やだ、男の子強い。怖いっ!!
誤字報告してくださった方、ありがとうございますっ!!
本当に助かります。今後もご指導よろしくお願いします。
「これ、バラされたくなかったら、今日俺の家に来いよっ!!」
俺は、昼食の時間に昨日スマホで検索して発見した隣のクラスの女装少年「八也 初」を人気のない美術室前の廊下に呼び出して、脅迫する。
自分よりも5センチほど大きな男に壁際に押し込まれて、スマホに映る自身の女装画像を見せつけられた少年は、こわばった顔をする。
ううっ。
ご、ごめんね。俺だってこんなことをしたくないんだよ?
怖いよな。ごめんね・・・俺も必死なんだ。
ごめんね・・・・・・。
俺は心の中で謝りながら、初を脅していると、初の口から、意外な言葉が聞こえてきた。
「は、・・・初めて壁ドンされちゃった・・・・・・。」
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・ち、ちちちちち、ちがうぞっ!!
そういうつもりじゃねぇよっ!!
これは痴情のもつれとかで起きたアレじゃなくて、ガチの脅迫だからっ!?
俺があっけにとられているというのに、初は
「こ、これを脅しに色々とエロ同人みたいにエッチなことをされちゃうんだっ・・・・・・」
「ああっ・・・・いやーん・・・・・。」
と、ゴニョゴニョ呟く。
って、喜んでんじゃねーよっ!!
「か、かかか、勘違いするなっ!?変なことはしないっ!!
ただ、今日、俺の家に来いっ。
この写真の服を持ってだぞっ!!」
「絶対だぞっ!?絶対来ないと、バラしちゃうんだからなっ!!」
俺は、初の反応が逆に怖くなって、慌ててその場を逃げ去りながら、捨て台詞代わりに脅迫しておく。
めちゃくちゃ、怖かったけど・・・よしっ!!
これであいつは来るっ!
・・・・・・だって、なんか喜んでたしっ!!
「あ~あ。同級生の子を脅すのかえ?お前もよほど切羽詰まっておるのぅ・・・。」
放課後、初が私の家に来るまでの間、しばしの間、お姉様と会話。
お姉様はブラジャーの買い方とかつけ方とか化粧の仕方を知りたい私の苦悩が伝わらないらしく、初を脅迫した私に呆れていた。
「だって・・・・最初は誰かに教えてもらった方がいいもん・・・・。」
私が涙ながらに言うと「ふ~む。妾は現代日本の仕組みについては、さほど力にはなれぬからのう・・・。」と、申し訳なさそうに言ってくれた。
「いいの!それに、今日限りにするから。明日からは、私。一人で頑張りますっ!!」
私がそういうとお姉様はナデナデしてくれる。
ちょっと、ほっこりする。継母とは違って、なんだか子供の頃に亡くなった私のママみたいな温もりを私は感じている。
そこで、私とお姉様の時間は終わり。
「そろそろ来る頃じゃ。上手くやれ。
あと、絶対に初に気を許すなよ?
あれでも奴は男じゃてな・・・・」
と言い残して、俺を現実世界に戻す。
そして、玄関のチャイムが鳴って初が俺の家に来た。
「入れよ。まぁ、そんなに怯えるなよ。」
「う・・・うん。榊君。」
初は緊張した面持ちで俺の部屋に黙って案内される。
ちょっと、怖がらせすぎたかもしれないが、俺は、ちゃんと言い訳も考えてある。これなら、怖がらせずに情報を引き出せるはずだ。
「実は、俺。ラノベ作家になろうと思うんだっ!目指せっ!!年収8千万って、事でさ!」
そういって切り出した俺の言葉がよほど想定外だったのか、初は「・・・・は?」と呆れたように言う。
「・・・・でだ。物語の題材に今流行りの男の娘って奴を書こうと思ったんだよ。
だから、お前たちの生態が知りたくってさ。
どこで女性ものの下着買うの?とか、下着のサイズとか、どうやって着るのとか
お化粧の仕方とかっ!!
