神頼み
女の子と同等の扱いでセーラー服姿で登校することを許された初だったけど、着替えなどの問題があって水泳は見学参加という形になった。これはご両親の意向もあったという事で本人も納得しているとのこと。また体育の着替えも男女どちらとも外すべきという理由で3クラス合同で使われている資材置き場、「準備室」での着替えをすることになり、希望すれば職員用のトイレを使っていいと言う話で決まった。
それでも、今後の初の人生が波乱に満ちたものになることは明白で、私達は親友としてできるだけのサポートをしようと誓い合った。
そして、家に帰ってからも、私は初を取り巻く環境について、今後どうすればいいのか真剣に考えた・・・。
まず、隆盛がいるから、とりあえず高校生の間はいじめ問題は起きないだろう。
問題は、そのあとのこと。美術系の大学に進学したい初を誰が守ってあげられるのだろうか?
私も一応、美大志望だけど、初と同じ大学に進むかどうかはわからない。
なにしろ、初は私と違って、かなり頭いいからね。私の方が問題かも・・・・。私が不知火先輩みたいにデザイン科だったら、デッサンの点数次第で大体の美大に進学できるからいいのだけど、生憎私は普通科。5教科も頑張らないといけない。デッサンだけだったら自信あるんだけどなぁ・・・・。
そんな複雑な理由があって、初と私が同じ大学にいけるとは限らないのだった。
「何が、複雑な事情じゃ。お前が初のために頑張って勉強してやればいいだけの話じゃろうっ!?」
お姉様の正論が耳に痛いけど、ここには私も反論がある。
「だって、私、バカだもんっ!!勉強したって、そんなに頭に入らないもんっ!!」
心の中でそう反論すると、お姉様は「お・・お前・・・。」と絶句していた。
私のパパは、相当に頭がよくていい大学を出て企業の偉い人になって、今も2000人規模の工場の設立の責任者になって単身赴任しているし、設立後数年は、所長として勤めることになっている。家系的には頭いいのよ?
でも、親が賢いからって娘も賢いとは限らないの・・・。亡くなった実のママも結構、賢いとは聞いていたのだけれども、どうやら私は美術センスに脳のキャパシティを使っているので、あまり勉強に向いていないみたい。
「いや・・・。バカというてもじゃな、お前の学校は一応、県下の中ぐらいの学力じゃろう?
妾は、トップに成れとは言うておらん。現状より、少し頑張ればよいと言うておるのじゃ。
ぶっちゃけ美大は、そこまで学力はいらんじゃろう? 頑張ればなんとかなるって。」
う~ん。でも、初は、かなり頭いいからなぁ・・・・・。私に合わせて大学のレベルを落とすのは、可哀そう。
「いや、だから頑張れと・・・。」
だからバカだもんって言ってるじゃないですかっ!!
「・・・ふ~む・・・。これは参ったのぅ・・・・。お前が県下でも最低ランクの高校でバカなのなら、妾も無理は言わんのじゃが、そこそこ頑張れば、そこそこまでには行けるポテンシャルはあるんじゃぞ。マジで。
結局のところ、どんな世界でもトップクラス以下は十分逆転が狙えるほどの差しか無いものじゃ。
あとは、その者を取り巻く環境と努力の仕方の工夫次第で変わる。その点ではお前は恵まれておるから、頑張れと言うておるのじゃがのう・・・・。」
・・。お姉様は神様だから、バカの気持ちはわからないのですっ!!
・・・・あ、そうだ。困った時の神頼みという事で、お姉様。何とかなりませんか?
「・・・・・。ほう。偉くなったもんじゃな、明よ。
妾を貴様の使いッパシリにでもしようというのか?・・・・」
しまったっ!! と、思った時には遅かった。お姉様の怒りのボルテージが上がっていくのを私が感じて、謝罪しようと思う前に、お姉様は、私を心象世界に引きずり込んでいた・・・・。
お姉様は、怒りの形相で私に近づきながら、一枚ずつ自分の衣服をはいでいく。それと同時に不思議な事に私の衣服もはぎ取られていく。
私は、後ずさりしながら、謝罪の言葉を述べる。だって、こんなの・・・・絶対に泣いても許してもらえないくらいの快楽地獄に落とされるのが目に見えているのだから・・・・・。
私は必死に謝罪する・・・。
「ち、ちちち、ちがいますっ!
