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生理が始まるっ!?

はじめの襲撃の翌日、俺は登校中に衝撃的なものを見た。

なんと、隆盛りゅうせいが・・・・女の子と一緒に登校していた・・・・

・・・

・・・・・

・・・・・・・ふ、ふーん

ま。まぁ、モテるのは知ってたし、そっかぁ・・・・・

あいつも彼女が出来たかぁ・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・・・俺のオッパイ触ったくせにっ!!!

今日はもう、口きいてやんないっ!!


なんて、こっちが勝手に思い込んでいたところで、向こうは、そんな事情を知らないから普通に話しかけてくる。

「おはようっ!!あかり!!」

つーん。しらない、お前とは口きかない。

女ったらしめ。

「・・・・・なんだよ。何怒ってんだよ?

 ああ。もしかして、こないだ胸を揉んだことまだ怒ってんのか?

 なんだよ、ジュースおごってチャラだろ?あれ?

 全く、減るもんじゃなし・・・・・・。」

俺は、その言葉に思わずカッと来て言い返すっ!!

「減るもんっ!!隆盛のばかーっ!!」

・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・バカーっと、叫んでから我に返る。

あ、女の子の声の高さで反論しちゃった・・・・・・・。

きょ、教室中が俺たちの方を見てる・・・・・・

やだ、どうしよう・・・・・バレ・・・・ちゃった?

「お、・・・・お前・・・・・」

あ、りゅ、隆盛が唖然としている・・・・・や、やっぱり、ばれちゃった?

「あ、あのっ・・・・俺っ!!・・・・・」「いやぁ~、お前、スゲェ声出せるなっ!!マジ、女かと思ったぜっ!!」

「え・・・・?」

弁明しようとする俺の声と隆盛の声が被る。でも、音の高さが違うので、ハッキリと聞き取れた。

よ、よかった!!

ば、バレてないっ!!

「いやいやいや・・・・。すげぇなぁ・・・・どうやったら、そんな声出せるんだ?」

と、男子は驚き、

「榊君、可愛いじゃん!!」

女子はキャー、キャーいって喜んでた。


ただ、・・・・ただ・・・・隆盛だけは腑に落ちないところがあったようで、昼休みになるともう一度、聞いてきた。

なにをって・・・・・そりゃあれですよ

夢の話。


「なあ、明。覚えているか?こないだ俺が言った話。夢の話だよ。」

 「真面目な話だ。」

 「例えば、俺が女になったとして・・・・・・」

 「お前、俺を抱いてくれるか?」

「って言ったお前が、俺にキスしてオッパイを触らせてくる夢・・・・。

 あれが、どうにもリアルだったんで、俺は夢の話なのによく覚えてるんだ。

 もしかしてさ、あれは正夢でさ。お前、女に変わっていく途中とかじゃないのか?

 だから、そんな高い声が出せるようになったとか、ありえるだろ?」

ぎくっ!!

なんでこいつ、バカのくせに勘がいいのか?やっぱり格闘技やっているから野生の勘的な?

ま、まぁいいか。適当にあしらおう。それに限る。下手に言い訳重ねてたら、ボロが出かねない。

「は?・・・・・ありえるよ。!ばかかよ。隆盛!!」

僕は出来るだけ冷たく言い放つと、さすがに隆盛もちょっとショックを受けた顔をしている。

あ、なんか可愛いかも・・・・・

「ちっ!なんだよ・・・いやぁ、夢の中のお前はあんなに可愛かったのにな。」

か、可愛いとかいうなよ・・・・・バカ・・・・

・・・バカ・・・・・・俺は見たんだからな。

お前が女の子と歩いてるところ。


「なんだ、それ。

 大体、お前には可愛い彼女がいるんじゃないのか?」


俺がそっぽを向きながら言うと、隆盛は「ははは」と愉快そうに笑う。

「いやいやいや。朝のアレか?あれは違うぞ。空手部の女子。ほら、俺って実家が流派の代表じゃん。だから、先生よりも沢山、形(※)を知っているから、色々質問されてただけだよ。」(※)空手は、かた組手くみての二つの種目を競う競技。

俺は、自分の勘違いと知って、何故かホッとする。

「ど、どうだかっ!お前は女子にモテるし、お前に近づく口実かもね。」

俺がそんな冗談交じりの軽口を言うと、隆盛は少しムスッとして「おい。アイツは真面目に競技をやってるんだ。今のはあいつに対する侮辱だぜ?」といった。

あ、俺、軽口でも最低なこと言っちゃった。

そうだよな、彼女は真面目に空手をやっているんだから、今のは侮辱になるよね。

「・・・・うん。いいすぎた。ごめん・・・・・。そんな深い意味じゃなかったんだ。ごめん。」

俺が素直に謝ると、隆盛は「わかればよろしいっ!!」と、頭を撫でる。

ヨシヨシすんなっ!!