お前に教えてもらおうと思って、半ば脅すような真似してごめんっ!!」
「そ、そういうわけだから・・・・安心してくれっ!!」
中々のアイデア。
俺はつまり、「作品の題材として女装の仕方を教えてもらう」ということを口実に下着の買い方とか諸々聞き出そうというのだ。
俺が出来るだけ威圧感を与えないように、引きつってるけど精一杯の笑顔で説明していたのだが、そんな俺をジト目で初は、睨む。
「・・・・・・・・・男の娘っ!!」
「・・・・はい?」
「男の娘って書いて、男の娘って読むのっ!!!」
初は、唇をとんがらせて俺に抗議する。俺は慌ててフォローする。
「そ、そそそ、そうなのか。ありがとう。勉強になるよ。
で、さ。どこでどうやって下着買うの?
ブラジャーとかの付け方は?
できれば、ここで着替えてほしいんだけど・・・・・・・。」
俺がまくしたてるように話しかけると初は「はぁっ・・・・・なによそれ。期待させたくせに・・・・。」と、恨みがましいことを言いながらでも、自分のスマホを出して、ブラジャーの選び方や注文の仕方などなどを教えてくれる。
「でね。女装サイトから買う人もいるけど、私は嫌だから・・・・普通に女の子として買いたいから。ここで買うの。そんなに選べないし、実際に着れるわけじゃないけど、サイズはちゃんと測っていれば大体何とかなるから・・・・。」
「本当なら、私もお店行って可愛いの買いたいのだけど・・・。あ、でもね。服は意外と女装したままなら普通に買いに行けるのよ?ランジェリーショップは嫌がられるけど。量販店にある女性服って店員さんも見逃してくれるって言うか。お金出してくれるから・・・・ね?」
「だから、下着だけは、このサイトで買って、服は量販店で買うの。」
「あとね。私に見せたあの写真だけど、あれね。コスプレなの。
下着が見えちゃうくらい際どい衣装着ている魔法少女のヒロインのコスプレ。
ちょっと、今着替えてみるね?」
と、割と簡単に教えてくれた。
というか、メチャクチャ自然に女言葉話すね?やっぱり、あれ?性同一障害ってやつ?
「ううん?どうなのかなぁ・・・・・私、分らないなぁ・・・・・。
男の子も好きだけど、女の子ももっと好きだし・・・・。よくわからないの。」
ふーん。複雑なんだなぁ・・・・。
初は、そんなことをいいながら、服を着替えていく。
ズボンをおろして、下着もおろ・・・・・・
「ちょ・・・・・っ!!!下着は良いのっ!!
下着はやめてっ!!
脱がなくていいのっ!!」
初がパンツまで脱ぎだすものだから、俺は慌てて制止する。
そんな俺を怪訝な顔して「変なの。男同士なのに・・・・・・。」と初は言ったけど。
いや、お前が言うのかよっ
て、いうか・・・・・
俺。
男だったのに・・・・・・なんで男の着替えにこんなにドキドキしないといけないんだよっ!!
ちくしょー。こんなヒョロヒョロのチビの裸にも男を感じちまうのかっ!!
ちょっと隙間から見えちゃったじゃないかよっ・・・・・。くっそ。
「いや、あの少年の体は中々の逸材じゃぞ。飼いならしたいわぁ・・・。」
お姉様、うっさい。乙女の心の中で卑猥なこと言わないでっ!!
「何をいうか。お前なんか昨日、ラジオだけじゃ収まらんと、兄貴出演のドラマCDまで引き出してきて・・・・・・・」
「きゃああああああっ!!してないもんっ!!そんなことしてないもんっ!!!」
「いや、あれは中毒になるわ。お前の兄貴の声は、本当に恥骨に悪い。」
「いやああああああ~~~~~~っ!!!!」
ぐすっ・・・・・もう黙ってて。お姉様。
なんて漫才みたいなやり取りを心の中でしているうちに初の着替えは終わった。
あまり集中できなかったけど、一度見れば十分だ。あとはネットの動画を参考にすればいい。やっぱり、実際に一度、現物を見ておくのって大事だからな。
で、あとは化粧か。
ん?服を着替える前にしておいた方がよくなかったか?
等と思っていたけど、こいつ、化粧なんかしなくても俺よりも可愛いかも・・・・・
くそ・・・・
こいつ、嫌いだっ!
