむ」状態に近い。きっと、私達のような存在でないとお互いを受け入れにくい・・・・。

私は、さっきはじめに往来の中で女の子同士が抱きつくなんて・・・と、注意したというのに、人目もはばからずに泣きつく美月ちゃんのことを優しく抱きしめてあげた・・・・。


「それにあかりちゃんは、ドМだから、押せば何とかなるかもしれないし・・・・・。」

美月ちゃんは、ぼそっと呟いた。

あれ? この子、逞しすぎない?

私はそう思いながらも、私に抱き着く柔らかい体を堪能しながら、ドМの私を攻め落としてくれる美月ちゃんの姿を心の片隅で妄想してしまうのでした・・・・・。

これもきっと、お姉様に長きにわたってレズ行為を持ち掛けられた影響ね。私は自分からもお姉様に誘いかけたことがあるくせに、自分の中に芽生えている百合属性をお姉様のせいにして納得する。

ああ・・・・そうだ。もし、美月ちゃんに襲われてそういう関係になっちゃったら、お姉様も交えて3人で絡んでもいいのかなぁ・・・・・。などと、乙女にふさわしくない妄想をしてしまう私でした。

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