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ど、どどど、どうしようっ!!女装姿を見られちゃったっ!!ん?私、今。女の子だから女装って言うのかな?

土曜日に私は決行する。

何をって?

それは勿論、女物の服を買いに行くことですっ!

新たに購入する下着や服を入れる大きめのバッグと出来るだけユニセックスに見える服装と化粧道具を用意して私は出かける。

先ずは普通に家を出て、それから飲食店の個室トイレでお化粧をして、ネットオークションで格安で買ったカツラとグラサンをして女の子になってから、女性服の店に・・・・・・・・

・・・店に行こうと思うのだけれども・・・・流石に入る勇気が出ない。

「だらしない奴じゃのう。さっさと、入らんかい。それでも男かっ!!」

今は、女の子だもんっ!

「・・・・ついに女であろうとしてきたか・・・・・困った子じゃ」

だってぇ・・・・・

「よいよい。妾も女じゃ。綺麗な服を着たいという女心をどうして責められようか。

 ほれ。あれじゃ。女性服の専門店ではなく、量販店が経営する服屋に行ってみればどうじゃ?

 はじめのようにな。

 女装客でも受け入れてくれるというのなら、本物の女のお前がどうして気おくれなどするものか。

 まずは、そこから始めて段々と女性服の専門店に行けばよいのじゃ。」

お姉様の優しいアドバイスに心が温まる。

・・・・・・うん。わかった!!

お姉様。私、頑張りますっ!!

まずはデパートの中の服屋さんに入りますっ!!

そして、女の子として成長していこうと思いますっ!!

「・・・・・成長するんかいっ!!」

軍資金はある。

いざっ鎌倉っ!!

「どこまで買いに行くつもりじゃ。」




デパートの女性服売り場に入った瞬間、「店員さんに呼び止められるんじゃないか」と、心配して、口から心臓が飛び出るほどドキドキしていたけど・・・・

服を物色し始めてから、そんな気持ちはどこかへ行ってしまった。

ハンガーにかけてある気に入った服を片っ端から体に当てて、似合うか確認する。

気に入ったものは、もちろん。流行りの服もチェックしながら、私はどの服が似合うか、夢中になって試してみる。


いや~ん。この服、可愛いっ!

ね?お姉様。これ、私に似合ってません?

ねぇ、ねぇってばぁっ!?

「うるさい奴じゃのう。気になるなら、試着してみればよかろうがっ!」

あ、そ、そっかぁ・・・・・

うん。試着室空いてるし、入ってみようかなっ!!

「ウキウキしおってからに・・・・・お前、もう戻れんかもなぁ・・・・・」

えへへっ!

なぁに?お姉様?

何か言いましたっ?

「・・・・・何も言うとらん。なにもな・・・・・。お前が幸せなら、それに越したことはないかも知らんしな。」

変なお姉様っ!!

ようしっ!!着っ替えるぞぉっ!!

試着室のドアを閉めて、自分の全身を見る。

あらためて見ると、オッパイがもう隠すのが難しいサイズになってきている。

・・・・・ああ。もう、私。完全に女の子じゃない・・・・。

でも、意外といやじゃないのね。

そうして、お姉様の目測で合わせたサイズの可愛い黒色のキャミワンピースを着る。

男の子ってこういう清楚な感じの服好きだもんね。

こういう服着て、隆盛や不知火先輩を誘惑しちゃおうかなっ!?とか、妄想が膨らんじゃう。

あと、お兄ちゃんに「可愛いよ。あかり・・・・・・」とか、あの声で言われちゃったら、私どうなっちゃうのぅ~~~っ!!

「やかましいっ!!一人で盛り上がって、心の中で叫ぶ出ないわっ!

 全く、完全に落とされる気満々ではないかっ!!

 ま、いいがの・・・・・。」

もう、お姉様。そればっかりっ!!

ま、いいかっ!!

これにしようっと!!

・・・・・・がちゃり

と、扉を開けた時。


目の前に女装したはじめがいた・・・・・・・。


「「あっ・・・・・」」


あかりちゃんっ!!?」

はじめは、一発で私が誰だか見抜いたっ!!

何でっ?私、化粧してるし、カツラも被ってるよね!?

美術部だし、油絵で塗りたくるのも上手だし、完璧なメイクのはずなのに・・・・・

なんで?

