男の子を好きになろうっ!!
「お姉様。私は、男の子に戻りたくなんかない。
私はどうしたらいいの?」
私はお姉様に尋ねる。
お姉様は両腕を組んだまましばらく考え込んでいたけど、「答えはない。」と答えた。
「人の心などどう転ぶかわからぬからの。
そもそもお前が心の底から女になった事だって、本来は女体化の呪いをかけてお前ら一族を罰するのが目的であった妾にとっては想定外のことじゃ。
今回のことでも、ここまでお前にとって悪い方向に進む可能性など、想像もしておらなんだ。妾の予想では、お前は武の声を聴いて恥骨をやられながらも、なんとか耐えきれる程度になっているという想定じゃった。
ところが、実際にはお前は恋心を後退させるどころか、男心を再び目覚めさせるほど逆戻りしてしまったわけじゃ。だから、お前がどうすればいい方向に進むかなどと妾にもわからぬ。」
そ、そんな・・・・・。
じゃぁ、私、3人を好きになった気持ちも失われてしまうってこと?
「それはわからぬ。
ただの。お前は尊敬する兄や先輩、心を許す親友として3人のことを認めておったわけじゃからの。
男心が復活したところで、そう悪い関係にはならんだろうと思うぞ。」
・・・・そういうことじゃないの。
3人への恋心をこんなことで失うのが嫌って言ってるの。
私は、もう3人への気持ちを取り戻す可能性は無いの?
「そうは言っておらぬ、最初。お前は完全に男心を持っておったというのに、あの3人に女にされたようなものじゃからの。
あやつらがグイグイきたら、また戻る可能性の方が高いと妾は思う。
しかし、お前は何をやらかすかわからぬところがあるからな。どう転ぶかはわからぬ・・・・。」
・・・・そう・・・・。じゃぁ、私。
もう一度、3人に女の子にしてもらえるくらい愛されればいいってことね。可能性的にはそれが一番高い・・・・と。
私はその可能性について暫く考えて、あることに気が付いた。
・・・・・あ、そうだ・・・・。
ねぇ、お姉様。仮に・・・・仮に私が完全に男心を取り戻したらどうなるの?
私は最初、完全に心まで女の子になっちゃったら、男に戻れなくなる呪いをお姉様にかけられてたじゃない? あの理屈だと、私は男心を取り戻したら男の子に戻っちゃうの?
「そんなつまらぬことはせぬ。
妾も女の明の方が好きじゃ。この先は、お前が嫌と言っても男に戻す気はない。」
・・・・よかった。
「そう良いものでもないと思うがの。
お前は女体のママで心だけが男になるのじゃぞ? それはつまり同性愛者になるという結果になる。
今の時代はそれでも良いのかもしれぬが、それでも人権じゃなんじゃと綺麗ごとは言ってみたところで現実的にはイバラの道が待っておることには変わりないからの。
叶うものなら異性を愛せる方が幸せじゃと妾は思うぞ・・・・。」
う~ん。でも、私、今更、女の子を好きになれるのかなぁ?
そもそも男の子の頃からそこまで女の子のこと好きだったかなぁ・・・。
「好きだったかなぁ。・・・・・って、お前自分の過去のことをほとんど覚えておらぬのか?えらくぼんやり生きておるのぅ・・・・・。
お前は妾に取りつかれた瞬間までは健全な男子らしく、初対面の時は妾の胸ばっかり見ておったぞ。
それにあの夜に可愛がってやった時もそりゃ、もう女体に興味津々という感じじゃった。
今は自身が女体じゃから、そこまで興味が無いのかもしれぬが・・・・・・それでも男心を取り戻したらどうなるかわからぬぞ。」
「例えば、ほれ・・これはどうじゃ!?」
そういうと、お姉様は魔法でも使ったのか、衣服を一瞬で脱ぎ去って全裸となる・・・・。
お姉様は一糸まとわぬ裸体になると、私の右手を取って自分の乳房を揉ませる。
豊満で柔らかいお姉様の乳房に私の掌がムニュッと吸い込まれるようにめり込む。
「どうじゃ、ほんの僅かじゃが、胸が躍らぬか?」
・・・・・・・あれ?
・・・・本当だ。私、女の子なのにお姉様のオッパイを揉めて・・・・喜んでいる?
「ほれ、では次は吸い付いてみい・・・・。お前の心がどうなっているのか、自分で理解できるはずじゃ。」
・・・・吸い付く?
私が、お姉様のオッパイに・・・・?
そう思って改めてお姉様の乳房を見ると、その美しいピンク色の小さな乳首に、私の心が更にときめくのを感じる。
「ほれ、吸ってみろ。豊穣神である妾の乳房は簡単に母乳が出てしまうから気を付けてな。」
・・・・母乳って・・・・・
それは驚きでもあり、期待でもあった。私は女の子なのに、お姉様の乳房に興奮している?