お願いですっ! 使いッパシリなんてとんでもないっ 神様にお願いしただけですからっ!?」
しかし、お姉様は無言のまま近づいてくる。その恐ろしい事・・・・。
「や、やめてっ! ち、近づかないでっ! お姉様っ!!」と、どれだけ謝ってもお姉様は歩みを止めずに私を逃げられないように金縛りにすると、その肢体を摺り寄せてくる・・・・。
「ああ・・・っ・・・・・やだっ・・・・お姉様・・・・・。」と、やだやだといいながらも、お姉様の熱い肌の感触を感じた瞬間に、私の本能が危険信号が鳴り響いていても、私の心は蕩かされるようにお姉様を求めていた・・・・。
「ああっ・・ダメです。お姉様。
そこはっ・・・・ダメ・・・・・・」
・・・・
・・・・・・・・・
翌朝・・・・。死ぬかと思うほどの疲労感で私は目覚める。
体を起こすのも億劫になるほどの状況の中で、私はお姉様の恐ろしさを改めて思い出して震えた。
快楽は行き過ぎると苦痛になる。それなのに、心と体はお姉様を求めて鳴きすがった・・・・。
それは人間の身が耐えられるはずもない快楽で・・・・。苦しいのに求めてしまった。
私を可愛がるための時と違って、いたぶるために快楽に落とす。
人間には耐えられない快楽だとわかっているのに、自分の体がどうなってもいいから、壊れてもいいから、神様であるお姉様に抱かれる幸福感を求めていた・・・・。本当に怖かった・・・・・。
私はお姉様のご機嫌を二度と損ねないようにと、何度目かの誓いを立てる・・・。
「全く、懲りぬ奴じゃのう・・・・・。
両性具有の豊穣神である妾は、女神ですら狂わせるのに、人間の女でしかないお前が耐えられるはずもなかろう。
あんまり調子に乗って何度も罰を受けていると、本当に精神まで壊れるからな?」
・・・ううっ。き、気をつけます・・・。
「妾は、お前の弱いところなど知り尽くしておる。
意外にマニアックな攻め方をされたら歓ぶところもな。」
・・・・や、やだっ!! 言わないでっ!
「ふふふっ・・・・愛い奴よ・・
それにしてもな。初の為だけでもなく、お前のためにも学力は上げておかんとなぁ・・・。
ほれ、不知火は学力が高かろう? あ奴と同じ学校に行きたいのなら、勉強せぬとな。」
・・・・それは正直、初よりもハードルが高いのでは?
「・・・・そ、そうか。
仕方のない奴じゃのう・・・・。ここは一つ・・・。」
ええっ!? も、もしかして、お姉様っ!!?
お姉様の言葉に私は期待した。だって、ワンチャンお姉様の力で大学に行かせてくれるかもしれないのだからっ!
・・・でも、お姉様の言葉は違っていた。
「ここは、一つ、神頼みと行こうかのっ!?」
・・・・は?
何言ってんですか?この色ボケ女神さまは・・・・?
昨日、神頼みを全否定して私を散々弄んだくせに・・・・。
「お、・・・・お前、口の根も乾かぬうちによくもそれだけ暴言を吐けるものじゃ。
どうやら、お前がバカなのは真正のようじゃな。」
だから、そう言っているじゃないですか。これからは、気を付けてくださいね。お姉様。
私、バカなんですから忘れないようにしてください。
「う、うむ・・・・?」
お姉様は、首をひねりながら半分納得してないのに、納得したように頷いた。
そして、言うのでした。
「ここは一つ、学業の神様にお願いに行こうというのじゃ。
もちろん、お前ひとりで頼みに行ったところで、大したご利益は受けられぬ。
そこで、妾が賄賂を贈って、頼み込むというのじゃ。」
わ、賄賂?
神様相手にですか?
「人間は神にお賽銭するじゃろ? 今更、何を言うとるか。」
で、でも、お姉様が賄賂を贈るとなると、現金じゃありませんよね?
どうされるのですか?
「それは聞かぬが華というものじゃ。」
そう言ってお姉様は、意味深な笑みを浮かべると、学校帰りに近くの神社に行くように言われた。菅原神社以外にも学業を司る神様は意外と多い。お姉様は、その内から一人の神様をお勧めしてくれた。
とりあえず、私は疲れ切った体を癒すためにお姉様の母乳をいただき、生命エネルギーを得る。
これが癖になりそうで怖い。
お姉様も自分も気持ちいいけど、麻薬みたいなものじゃから、そうそうは、あげられないのじゃぞと言いながら、可愛い声を上げる。
私達、本当に百合っぽい関係になってきたなぁ・・・・そう思わずにはいられない。
私、将来は、誰とも結婚せずに、このままお姉様のものになっているかもしれない・・・・・・。