なんで一発でバレるのっ!!

「ふっふっふ。・・・・やっぱり、明ちゃん。私と同じ人だったんだっ!

 ラノベの題材にするなんて、おかしいと持ってたのよっ!!

 ね?そうやってお化粧していたら隠せると思った?

 私がごまかされると思った?」

・・・・う・・・・うん。

「女装舐めんじゃないわよっ!!

 こちとら、明ちゃんみたいな可愛い子が女装するよりももっと凄いオッサンが美少女に変身しているのを見てきたんだからっ!!少々の女装だったら見抜いて見せるわよっ!!

 それに明ちゃんの微々たる変装なんか、誰だってお見通しよっ!!

 バレないなんて思う方がおかしいのよっ!!」

えええええー--っ!!

うそっ!!どうしようっ!!お姉様っ!!

「うむ。妾も同意見じゃ。バレないと思う方がおかしいのぅ・・・・。」

ええええええええええええっ!?

もっと早くいってよぉおおおおおおおおっ!!

私が必死に抗議するのに、お姉様は何も言ってくれないどころか、笑っていた。



「ね、明ちゃん。その服を買うなら、もうそれに着替えて、一緒にデートしない?」


え?

「女装レズのデート。楽しいわよっ!!」

うーん。

どうしよう・・・・・。

「ね、はじめ。女装レズとか言って、私を襲わないでよ?私、ちゃんとした男の子がいいの」

「こんな人前で襲わないわよっ!安心してっ!!・・・・ていうか、明ちゃん。そういう男の子がいいの?・・・・・・・ふーん。」

あ、なんかションボリしてる。

自分と同じで私が可愛い子が好きだと思ったのかな?

うーん。どっちかというと、可愛い子よりも不知火先輩みたいな綺麗な男の人の方が好きかなぁ・・・・。

「何を真剣に悩んどるのじゃ。そんなことより、どうするんじゃ?

 はじめとデートするのか?」

うーん。デートって言うか。

一緒にウィンドウショッピングかな?

「よしっ!!はじめ。じゃぁ、一緒に見て回ろっか?」

私がそう言うとはじめは、嬉しそうに目をキラキラさせながら「うんっ!!」と返事する。

ああ・・・・・。この娘。可愛いかもっ・・・・・・。

それから、しばらく私は新たに買ったキャミワンピ姿でデパートをはじめと一緒に歩いて回る。

一緒にお話しして、一緒に歩く。

同じものを見て、同じものを可愛いねって言いあって歩いた。

そして、喉が渇いたころにデパート内のレストランに入ろうと言い出して・・・・・この時、帰ればよかったのだけど・・・・レストランに入ったのが、運の尽き。

入った矢先、入り口付近のソファーに座る隆盛と目があってしまった!!


「あ、ああああ、明っ!!?」

隆盛りゅうせいっ!?」

ビックリした声を上げる隆盛と私。

硬直する私と隆盛を見てはじめが不思議そうに聞いてきた。

「だれ?明ちゃんの知り合い?」

その声に我に返った隆盛は、はじめを見て「あっ!!お前、隣のクラスのコスプレイヤーの八也 初やつなりはじめかっ!?」と、驚いた声を上げた。

「えええええ~~~っ!!な、なんで僕のことを知ってるの?」

はじめはあまりにも驚きすぎて、素が出ちゃったようで自分のことを「僕」といっていた。

その時、私は、心のどこかで「ああ。そっかぁ・・・・・私と違って心の奥は、男の子なんだぁ・・・・」って冷めた目で見てしまった。

はじめは、私と違って男の子なんだ。そして、私はいつの間にか・・・・・女の子になってしまったんだ・・・・・。

そう思うと急に涙がポロポロ溢れてくるのを私は止められなかった。



「うわあああっ!!お、おいっ!!泣くなよ!!だ、大丈夫だよっ!!誰にも言わねぇからっ!!」

「うわあああっ!!あ、あかりちゃん!!泣いちゃダメ!!お化粧が流れちゃうっ!!」

二人は同時に全く違う心配をしながら、私の涙に驚いていた。

それがおかしくって・・・・・

違うの。二人とも・・・・

私ね。

嬉しいの・・・・・女の子になっちゃったことが・・・・・。

そうやって慌てる二人を見て、私がクスッ!と笑った瞬間、扉を開けて不知火先輩が入ってきたっ!!