自分では認めたくないものの、私はお姉様の乳房に吸い寄せられるかのように顔をうずめて強く吸い付いてしまう・・・。
「ああっ!!・・・
う、うまいな明。思わず鳴かされてしまったぞ。
女にするには本当に惜しい逸材だったやもしれぬな、お前は・・・。」
お姉様はそう言うと「ここまでだ」とばかりに私の頭を自分の乳房から引き剥がす。白い母乳が私の口とお姉様の乳房の間にかかる虹のようにしぶきを上げて飛んだ・・・・。
「やあぁんっ・・・・・。」
私は名残惜しさに思わず甘ったれた声を上げながら、甘い甘いお姉様の母乳を舌なめずりしながら味わう。後で聞いた話なんだけど、お姉様のこの甘い母乳は生命エネルギーの塊で人間が吸うと若返り効果もあるのだとか・・・・。
「ふふっ・・・・。これ以上は妾が本気になってしまうでな・・・・。
でも、これで自覚できたじゃろ・・・・・。
お前の中で男心は確実に復活しておるのじゃ。」
お姉様に指摘されて、私は確かに普通の女の子にはあり得ない感情をお姉様に覚えていることを実感する。こうまでお姉様の乳房に性的な興奮を覚えるのは確かに男の子の感性だと思う。
でも、その感性は今の私にとって心地よいものではない。だって私はやっぱり、男心なんか思い出したくはないもの・・・・。
私が男心を思い出して男の子を好きにならなくなるとか絶対に嫌。私は今はまだ、男の子の大きな体に抱きしめられる方が全然好きだもん。女の子の体にも興味が出てきてはいるものの、私は断然、男の子の方が好きっ!!
・・・・・ねぇ、お姉様。お姉様の魔法で何とかなりませんか?
「何とかなるのなら今すぐにしておるし、そもそもお前の人生じゃ。お前の魂が進む方向に生きるべきじゃろうが。」
ええ~・・・。そんなの私、困りますぅっ!!
「そんな可愛く甘えても無理じゃぞ。妾にはできることがない。」
お姉様は、すり寄ってお願いする私を押しのけると、私を指差して断言する。
「こうなれば、明、お前にできることは一つだけじゃ!!
今度はお前が自分から男をより好きになりに行って、自分の心の中に目覚めようとする男心を封殺するのじゃっ!!」
・・・よくわからないけど・・・つまり、これからは自分の方からドンドン、男の子を好きになればいいのねっ!?
だったら、お姉様っ! 簡単な方法がありますっ!
「なんじゃ?」
BL祭りですっ!! 今までみたいにお兄ちゃんのエロボイスを聴きまわれば、私たちは直ぐに恥骨をやられて大変なことになるはずですっ!
そう。私達を落とすなんて簡単な事。お兄ちゃんのエロボイスさえあれば・・・
「却下じゃ!!」
でも、お姉様は、それをあっさりと拒否する。
え~? どうしてぇ? お姉様だって、お兄ちゃんのBL好きでしょ?
「好きすぎて駄目なのじゃ。
武の出演しとるBLのシチュエーションはドМの妾をあっさり落としてしまう。
そうなったら、これまでの苦労は元の木阿弥。またお前と妾の共鳴を断ち切るために、半日ほど離れ離れにならんといかんのじゃが、それでもよいか?」
いやいやいやいや、いやー---っ!!
もう、絶対に私から離れて行かないでっ!! お願いお姉様っ! 私を一人にしないでっ!!
「こ、これ。泣くでない。泣くでない。・・・・・
仕方のない奴じゃのう。心配しなくてもそうならぬように武のBLは聞かないようにしようと言うておるのじゃ。わかったな?」
うん。わかりました・・・・。
・・・えっと、じゃぁ、鬼畜眼鏡とか緊縛プレイのない作品なら大丈夫ってこと・・・・?
ああ、だめだ。お兄ちゃんの出ている作品で音声化しているのって、全部そういうのだよね・・・・。
てか、お兄ちゃん。お仕事の半分以上、ドSキャラってことなのか・・・・・。大丈夫、お兄ちゃん?
う~ん。どうしようかなぁ?
ああ、そっかぁ! お兄ちゃんならBLに詳しいからおすすめの作品を知っているかもっ!
「・・・・・あ? おい、ちょっとまて。明・・・・お前、何をするつもり・・・・。」
私は、ドライブデートの帰り道を運転中のお兄ちゃんに元気一杯で質問する。
「ねぇっ! お兄ちゃんっ!!
SM要素のないめっちゃいい感じでエッチなBLドラマCD作品知らないっ?」
聞くだけ聞いてから気が付いた・・・・。
そう、私はお姉様との会話の時間が長すぎて、今、貞操観念がバカになっていたことに・・・・。
「お、お前のぅ・・・・・・・。」
あきれ果てたお姉様の声と、目が点になっているお兄ちゃんの表情が私の短絡思考を責めていた・・・・。