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水着が小さくなっちゃったのっ!!

「いやあああああ~~~~~っ!!!」

私の叫び声が夕暮れの自宅に響く。

その声を聴いたママが慌てて私の部屋の扉をノックする。

あかりっ!? 明っ!?

 どうしたのっ!? 凄い悲鳴が聞こえたんだけどっ!!?」

私は、その声を聴いてすがる思いで扉を開けて、ママに助けを求めるっ!!



「どうしようっ!! ママッ!!もうすぐ水泳の授業が始まるのに・・・・

 水着が小さくなっちゃったのっ!!?」


そう。信じがたいことが起きてしまった。

生理が始まり、いよいよ女の子として生きて行かなくてはいけなくり、私は、制服も下着も買いなおした。

そして、当然。授業で使う水着も・・・・・。

あれは、ほんの1か月半ほどの事。それからただの一度も水着を着ていないというのに・・・・。あろうことか水着が小さくなってしまって、ピチピチで私の体が入らなくなってしまった。私の胸まで生地をとても引き上げられなかった。

・・・・・こんなことがあり得るだろうか?

私は水着が入らない半裸状態でママに泣きついた。おっぱいは丸出しだけど、今、この家にはママと私しかいないから大丈夫だよね。

胸元がきつくてとても引き上げられない。あまり強引にして形が崩れる原因になっても嫌だし・・・・。

入らないのはオッパイだけじゃない。お尻だってピチピチすぎてかなり痛い。


泣きつく私にママは、その右手で私のオッパイを鷲掴みすると

「こんないやらしいサイズのお乳してるからでしょっ!!」

と、ちょっとお怒り気味に言う。

「や、やんっ!! ママッ・・・・い、いたいよっ!!」

ママの手を振りほどいて、両手でオッパイをかくして抗議する私にママは言う。

「つまらない事で大きな声を上げないでっ!! 何事かと思ったわよっ!

 ついこの前に買った水着が小さくなるわけないでしょ!!

 アナタの体が成長しすぎただけよっ!!」

ち、違うもん!! 水着が小さくなったんだもんっ!

だから、お尻がきつくなってるだけだもんっ!!

必死に抗議する私の頭にコツンと突っ込みを入れるママは「明日、新しい水着を買ってきなさいっ!!」と、命令するのでした・・・・。



違うもん・・・・。オッパイは大きくなったけど、お尻は大きくなってないもん!! 水着が小さくなっただけだもんっ!!

翌日。登校中だというのに心の中で必死でママに抗議する。あれは水着が短期間に縮小する怪奇現象・・・・。どうしてわかってくれないのっ!!?

「あ~・・・あかりよ。

 ・・・・お前のぉ。ちと現実を見た方が良いぞ。」

・・・・・・言わないで、お姉様・・・。私、お尻は大きくないの

「よいか? 明。

 よう覚えておけ。大半の男は、お前のデカい尻も太腿も大好きじゃぞ。

 石器時代の偶像を見て見よ。乳房もお尻も太ももも豊満であろう?

 古来、男とはそういう体が好きな奴が大半じゃ。」

だ、だだだ、だれが、土偶体型ですかっ!!?

違うもんっ!!

「・・・・ええじゃないか。男にモテて何の不満がある?」

あの3人の他の男の子にモテても仕方ないもん。むしろ、他の男子のいやらしい目線なんて、ノーセンキューです。

「う~む。あの3人のう・・・・。 

 まぁ、男なんて前から言うとるように、()()()()なんだっていい生き物じゃからな。お前の尻のサイズなど、そこまで気にせんでもいいと思うが・・・・・・。」

・・・・

・・・・・・そういえば、あの3人の理想の女性のスタイルってどんな感じなのかしら?

「理想像か?

 うむ。

 隆盛りゅうせいはちょっとロリコン気質なところがあるから、あいつは細くて小さい子が好みのようじゃな。

 不知火は、自分が線が細いからか、割と肉付きがいい子が好きじゃな。あかり、お前は理想像に近いな。

 たける様は、何でも食うな。あの人は・・・・・。」

お、お兄ちゃんて・・・・。

「いや、それは他の男でも一緒だと言うに。

 隆盛などは、どっちかと言えば、ツルペタが好きなタイプじゃが、それでもお前の体には発情しまくっておるぞ。あれ。」

えっ!!? あの隆盛がっ!?

「当たり前じゃ。お前に惚れておるんじゃぞ、あいつは。

 発情せん訳が無かろう。この間のデートだって、お前だけが発情しておったわけではないぞ?

 隆盛の奴も限界ギリギリだったんじゃぞ?」


・・・・・そうだったんだ。

あれだけ余裕を感じさせてたから、完全にセルフコントロールできているんだと思っていた・・・。

「年頃の男が自分の性欲をそこまでコントロール出来ていたら、上出来じゃと思え。」

お姉様から、そんなことを聞かされていたら、それからの隆盛を見る目が変わりそう・・・・。

とか、何とか考えながら登校していると、あっという間に教室についてしまう。

「おはよう、あかりちゃんっ!!」

いつも通り、可愛い笑顔ではじめが挨拶してくれる。

いいわね。あなた。体形の心配なんかしなくてもよさそうで・・・・・。

私は小さくてスレンダーなはじめの体を上から下まで見まわしながら、つくづくそう思う。

まぁ、はじめの立場だと女の子になれた私の方がよっぽど羨ましいだろうけどね。

そうこうしていると、隆盛がやってきた。

私に発情していた隆盛が・・・。

このエッチめ!!


