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もっと・・・・もっと・・・・

「そうじゃない。こうだ・・・。」


耳元で甘く響く隆盛(りゅうせい)の低い声。男らしいその声に私は背中がゾクゾクするほど感じてしまう。

隆盛はビリヤードのボールの突き方を教えてくれるという名目を利用して、私の体に後ろから覆いかぶさるかのようにまとわりついて、私の姿勢を矯正する。

ああっ・・・・。

こ、こんなの駄目だよ・・・。エッチすぎるよ・・・・。

私の胸の鼓動は早鐘のように鳴り響き、呼吸は浅くなって途切れ途切れにため息が出そうになる。

デートに出かける前に私は、露出の多い服を着て隆盛を誘惑してあげようと思った。女の子が隙を見せてあげた方が男の子も積極的になるだろうと・・・・。その目論見は結局ママに阻止されて、露出を控えた清楚な服装に変更させられたのだけれども、それは全くの無意味だった。

だって、隆盛は最初っからやるつもりだったから。こうするつもりだったから。

思い返せば、私は一度、お兄ちゃんを選んで隆盛と不知火先輩を断った。その時、二人は私に壁ドンして強引に関係の継続を要求した。

あの時、二人は「これからは本気出す。」と言って、それからとても積極的になった。私に隙有ればスキンシップをしてきた。そのたびに私は正気を失いかねないほど、身も心も蕩かされてしまって、二人の成すがままに従ってしまっていた・・・。

そんなことを繰り返していれば、誰だって私がお兄ちゃんだけでなく、二人に対しても少なからず脈があって、そして、強引に迫られたら言いなりになってしまいやすい女の子だってバレてしまう・・・・。


だから、私が露出の多い服だろうが、露出の少ない服装だろうが隆盛が遠慮するはずがなかった。

今の隆盛の立場は野球に例えれば、9回2死の状況からの逆転ホームランを狙うようなもの。一度、他の男を選ぶと決めた女の子に自分を振り向かせる賭けに出ているのだから、大胆な行動に出るのは当然だった。

しかも、隆盛は戦いのプロ。相手の弱いところを速やかに見つけて、その弱いところを徹底的に攻めることに長けた人・・・・。私のようなチョロい女の子の弱点なんかあっさり見つけて、そこを攻略するの。

私はビリヤードに来る約束を承諾した時点で、蜘蛛の巣の糸に絡まった蝶々のように隆盛の罠にかかっていたんだわ‥‥。


私は期待していた。

隆盛がエッチな事を仕掛けてくれることを。初めてバックからハグしたときのように甘美で危険な攻め方をしていることを・・・・。

その思いは今、叶い、私は、隆盛の成すがままにされてしまった。

隆盛は、私のスイッチが入ってしまったことを察知したのか、さらに大胆な行動に出る。

私の腰を掴んでグイッと自分に引き付ける。


「アンッ!!」

突然のことに私は思わず、声を上げる。

そして、自分が無意識に上げたその声の甘さに自分でも衝撃を受ける・・・・。

・・・駄目よ・・・明(あかり)・・・。

こんなエッチな声を上げたら、・・・まるで隆盛にこれ以上の行為をおねだりするのと同じじゃない・・・・。

しっかりして、明(あかり)・・・・。と、私は自分自身をコントロールしようとしたのだけれども、隆盛はその隙を与えてくれない。

「どうした?

