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おあいこ様

ふ・・・・ふふふふ・・・

私達、何をやってるんでしょうね?

朝5時の時を告げる時計を見つめて、私は深いため息をつく・・・。

そして、手元に積み上げられた30枚の下書きが昨夜の激闘を物語る。それはそれは凄惨な現場だった。

未だうら若いJKと数千年生きている豊穣神が己の欲望を滾りに滾らせ、妄想を口走り、一夜かけて大いに盛り上がった・・・・・・。

その結果が、隆盛りゅうせい総受け本の下書き・・・・。全30P・・・・。

朝の陽ざしを受けながら寝ることは不可能なので、寝ることを諦めた私は、用意したホットコーヒーを飲みながら大いに反省する・・。


「そうじゃなあかり、妾達は大きく間違っておった・・・・・。

 何故ならっ!! この本にはじめを加えることでさらに退廃的な状況が作れたというのにっ!!」


ああ~~っ!!明け方になってから、忘れていることに気が付きましたぁ~・・・あの小っちゃくて可愛いはじめに屈服させられる隆盛の姿とか、意外性完璧すぎてっ!!

ああ~~っ、ここに描き入れたいなぁ・・・・女装したはじめを・・・。

「とくにあかりはあの容姿に似合わぬご立派様をぶら下げておるからのぅ・・。

 絵的にもストーリー的にも最高に盛り上がったんじゃがなぁ・・・。」

お姉様・・・・・。薄い本て奥が深いですね。あんまりページ数を作ると印刷代がかさんでしまうし、在庫を抱えても困るだけですから、そう何冊も続刊を刊行できるものでもない。そうなると、少ページ数で最高にエロい奴を詰め込まないといけない・・・。

これは、何日間かかけて下書きをしないといけませんね。

「うむ。ネームじゃぞ。すべてはネームにかかっておる。

 まずは、途切れ途切れでも良いから、好きなシチュを書き込むんじゃ。

 それから、本当につかう必要があるものを厳選して繋ぎ合わせる。

 そのいらぬ部分を削って繋ぎ合わせる作業が大変なのじゃ。なにしろ、どのシーンも書きたいシーンを思い描いて集めたのじゃから、それを切り落とすのは正に断腸の思いじゃ。

 ・・・・が、そうやって薄い本は完成していくのじゃ。

 妾達には、必要なのじゃ。修練の時間がっ!」

流石、お姉様っ!! いいことを仰いますっ!!

ただ、一つだけ後悔しています。

「なんじゃ? 申してみいっ。」

もうすぐ6時だというのに、今頃一夜中描いた疲労とその疲労からくる絶望的な眠気が・・・・・。

私は、酷く叩かれたかのように襲ってくる頭痛に眠気がMAXであることを悟らされていた。

「・・・・しかたないのぅ? 

 特別じゃぞ? しばしの間、心象世界の中で眠るがよい。疲れが癒えたら学校へ行くのじゃぞ?」

・・・・寝付けるまで抱っこしてくれますか?

「それは構わんが、前の時みたいに欲情して妾の乳に吸い付くなよ?

 妾、今、滾りに滾っておるから、たまらんようになるからの・・・・。」

そう言われてから、お姉様の豊満な乳房をあらためて見る。

何と言うボリューム感。なんという柔らかそうな形・・・・。

私は自分自身にも同じものが付いているというのに、お姉様の乳房を見ると、あの時のことを思い出して生唾を飲み込んでしまう。

あの柔らかさ・・・・あの人間を狂わせてしまいかねない母乳の味・・・・・。

どうやら、私の男心は一晩中薄い本を描いたくらいでは消えてはくれないらしい・・・・。

・・・はぁ、わかりました。

じゃあ、寝付けるまで手を握っててくれますか?

「・・子守歌もつけての・・・・。」

お姉様はそう言うと私を抱き寄せて座ると、私を寝かせて子守歌を歌ってくれた・・・・。

とても優しい子守歌に、あっという間に私は眠りについてしまう・・・・。

なんだかとても暖かい気持ちでいっぱいになった。まるで幼いころに病気した夜。今のママが私を看病してくれた時の夜のように・・・・・。私は幸せな気持ちになって眠りにつくことが出来たのでした・・・・。


そして、登校できるまでに体力が回復した私は、いつも通りに学校に向かう。

いつも通りの朝食にいつも通りの登校時間・・・・。しかし、いつも通りはそこまでだった・・・・。

私はナマモノを描く時の重大なリスクを忘れていたのだ。

「おはようっ!! あかりちゃんっ!!」

と、いつも通り飛び切りの笑顔で朝の挨拶をしてくれるはじめを見て・・・・・流石に罪悪感で吐きそうになったっ!!