嬉しくないっ!!・・・・全然・・・嬉しくないんだもん!!

「・・・・・・・なんか・・・お前さ・・・・。」

俺の頭を撫でる隆盛の手が止まる。

そして隆盛は俺を撫でてていた自分の掌を怪訝な顔で見つめる・・・・・。

「お前の頭蓋骨・・・・・・・これ、女子のに近いな・・・・・。」

と言った。


こわっ!!

なにそれ、武術家って骨の感触で男女を見分けられるのっ!?

怖すぎるんですけどっ!!

「・・・つーかさ。こないだ抱きついたときも・・・・・お前の骨格って女子に近い気がするんだけどな。」

っ!!

あっ・・・・こいつ、疑ってたんだ。あの時から・・・・・・

オッパイなかったから信じなかったけど、疑っていたんだ・・・・・本当は、あの時から俺が女かもしれないって疑ってたんだ!!

隆盛は更に顎に手を当てて首をひねる。

「そもそも、お前。ここ数日でタッパが縮んでねーか?」

えええっ!?

身長も縮んでるの?・・・・

・・・うん。ちょっと思ってた。今朝、ズボンのすそとシャツの袖、余ってたもん。

でも、・・・・でも、俺、はじめほどじゃないけど、俺もそんなに大きくないから、信じたくなかった。

嘘でしょ?

「嘘っ!?・・・・もともと大きくないけど、小さくなってる?俺?」

俺があんまり悲しそうな顔をして聞いたんだと思う。

隆盛は苦笑いを浮かべて、「いや。気のせいだ。ごめんごめん・・・。」と謝った。

いや・・・・気のせいじゃないよね。きっと・・・・。

後でお姉様に聞いてみないと・・・・。


「悪かったな。あかり、あんな夢を見ちまったもんだから、お前が女かと思って疑ってるから、そう見えただけだ。すまん。」

隆盛は、背が縮んだと狼狽える俺に心配をかけないように笑ってくれてる。

優しいよね。隆盛は・・・・・。

・・・・でもさ・・・・

あのさ・・・・・


「じゃ、じゃぁ、聞くけど。

 お前、もし俺が女になったとして

 抱きたいって思うのかよっ?」


・・・・・・・・

・・・・・・・・な、なんで、こんなこと聞いちゃったんだろ?

隆盛に変に思われちゃうかなっ?

恐る恐る隆盛の顔を覗くと、首をかしげてメチャクチャ悩んでた。

えっ?

なにそれ、こいつ。ガチで悩んでるの?


「ん~。悔しいけど思っちまうなぁ・・・・・・。実際、夢の中ではその気になってたわけだし・・・・・。

 うん。お前はバカだけど、顔は良いし。全然、抱きたいって思うかもな?」


・・・・・・くっそ。

こいつ。真顔でなんてこと言うんだよっ!!

ダメだ・・・・これ以上、こいつの顔見てたら、変な気分になっちゃうよ。

「変なのっ!!そんなのホモじゃん。俺が女になったら、エッチしたいだなんて・・・・・。」

「いや、お前が女になったら、ただの男女関係になるだけだから、ホモじゃないだろ。」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・ん?俺、変なこと言ったか?」

「・・・・うん。すっごく変なこと言ってる!!」

バカだ。

こいつ本当にバカだ。

何言ってるのよ。まったく。バーッカッ!!

「おい、あかり。なに笑ってるんだよ?」

「笑ってないですよ~・・・・。」


その日は、授業が終わるまでずっとヘラヘラしていた俺だった。

放課後になると、見かねたお姉様が俺を心象世界に引き込む。

丁度良かった。私もお姉様に聞かないといけないことがあったから。


「お前、一日ヘラヘラ笑っておったが、そんなにあの隆盛に抱かれたいのか?」

「ひ、ひひひひ卑猥ひわーいっ!!お姉様、卑猥ひわいっ!!」

「いや、事実じゃろ。」

「・・・・ん~。別に隆盛だからってことじゃないのかも。」

「ん?どういう意味じゃ?」

「・・・・わからないけど。多分、女の子として受け入れてもらえるのかもって思ったのが嬉しかったのかな?

 だって、もし、もし。他の男の子が好きになって女の子になっちゃった場合、その人が「ホモじゃあるまいし、元男とは付き合えない」って言われてたら、私、どうしたらいいんだろ?って心配もしなくちゃいけないじゃない?

