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旅行の予定を立てるわよっ!

お姉様と皆の助力のおかげで私は、どうにかこうにか80位以内の成績を収めることが出来た。

この結果に一番驚いたのは、何を隠そう私自身で、実は試験前には「頑張ったけど、どうせ無理だろうな・・・。」とあきらめかけていたのだけれども、それでも最後まで全力を注いだおかげか、見事に結果を残すことが出来た。前回の試験よりも100ほど上がっているので、大したものだと思う。やっぱり、最後の最後まで諦めずに頑張るって大事なのねって、実感したわ。

ちなみに、期末試験の結果に一番驚いたのは私だけど、一番喜んでくれたのは友人たちではなくママだった。

「すごいっ!! すごいっ!! やればできるじゃないのっ!!」

って、子供みたいにピョンピョン跳ねながら喜んでくれて、その晩は、ステーキを食べに連れに行ってくれた。よっぽど、心配かけてたのね。ごめんね、ママ。あかり、今までと違って今度からもっと頑張るからねっ!


そして、私は約束通りに期末試験で結果を出すことが出来たし、不知火先輩も別荘を使うことの許可が下りたので、夏休みは満喫できる。

参加者は、私。お兄ちゃん。不知火先輩。隆盛りゅうせいはじめ美月みづきちゃんの計6名。もしかしたら当日の最初だけ、不知火先輩のお父さんが様子見に来るかもしれないらしい。当然、先輩のお父さんが私達女子の姿を見たら、3日間居続けるかもしれないけど、まぁ、保護者の立場を考えたらそうなる可能性が高いと思う。

私としては、やましいことをするつもりはないし、保護者の存在は特に気にならない。むしろいてくれた方が、色々と助かるかもしれない。6人いるメンツの中で移動手段があるのは、お兄ちゃんの車と隆盛のバイクだけだから、むしろ送り迎えをしてくれる車が増えるのはありがたい事だった。


放課後、私達は美術室に集まって、別荘にお泊りする日と、当日乗り合わせる車の割り振りを決める話題で盛り上がる。

「ここは、公平に決めましょうよっ!! 明ちゃんはお兄さんと美月ちゃんと一緒に乗り合わせて、私と隆盛と不知火先輩が、不知火先輩のお父さんに送ってもらうことにしようよっ!!」

「ちょっ・・・・。はじめっ!! それのどこが公平なのよっ!!

 あんたは私と一緒の車っ!」

「え~っ!? じゃぁ、隆盛も私と一緒に明ちゃんの車で移動ねっ!」

「まてまて、それだと隆盛が役得じゃないかっ! 川瀬かわせは僕と同じ車じゃないと不公平だろっ!」

「え・・。じゃぁ。私、女の子一人で不知火先輩の家の車に乗るんですか?」

「やったじゃん。美月ちゃん。両手に花だよっ!」

はじめちゃんっ!! 他人事だと思ってぇ~~っ!」

「ん~。でも、私の家の車は軽四だから4人しか乗れないのね。でも、地図を見ると、別荘はかなり高い山の上にあるみたいだから、3人が限界かな・・・・。」

「・・・・じゃ。やっぱり私とあかりちゃんが同じ車になるしかないか・・・・。」

「ええ~~っ!?」

などと、盛り上がりながら、結果として、お泊りするのは8月1日から㋇3日の2泊3日と決まり、車の乗り合わせは、私とはじめが同じ車で、それ以外が不知火先輩の家の車で来ることに決まった。

「安心して、沢口さわぐちさん。僕の家の車は7人乗りのランクルだから、ゆったりとして乗れるよ。」

一人だけ女の子という状況に、気弱な美月ちゃんが不安そうにしていたけど、不知火先輩が気を遣う必要がない事を告げると、美月ちゃんは「それなら・・」と納得して頷いた。

というか、その時に不知火先輩に見つめられた美月ちゃんがちょっと照れていたのが気になる。うちのお兄ちゃんのエロボイスといい、不知火先輩の美貌といい。百合娘の美月ちゃんを攻略できるってどんだけチートなのよっ! 学校の有名人である隆盛が霞むって、ちょっと想像できなかったわ。前から思ってたけど、私が直ぐに女の子に落ちちゃったのって、私がチョロいという理由よりも、彼らの王子様レベルが高すぎるから仕方ないと思うのだけれども・・・。

だって、そうでしょ? 私。この3人以外の男の子からエッチな目で体を見られるの、すっごい嫌だもん。私は明らかにこの3人のせいで女の子になっちゃたと思う。決して私がチョロいわけではないっ!!

「・・・いや。チョロいじゃろう。ネズミのお経かと思うほど、おんチョロチョロじゃ。」

ええ~っ!? お姉様、そういうこと言う?

お姉様だって、いっつも3人に欲情してるくせにっ!

「当たり前じゃ。妾ほどのチョロい娘がどこにおろう?