・・・・・ごめんっ!! ごめんねっ!? はじめっ!!

昨晩の下書きに入れられなく失敗したとか考えて、本当にごめんっ!!

そのあと、すっごいエロエロな妄想してて、マジごめんなさいっ!!

女王様みたいな衣装を着た姿まで妄想してしまって、本当にごめんなさいっ!! あ、でもすっごく可愛かったよ? 女王様ファッションのはじめ・・・・。

・・・・ああ・・・全く、私、親友を相手になんてエッチな妄想してたのかしら・・・・流石に、流石にもうしわけな・・・・・・。

と、罪悪感に打ちのめされていた時、私の背後から

「おおっ!!おはようっ! 二人ともっ!!」と、元気のよい声で挨拶してくれる隆盛の声が聞こえてきたっ!


あああああああああああああああっ!!!

マジ、ごめんなさいっ!!

本当にごめんなさあああああいっ!!

一番の被害者は隆盛だよねっ!? 

本当にごめんなさいっ!! 強くてカッコいい隆盛がメス堕ちしまくる話を想像して・・・いや、想像するどころか、実際に描いてしまって、本当にごめんなさああああいっ!


私は罪悪感と後悔で頭がパニックになって、出会って早々、何度も深々と頭を下げて謝罪する。

それはまるで水飲み鳥の玩具のように・・・・。

勿論、具体的なことは言えないから無言で頭を下げるのだけれども、当然、隆盛とはじめの二人には意味が解らない。

「ど、どうしたの? 明ちゃん!? なにかあったの?」

「そうだぞ。いきなりどうした?」

いえませんっ!!

ごめんなさいっ!! それは言えないんですっ!!

隆盛が跪いてはじめのハイヒールに口づけしてからおねだりを強要させられるシーンとか、妄想しましたとかっ!! 絶対に言えないんですっ!!


とはいえ、いつまでもそうしているわけにもいかず、私は適当に「朝の挨拶です。」と言い切って逃げ延びた・・・・。

「・・なんだよ、その訳の分からない挨拶はっ!!」

と、爽やかに笑う隆盛の分厚い胸板が目に入った瞬間、私の脳裏には、動物園でのハグされた時の思い出がよみがえって、甘酸っぱい気持ちで胸が一杯になる・・・・。

・・・・ああ、よかった。私、普通に女の子の感情の方が強いっ!

そう実感した。

そう実感したから、お昼休みにいつも通り通い妻の如くお弁当を下げてくるはじめとその弁当を美味しそうに平らげる隆盛の二人の姿に、若干の嫉妬を感じざるを得ない。

「ふ~んだ。・・・・お幸せそうだ事・・・。」

なんて嫌味を言って、隆盛を困らせて見たりもしてみる。

慌てて否定しようとする隆盛と、それに抗議するはじめに私はちょっと嬉しくなってしまう。

ああ・・・。私って、本当に小悪魔・・・・。


放課後になると、美術室へ向かう。当然、ここにもナマモノを描いた代償として反省と罪悪感という対価を払わなくてはいけない存在がいる。

不知火先輩だ・・・。

不知火先輩の繊細な体は、正直一番描くのが楽しかったかもしれないことも反省している。だって、王子様の全裸姿なんか、描く側にとっては、最高の題材なんですものっ!!

これは不知火先輩も悪いよ?

あんな美女みたいな容姿した王子様キャラ、描かずにはいられないものっ!!

私が半ば、開き直って美術室の扉を開けると、そこには不知火先輩が既にいた。


「やぁ、明っ! 今日も一緒に頑張ろうね?」

と、とびっきりの笑顔で迎えてくれる不知火先輩・・・。

美しすぎますっ! その笑顔っ!!

私がその笑顔に照れて不知火先輩から目をそらした時、私の目にセンパイが描いた私のクロッキーが映った。

・・・・かなりいやらしい姿をしている。

かなり特定の部位に対する描写が強い・・・・。

・・・・・・・・・・ああ、不知火先輩て、意外とオッパイ星人なのね・・・・・。

これはしてるね。絶対に・・・・

私と同じように、私で変な妄想したことあるはず・・・。だって、男の子ってそういうものだってお姉様が言ってたもんっ!!

じゃぁ、おあいこね。私、先輩には心の中で謝らないもんっ!!


例え、昨日描いた漫画の中で隆盛にあれやこれやとエッチなことを強要した妄想していたとしてもっ!!

不知火先輩と私はおあいこだもんっ!!

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