 随分、甘ったれた声を上げるじゃないか?。」

隆盛は私の心の状態を正確に把握しているようで、私を甘く攻めてくる。その責め言葉は、ドМの私には甘美な響きだった。

「・・・・・やぁぁん・・・・。だってぇ~・・・・。」

知らず知らずにさらに甘ったれた声を上げてしまう私・・・・。私は求めていた。隆盛が更に攻めてくれることを・・・・・。


「ふふっ・・・。知ってるぞ、明。お前が弱い部分(ところ)をな。

 でも、心配だなぁ・・・。明は、誰にこうされても、こうなっちゃうエッチな子なのかな?」

隆盛は私を虐める。優しく、挑発的に。

「ち、違うもん・・・・。他の男の子たちなんか、エッチな目つきで見られるだけで、私は、嫌だもん・・・・。

 私がこうなっちゃうのは、隆盛とかお兄ちゃんたちだけなんだから・・・・。」

私は、隆盛に小さな抵抗を見せるものの、その言葉は、隆盛を刺激した。


「この状況で他の男の話をするのか。

 明は、いけない子だな。」

そういうと隆盛は、ビリヤードの突き方の指導をする名目さえ捨て去ったかのように、私の姿勢を矯正するために、私の右腕を持っていた手で私をグイッと抱き寄せる。完全に私は隆盛に抱きしめられてしまった・・・。

「・・・・ああっ・・・・。」と、私は甘い吐息上げて、隆盛を拒絶するどころか、受け入れる合図をするかのように抵抗しない。

キューを握っていた手は力なく崩れ、ビリヤードのテーブルに置いているだけになってしまう。今、全身の力が抜け落ちようとしている私の体は隆盛の支えが無ければ、ビリヤードのテーブルに倒れ込んでしまうかもしれない・・・・・。


「なぁ、明・・・・。他の男にもここまでさせるのか?

 他の男にもそんな甘ったれた声で挑発するのか?」

隆盛の言葉は、私をきつく叱っているかのようだけれども、その響きは甘く優しい。

見抜かれているのね・・・。私がどういう女の子だってことが・・・。私が皆にどうされたら弱い女の子かって・・・。

私はその甘美な責め苦に堪え切れないようになって、音を上げる。

「ご・・・・ごめんなさいっ・・・・だって・・・・だってぇ~・・・。」

無意識のうちに幼子のような話し言葉になってしまうのは、私が隆盛にもっと甘えたいと遠回しに訴えているからだけじゃないの。

私は知っている。隆盛がロリコン気味の男の子だってことを。だから、無意識のうちに幼稚な喋り方になって隆盛の性癖を刺激していた・・・・。

私は求めていた。あの時のデートのように刺激的で淫靡な展開を・・・・・。

私のその挑発は、隆盛の心の琴線に触れたのか、絡めてきた両腕をまさぐるようにしながら、さらに強く抱きしめてきた。

・・・ああっ・・・もっと、もっと強く抱きしめて・・・・。

もっと、私をあなたの体と一つになれるように、強く・・強く抱きしめてっ!!・・・・。

心の中の高ぶりは体にまで影響を及ぼす。呼吸は乱れて「はぁはぁ・・・。」と吐息紛れになって行く。


「明・・・。わかっているぞ。興奮しているんだな。

 俺で。俺の体で・・・・。」

まるで私の支配者のような口ぶりで囁かれて、私はアッサリと屈服してしまう。

「・・・は、はい・・・・。」

と、従順な返事を返してしまう。今、私と隆盛の立場がはっきりしてしまう。

そのことは、敢えて語り合わなくてもお互いに以心伝心で理解してしまう。そういう空気になっていたから・・・・。だから、隆盛は更に私を責めてくれる。

「言ってみろよ。他の二人と比べて誰が一番いい?」

私は羞恥心で顔が真っ赤になってしまう。そして、同時に、隆盛を求めてしまって、音を上げる。

「りゅ・・・・隆盛が・・・・。

 今は隆盛が、一番・・・・・・好きです。」

状況に流されて出た言葉とは言え、それは本心でもあった。

私は隆盛の、この逞しい体が好き。私の弱いところを正確に把握して攻めてくれる憎らしいところも好き。

まるで私の全てを把握してくれているかのように感じさせてくれる隆盛のことを。私は他の二人のことを忘れ去ってしまうほど、今、落ちていた・・・・。


「隆盛が一番好きです。」この一言で、すっかり隆盛に火が付いたようで、私の体をまさぐる手がドンドン胸元へ摺り上がってくる。

・・・・ああんっ!! 来てっ!!