その後、私は不知火先輩に本日の美術部の活動を休むと連絡を入れておき、放課後になると、帰り道に寄り道して前の水着を買ったお店に再び水泳の授業用の水着を買いに行く。

出来るだけ胸まわりに布地が多いタイプのスクール水着を探しながら、お姉様の予想を頼りに今後の成長分を考慮に入れて水着を選ぶ。

ふと、スクール水着以外の水着が目に入った。

可愛い水着に誘われるように、フラフラと私は、水着を物色してしまう。

個人的には開放的なビキニや体のラインがそのまま出るワンピースタイプも私は好みではない。

やっぱり、胸元を隠せる可愛いフリルが付いたビキニブラとスカートがオプションでついている3点セットが私の好み・・・・。

どうせ、男の子って私のお尻とか胸ばっかり見てくるんだろうから、そういう視線避けにもこういうのがいい。

どれも可愛いから迷ってしまう。あれやこれやと好きな柄を探していると、候補が3点見つかった。

可愛いピンクか、シックな黒か、爽やかなブルーか・・・・・。

う~ん。迷うなぁ・・・・・

ねぇ、お姉様。どれを着ても私、可愛いと思うんだけど、あの3人ならどれが喜ばれるかなぁ?

「・・・・あやつらなら、色よりも露出じゃろ。フリルとスカートはやめとけ。」

やだっ!!

エッチな水着なんか、絶対に着ないもんっ!!

「仕方ないのう・・・・・。まぁ、不知火とたける様は、なんでも喜ぶが、隆盛は圧倒的にピンクを喜ぶじゃろうなぁ・・・・。」

ふ~ん。ロリコンめっ!!

そう、思いながらも私はピンクの水着を買うことにする。

そして、レジを済ませて店を出た時に、偶然、はじめに出会った。

はじめは、可愛いピンクのワンピース姿だった。

「あっ!明ちゃん、水着買いに来てたんだっ!! いいなぁ・・・・。私も女の子の水着着たい。」

「持ってないの?」

「・・・・うん。サイズがよくわからなくて・・・。相談できる相手もいないし・・・。」

はじめは、そういうと少し、寂しそうな。悲しそうな顔をした。

仕方ないなぁ・・・・。

ねぇ、お姉様。何かいい方法ないかしら?

「仕方ないのう・・。妾が目測してやるで、あの店に連れて行ってやれ。」

さっすが、お姉様っ!!

頼りになるっ!!

「ふふふ。褒めても何も出ぬぞ?」


可愛そうなはじめの手を取ると、「ねぇ、はじめ。私が目測してあげるから、好きな水着選んでみたら?」と、いうと、はじめは「ほんとうっ!?」と、目を輝かせるのだった。

そうやって、はじめを連れて再び水着を探してみる。はじめは私とは違う理由でフリルとスカートの3点セットを希望する。

そして、問題は色になった。

「え? あかりちゃんもピンクにしたの?」

はじめもピンクを選んだのだ・・・。

う~ん。はじめも隆盛狙いなんだよねぇ・・・・。仕方ない。ここは私がピンクは譲って・・・・・と、私がもう一着、別の色を買おうと思った瞬間、お姉様に怒られた。


「ダメじゃぞっ!! はじめのために水着の色を譲ってはいかんっ!!

 これは()()()の戦いじゃ。お前ははじめに手心を加えてやるつもりか?

 それがどれだけはじめのプライドを傷つけるか、お前は考えておるか?

 きちんと話し合うんじゃ。()()()でな。」


「それにな、お前は隆盛を何じゃと思っておるのじゃ?

 あいつに喜んでもらうためにお前はピンクを選んだのではないのか?

 それをはじめが原因で譲るつもりなら、もう一度、きっぱり隆盛は断らんかっ!!

 そんな覚悟なら、断れっ!! 隆盛にも失礼じゃっ!!」


お姉様が珍しいほど真剣な様子で私を叱責する。

そして、その言い分が正論だったから、私は何も言い返せない。

確かに、私がしようとしたことは、はじめと隆盛に失礼だ。

私は、目を閉じて隆盛を断るべきか考えてみた・・・・・。

でも、隆盛のことも男の子としてかなり好きになってしまっている私には、いますぐ隆盛を諦めることは出来なかった。

だったら、どうしよう?

はじめにピンクを譲ってもらう?・・・・そんな可哀想なことは出来ない。

だったら・・・・だったら、私のとる道は一つだけ・・・・。

私は、はじめを真っすぐに見つめて言う。


「ねぇ。はじめ・・・・。

 隆盛は好きよ。ピンク色の水着。

 だから・・・・・一緒に着ようよ。きっと喜ぶわよ、隆盛。」


私の申し出を聞いて、はじめは、一瞬、戸惑っていたけど・・・すぐにとびっきりの笑顔を見せて「ありがとうっ!! 明ちゃんっ!! 大好きっ!!」といって抱きついてきた。

そして・・・・肩を震わせて泣いていた・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう、人前なのに仕方ない子ね・・・・。

私は、はじめが泣き止むまで、抱きしめてあげるのでした・・・・。

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