 でも、隆盛は「ただの男女関係」って言ってくれたから。・・・・ああ、男の子ってそれでいいんだって・・。」

その言葉を腕組したまま姉様は聞いていたけど、やがて納得したように頷いた。

「ふ~む。なるほどのぉ。

 ま、お前には隆盛だけじゃなくて、不知火しらぬいや兄貴、はじめもおるものな。

 誰がお前を女にしてもおかしくないからの。心配ではあるわな。

 すでに大分、精神が持っていかれておるお前では、もう男心はわからぬか。」

・・・・・え?大分、もっていかれてるって?

「なんじゃ、気が付いておらぬのか?お前、心の中では、普段から相当、女言葉になってきておるぞ?」

「ええっ!!うそうそっ!!どうしようっ?お姉様っ!!」

「妾には、どうしようもない。お前が気を付けるしかないぞえ。」

「ふみーん。どうしようっ!!」

て、いうか。

お姉様、サラッとなに、私の彼氏候補にはじめを入れているのよ?私、あんなレイプ魔、嫌いだよっ?

「レイプ魔って、お前。

 あれはの。お前が女になったことを知らぬからじゃ。女の力の抵抗では本気で抵抗しておらぬと思っただけじゃよ。

 嫌よ嫌よ、も好きの内というじゃろ。

 妾もよく使う手だから、わかるが。あれをされると、男は喜ぶ。喜ぶぞ。「可愛い抵抗してみせないと、エッチな子と思われちゃう」のを恥ずかしがって演出しているくらいにしか思ってない。」

「えええええっ!?」

はじめも悪いが、お前も悪い。はじめをたきつけたのはお前じゃ。だから、気を付けろと申しつけたのじゃ。そうやって男心がわからぬのも精神が女に持っていかれている証拠じゃ。」

「・・・・・・でも、あいつ。チビだし。」

「そうかの?お前はあいつにも男を感じておったであろう?そして、あの美貌に嫉妬しておったじゃろう?逆に言えば、お前は認めておるのじゃ、はじめの愛くるしい容姿を。」

「・・・・う。」

お姉様のいう事には一理ある。

確かに私ははじめの愛くるしいあの美貌に・・・・憧れている。

好きでないものに憧れる人間はいない。

私が潜在的にはじめを男性として意識している・・・・・・。そういう可能性もあるのかな?

「可能性はあるぞ?

 ちょっと数値化してみるか?お前が女になってから異性に対する恋愛感情の重さを。」

「・・・・なにそれ。恋愛ゲーム?」

「うむ。お前が今朝始めていたBLゲームの・・・・」

「・・・・いわないで。だって、お兄ちゃんが声出しているんだもん」

私が俯くと、お姉様は「しかたない。あの声は反則じゃもんなぁ・・・。」

と言いつつ、空中にグラフを出す。

「よいか?お前がモブキャラに感じている感情を1として見ろ。

 隆盛が5じゃ。

 不知火が7じゃ。

 たけるが15じゃ。

 はじめが3じゃな。」

・・・お、お兄ちゃん。私の中で15なんだ・・・・・。

「そりゃ、四六時中、あの声聞いておるからのぉ。付き合わされる妾の身にもなれ。男もおらんのに女ざかりがあの声をきかされるのは地獄じゃぞ。体が夜泣きしてたまらぬわっ!!」

お姉様は、自分の体をいやらしくまさぐりながら、私を恨みがましく見る。

「・・・・・・・だってぇ・・・。」

「ま、妾もあの声にはお()()()()()()()()。あれが聞けないのは、正直、切ない。

 良い、許す。」

・・・・・地母神までよがらせるお兄ちゃんの声って、一体・・・・・・。

「間違いなく、声の神の加護を受けた天授の才能じゃ。遠くない未来、あの男はBL界のキングになるであろう。」

・・・ううっ・・・・・スケールが小さいのか、大きいのかわからない・・・・・・

お兄ちゃん頑張れっ!

「それよりも、お前。妾に聞きたいことがあったじゃろう?」

ああっ!!そうそうっ!!

お姉様がエッチな事ばかり言うから、忘れてたわっ!!

「あんっ?お前今、なんと言うた?」



「あのね、お姉様。なんか、私の身長縮んでないっ?」

私の問いかけにお姉様は、じっと私を睨みつけたまま、いつになく真剣な顔で答えてくれた。

「当たり前じゃ。お前の体を作り変えるのに、お前の体を消費しておるのじゃからな。消費した分、ちぢみもする。

 しかもここ数日、お前の背丈が縮んでおる原因は・・・・・。」

お姉様は、そこまでいうと今度は、人差し指で私のお腹を指差した。



「これまでは外見だけが女じゃったが、そろそろ内部も仕上がってくるぞ。

 ようするに子宮が出来上がってこようとしているという事じゃ。

 もうすぐ生理が始まるぞ。」



・・・・・・・

・・・・・・・・・生理がはじまる・・・・・・・。

その言葉に私は雷に打たれたかのように、固まってしまうのでした。

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