隆盛、そこへ・・・・・私の敏感なところまで早く来てっ!!

お願いっ!! じらさないでっ!!

早くっ!!・・・・ねぇ・・早くぅ~~っ!!


私は心の中で隆盛にそう叫んでいた。背中越しに隆盛の胸の鼓動と、呼吸の乱れた吐息を感じて、私もさらに昂る。私でこんなにも興奮してくれることに歓びさえ感じて、私の体は、鳴いて滴る。

そして、・・・・・ついに、隆盛の手が私の胸に迫ってきた・・・・。


その瞬間、

「おいっ!! 何をしているんだっ!!

 君たちは未だ、高校生じゃないのかっ!?」

と、ビリヤード場の店員さんの叱り声が響き、私は驚きと羞恥のあまり、「きゃああっ!!」と、声を上げてしまう。恥ずかしくて、力の限り抵抗して隆盛の体から離れた。

「ちっ・・・。いいところで邪魔しやがって・・・。」

目上の人に対して礼儀正しいはすの隆盛が、楽しみを奪われた怒りのあまりに暴言を吐き、睨みつける。

私は慌てて、

「や、やだっ! やめてよっ!!

 私たちが悪いんだから、・・・・店を出ようよぉ・・・・」と、隆盛を制止する。

その声に隆盛も我に返ったようで、軽く会釈すると、私の手を取って店を出る。

その手は少し痛かったけど・・・・それでも、私は自分でもわからない理由で、隆盛の手を嬉しく感じていた。


店を出て、往来の前に立った時、私はようやく催眠術から覚めるように正気になる。

あああああっ!! わ、私、なんてことをっ!!

簡単に隆盛を受け入れちゃってッ!!

わ、私、ここまでエッチな子じゃないはずなのにっ!!?

思い出すだけで羞恥で顔が真っ赤になり、その羞恥から逃れるために半ば、八つ当たり気味に隆盛に文句を言う。

「や、やりすぎだからっ!!

 もう、当分の間、デートの時にボディタッチは、反則なんだからねっ!!

 さよならっ!!」

私は、自分も挑発したというのに、隆盛を責めるだけ責めて、デートの終了を宣言する。

隆盛も私の羞恥心をわかってくれたかのように、肩をすくめて「わかってるよ。じゃぁ、今日はここまでだな。」と、憎らしいほど冷静な笑顔で私の言葉を受け入れてくれた。

隆盛に踵を返して早足で駅の方に向かう私の背中に隆盛の「次はもっと行くから・・・。」という声が聞こえた・・・・。

その言葉に私は期待していた・・・。

だから、家に帰った途端に服も着替えぬうちに、滴る自分の体を抱きしめるように一人で始めてしまう。

その時、私の脳裏には、優しいご主人様のように私を支配してくれる隆盛の映像が流れていた・・・・。

そんな私の心にお姉さんが忠告する。


「危ないところじゃったな。お前がトリップしてしまうから。

 妾が店員を操作して止めに入らなんだら、お前たちは何処まで行ってしまっていたことか・・・・。

 今、お前の体は、繁殖期(ラヴシーズン)を終えようとしているのに子種を得ていないことに本能的に焦っていおる。だから、通常の何倍も落ちやすく、男を受け入れやすくなっている。

 隆盛に支配されることに快感を得ていたじゃろう? 今でも、そういう妄想に取りつかれておる。雄が自分を求めてくれることに快感を感じさせることで繁殖を促す本能じゃ。

 これから、その傾向はさらに強くなる。これまでは受け身じゃったが、露出の多い服を無意識に選んだように、お前の方から男を刺激するようになるからの。重々、気を付けることじゃ・・・・。」


でも、隆盛との妄想に熱中する私には、お姉様の声は遠くから響く鐘の音のように、心まで届かない。

そんな私にため息をつくお姉様は、

「やれやれ・・・。このままでは、今晩当たり、武(たける)を押し倒しかねんな・・・。

 これからは更に妾が監視してやるでな・・・。」

と、呆れたように呟いたのでした。

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