と、俺がうらやんでいたら、
「榊君てさ。お化粧したら、絶対に美人になると思うんだけど?」
なんてことを言いだしてきやがった。
「やってみる?」
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・やる
「あ、遊びだからなっ!!遊びでやるだけだからなっ!!
い、一回だけなんだからなっ!!」
俺が何度も念押しするのが楽しいのか初はクスクス笑いながら、慣れているのか手際よく俺に化粧を施していく。
「女装仲間にね。よく教えてあげるの。私も最初はニューハーフのお姉様にこうやって教えてもらったわぁ。」
などと過去を懐かしみながら・・・・・・。
そして、出来上がった俺の顔を見て、初は「うそ・・・きれーい。」とほめてくれる。
鏡に映った自分を見る。
そこには、死んだママの若いころに似た俺がいた。
・・・うそ
・・・・・俺、ヤバいじゃん。
・・・・・・・・メチャクチャ、可愛いじゃんっ!!
俺は、自分の姿に感動して、思わず涙がこぼれそうになった。
・・・・自分の中の女が本気で目覚めようとしていることを感じぜざるを得ない瞬間だった・・・・。
初はそんな俺の姿を見て・・・「わかるよ。私も初めてのお化粧の時は泣いちゃったもん。」って肩を叩いてくれた。
そして、俺を押し倒すと、手を腰に這わせ・・・・・
「って、何をする気だよっ!!」
「えっ?・・・・・・今、そういう空気になってたでしょ?」
「なってないっ!!なってないからっ!!」
俺はあわてて初の手を振りほどき、体を押し返そうと・・・・・・ビクともしなかった。
うそ・・・・・
こんな小さな体してるのに・・・・・・女になった今の俺じゃ、押し戻すどころか握られた手を振りほどくことすら無理だった。
「あははっ!ほら、こんな抵抗したフリしてないでさっ!素直になりなさいよっ」
「それともこれが本気?明ってよわーい。」
やだ、怖いっ!
男の子って、こんなに女の子と体力差あったの?
やだ、やだやだやだっ!!
来ないでっ!!
「お、お前はオカマなんだから、男に抱かれる側だろっ?」
必死に説得するも、そう言われて止まる初ではなかった。ニッコリ笑いながら俺のズボンをずらそうとしてくる。
「ううん?私。女の子も好きだから。それに女装レズとか得意だよ?」
「じょ、女装レズってなに?日本語おかしいでしょっ!!!?」
「・・・・そんなのどうでもいいでしょ?・・・・・ね?ほらぁ、私が教えてあげるから、一緒に気持ちよくなろうよぉ~」
振りほどけないっ!!
抵抗できないっ!!
やだ・・・・
やだ‥‥助けて
助けてっ!!隆盛っ!!先輩っ!!お兄ちゃんっ!!!
いやあああああ~~~~~~っ!!
・・・・・
・・・・・・・・・・「だから、男には気を付けろと申したのじゃ」
ぐすっ・・・・・うええええええんっ・・・・・
「妾がおらねば、どうなっていたかわからんぞ?全く・・・・・・」
だってぇ・・・・・
とっさの所でお姉様が初に失神魔法をかけてくれて、私の貞操は守られた。
「怖かったよぉ・・・・・・怖かったよぉ・・・・。」
「よしよし・・・・・仕方のない子じゃのう・・・・・。」
お姉様は、私が立ち直れるまで慰めてくれるのでした。
でも、本当に怖かった。
男の子って強い。怖かったよぉ・・・・・・・。
その後、お姉様に記憶を書き換えられた初は、何事もなかったように家を出て行った。
お姉様が言うには、初の記憶では服を着替える前に家に帰ったことになっているらしい。
だから、初は家を出ていく前に何事もなかったように「ラノベ、書けたら、私にも読ませてねっ!!」、「またね。明ちゃんっ!!」・・・・・なんて言い出したのは、ちょっと怖かった。
記憶にないから仕方ないんだろうけど、乙女にあんなことしておいて・・・・・・・
だ、大体、小さな体して・・・・あんなにおっきいなんて・・・・・・
「しっかり見て覚えとるんかいっ、お前はっ!!乙女が聞いてあきれるわっ」
「ひっ!!」
お姉様のお叱りの言葉が耳に痛かった。