・・・・・なにこれ・・・・・・

不知火先輩は泣いている私とはじめと隆盛を見ると、私をかばう様に二人の前に割って入って立ちふさがる。

「君たち・・・・・僕の後輩に何をした?無理やり女装でもさせたのかっ!?泣いてるじゃないかっ!!」

と、大人しい普段の様子とは裏腹にまるで王子様のように二人の前に立ちふさがってくれた。

やだ・・・・

やだ、不知火先輩カッコいい・・・・・って、先輩。肩、・・・・震えてますやんか・・・・


ああ・・・・そっかぁ、隆盛か。

家が空手流派の宗家で空手の特待生。しかもプロのキックのリングにも上がっても今のところ無敗とか言う学校の伝説になっている男に立ちふさがってるんだもんね・・・・・そりゃぁ、怖いよねぇ・・・・・・

そんなに怖いのに、私を守るために隆盛に立ち向かってくれるなんて・・・・・・

本当に胸がキュンときちゃう・・・・・

不知火先輩。かっこいい・・・・・。


なんて、思っていたけどはじめの方は、限界みたいで「怖いよぉ・・・・・喧嘩やめてよぉ・・・・」って、泣き出しちゃった。その涙に、隆盛と不知火先輩も呆気にとられて、睨みあいは終わった。

これが本当の水入りって奴ね・・・・・。

その後、私たちは店員さんに案内された一つの席に相席して睨みあうように座る。

私の隣には怯えるはじめ。そして対面には隆盛と不知火先輩が座る。

不知火先輩は隣に座った隆盛が怖いのか綺麗な顔が青ざめていた。それがまたきれい・・・・・。

「で、なんでそんな格好してるんだよ?」

隆盛が語気強く尋ねると、はじめはビクッと、体を震わせる。

でも、そのおかげで私は言い訳を思いつく!!

「あ、あのね、コスプレっ!ほら、はじめと一緒の・・・・・。」

というと、不知火先輩と隆盛は、はじめと私を交互に見る。

「ああ。なるほど。そっちは有名な女装レイヤーだったな。」

と、隆盛は納得するように言う。

それを聞いてはじめがびっくりしたように聞き返す。

「ええっ!?僕。有名なのっ?」

「有名どころかネットで身バレしてるぞ、お前。俺もこないだシェア記事で廻ってきたから知ったんだけど・・・・。」

はじめは、それを聞いてヘナヘナと机に倒れ込み「ええ~なんだよぉ・・・・じゃあ、僕は今まで何のために必死で隠してるつもりになってたんだ・・・・・」と、悲壮な声を上げて呟くのだった。ご愁傷様。

「なんだ・・・・最近、女の子っぽいと思ってたけど・・・・・コスプレが原因かぁ・・・・・」

と、不知火先輩もズズズッと、ソファーから滑り落ちるように脱力する。

よく見たら隆盛も腕を組んで天井を睨み「なんだぁ・・・・そっかよぉ・・・・・正夢じゃなかったのかよぉ・・・・」と、呟いた。

ほっ・・・・なんとかコスプレと称して上手く誤魔化せた・・・・・

私とはじめは、このことは他言無用にと両手を合わせて頼んだら、二人は了承してくれた。

真っ赤な顔してたけど、怒ってたのかなぁ・・・・・・

人騒がせな奴だなぁって思われちゃったのかなぁ・・・・・・


「あほか。あれは二人ともまだ、お前に脈がある証拠じゃ。

 あざとい素振りで男心を弄ぶとは、末恐ろしい悪女じゃな。お前は・・・・。」

さっきまで黙ってたくせに、家に帰った途端に、話しかけないでください。

人が困ったときに何の助け舟も出さないで・・・・・。

「なんじゃ、助け船が欲しいか?」

当たり前でしょっ!!

継母ママ~っ!!ただいまぁっ!!」



~じゃあ、アドバイスじゃ。お前、女装したままじゃぞ。~


私は、お姉様の忠告を全て聞く前に勢いよく、リビングの扉を開けて部屋に入る。

あっ・・・・・・。


「「あ、あかりっ・・・・!?」」


リビングにお兄ちゃんと継母ママのビックリした声が響き渡るのでした・・・・。

うそっ・・・・・・・。

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