 豊穣神などドМのチョロ娘じゃないと、やってられんわ。他人どころか親兄弟、息子、更に敵からもレイプされて、孕むことが義務付けられている豊穣神をなめるな。」

・・・・・そ、そう考えると、めっちゃメンタル強いですね。お姉様。

「うむ。数万年前に縄張り争いで張り合っていた女神が決闘の場に恋人の闘神を連れてきてやられた時など、屈辱的すぎて妾は、流石に悔しくて号泣したけど、あの屈辱がまた、いいのじゃ・・・・。ああっ。またあんな逞しい神に壊されるように襲われたいものじゃ・・・・。」

ま、全く理解できない・・・・。お姉様、絶対に頭おかしいでしょ。

「何を言うか。世界を見たら妾よりも酷い豊穣神はたくさんおるぞ。夫を息子に殺された上に息子にレイプされて数々の魔物を産み出す女神とか一杯おるが、最終的に息子の嫁として堂々と振舞っておるのじゃぞ。信じられんわ。」

うわ~~。神様って理性ってものがないんですか? 自分の子供に襲われるって最悪じゃないですかっ。

「それこそ豊穣神でなくては、わからぬ悦びよ。」

そんなお姉様にチョロい呼ばわりされるとは・・・・・理不尽すぎる。

「何を言うとるか、お前は人間基準で見てチョロいというに。いい加減、妾の眷属である自覚を持って自分が清楚な生き物だと思い込むのはやめい。」

いや~っ!! 私、人間の女の子らしく、普通に恋愛して結婚するのがいいのっ!!

「まぁ、それもあかりらしいと言えば、明らしいな。

 ところで・・・。合宿先では何をするつもりなのじゃ?」

あっ! そうか・・。それをまだ決めてなかった。


「ねぇ、先輩。別荘へ行ったら、何をしましょう?」

私はお姉様に言われたことを脊髄反射で不知火先輩に質問する。

すると不知火先輩は、少し困ったような顔をして

「いや。何をするって言っても、本当に山の上の一軒家だからね。山で出来ることしかできないよ。

 もちろん、少し下れば沢もあるから、川遊びも出来るけどね。」

と、いった。っはっは~~ん? さては先輩、言いづらかっただけで、川遊びするときに私たちを水着にするのが、目的ね?

私が不知火先輩の邪な企みに気が付いたとき、隆盛が意外に食いついてきた。

「へぇっ! いいじゃないですか。大自然を満喫できる場所ですね。

 そういうところで作るカレーとBBQは最高だ。メチャクチャ楽しみだなぁ・・・。」

ええいっ! この野生児めっ。水着のことよりも大自然の魅力を語るのかっ? 私の半裸よりもBBQの方が嬉しいのかっ!

「・・・・・絶対に川遊びで水着になってあげないんだからっ!!」

はじめも私と同じことを考えていたようで、反射的にそう言い放つ。その時の男子2人の絶望に満ちた顔を見て、私は心の中ではじめとハイタッチする。

所がお姉様はこれに異を唱える。

「たわけっ!! 開放的な夏に開放的にならずにどうして恋愛を発展できようかっ!

 せっかくのラブラブチャンスを自ら捨てる阿呆がどこにおるかっ!!

 明っ!! はじめを説得するのじゃ。嫌と申すなら妾がはじめを洗脳して言わせるぞっ!!」

洗脳って・・。こっわ。

解りました。お姉様。この場ですぐというのもあれなので、また明日にでもはじめに水着を着るように説得して見せます。

「うむ・・。」


話し合いはとりあえず終了し、家に帰ることになった。その帰り道、お姉様に一言感謝を言わないとね。

ねぇ、お姉様。

今回、お姉様が学業成就の神様にお願いしてくれたおかげで、私も皆も旅行に行けるようになりました。

本当にありがとうございます。

「ふふふ・・・。あれは、嘘じゃっ!!」

と、お姉様は嬉しそうに笑う。

え・・・? 嘘って、どういうことですか? だって、お姉様。あのときあの神様に酷い事されて・・・・・

「酷い事も何も大層なご褒美じゃったわ。

 そして、あれはああするように妾が頼んだこと。

 お前に学業成就の恩寵を与えるフリして、実際は、何もしておらぬ。」

・・・・え? どういうことですか?

だって・・・。私現実に神様の恩寵のおかげで期末テスト80位以内に入れましたよ?

「ふふふ。それが嘘じゃというに。

 80位以内に入ったのは、お前の頑張りのおかげじゃ。

 妾はお前にそういう暗示をかけるために一芝居打ったというわけじゃな。」

・・・・・ええええ~~~っ!!!?

「ちょっと頑張ればこれぐらいできるようになるんじゃから、もうちょっと毎日を頑張って生きてみいっ。今回のことでお前はそれを自覚せねばならんな。」


・・・・ああ。はい・・・。

そっかぁ・・・。私の頑張りだけで、ここまでこれたんだ・・・・。そう思うと私は自分にちょっと自信が持てた。

でも・・・。お姉様。そのためにあんな芝居打つのってやりすぎじゃないですか?

って、いうか。お姉様が()()()()だけだったのでは?

「バレたかっ!! ふふふふっ・・・・」

鈴の音のように綺麗なお姉様の笑い声が私の心の中に響き渡った。


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