表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/143

衣替えと水泳と・・・・

6月に入ると衣替えが始まる。

うちの高校は今時珍しくセーラー服が基本なので、夏向けの白のセーラー服に変更される。

実は、この白のセーラー服は近隣の女子高生には好評を得ていて、他校の女子から羨望の眼差しを向けられる。

私もこの白のセーラー服を気に入っていて、実は楽しみだったりする。真新しい白のセーラー服を着て、姿見の大きな鏡の前でクルンと一回転して見せたりして、自分の制服姿を確認して大満足なのでした。

「おお!!。可愛いぞ、あかり。妾も着て見たいほど清楚なイメージのセーラー服じゃな。」

と、お姉様も絶賛してくれるほど、白のセーラー服は私に似合っていた。

私は、絶世の美女であるお姉様に褒められて、少し鼻が高い。さらに登校前に、ママにその姿を見せた時、ママも嬉しそうに「可愛い、可愛いっ!!」と、何度も言いながらスマホでカメラを撮って喜んでくれた。

ふふふ・・・・。そうでしょう。そうでしょうともっ!!

私は、自分の美貌にすっかり自信をつけると、鼻高々で登校する。

私が教室についたとき、学ランを脱いで長袖のカッターシャツ姿に衣替えしたはじめが嬉しそうに手を振って迎えてくれた。

「おはようっ!!明ちゃんっ! 新しい制服可愛いねっ!!」

嬉し事を言ってくれる。

でも、きっと本当ははじめも着たいんだろうな・・・と思うと、少し複雑な気分にもなるけど、ここは素直にはじめの誉め言葉を受け取っておこう。

「ありがとう。はじめはじめのカッターシャツ姿もカッコいいよ。」

と、言うとはじめは「もうっ!! 明ちゃんのいじわるっ!!」といって、可愛いふくれっ面をさらす。

「うそうそ。ごめんね。はじめもコレ、着てみる?」

私は、からかったことを謝ると、はじめに着て見たいか尋ねてみた。するとはじめは間をキラキラさせながら「いいのっ!?」と嬉しそうに尋ね返す。

「いいわよ。また、今度の休みの時に家に来て。私のでサイズ合うと思うからっ!」

「うんっ!! ありがとう。明ちゃん。

 やったぁ~、このセーラー服着て見たかったんだよねぇ~。」

はじめは、上機嫌でピョンピョン撥ねながら、喜んだ。

う~、くそう・・・・。この子、本当に可愛いわね。

私が男だったら、きっとこういう子を好きになるんだわ・・・・。なんて思わせてくれるほど、はじめの仕草は可愛い。

私もちょっと、こういう可愛い仕草、勉強しないとなぁ・・・・・。

ペンギン走りの時の高揚感を思い出すと、早く自分もピョンピョン撥ねるイベントが来ないか、心待ちになってしまう。

私とはじめがその後、可愛い服の話で盛り上がっていたら、同じく長袖のカッターシャツ姿の隆盛が教室に現れた。

その瞬間、クラス中の視線が隆盛に集中する。カッターシャツの上からでも、ハッキリとわかる肉体美に誰もが視線をそらせられない。分厚い胸板に太い両腕に引き締まった胴回り。まるでギリシャの大理石像のように隆盛は美しかった。

「は~・・」と、何人かの女子が小さくため息をついて見とれてしまった。

一方、隆盛の方は、そんな視線にさらされるのは慣れっこのようで、クラス中の視線を集めているというのに、ごく自然に私たちに挨拶してきた。

「おはようっ! 明・・・・・はじめ

「おはよう!!。隆盛。」

私が挨拶を返すと時間差ではじめが「・・・・お、おはよう。隆盛」と、小さく挨拶する。

ん?

んんっ?

何かあったね? チミ達・・・・。女の勘が二人の変化を敏感に察知している。

「明。白のセーラー服似合っているぞ。」

そんな私の警戒心さえも気にも留めない様子で隆盛は、私のセーラー服姿を褒めてくれた。

「・・・・う、うん。」」

私は照れ臭くなって、少し顔が赤くなってしまうのを感じながら、返事をする。

・・と、いうか。今は自分のセーラー服姿よりも、隆盛の肉体美に心奪われかねない。

今更だけど、私、こんな大きな体に抱きしめられたんだよね?

そう考えると、私は隆盛の体を直視できないほど、胸がときめいてしまう。

あの日、あの時。隆盛の体にすっぽりと包まれた時、全てを捧げてしまいたくなった。あの感情を思い出してしまうのだった。

そして、私がその胸の高まりを誤魔化そうとしているのを手助けしてくれるかのように予鈴が鳴って、はじめは自分のクラスに戻り、隆盛も自分の席に戻った。隆盛は、周りの席の級友たちと先生が来るまで、とりとめ無い話をしている。

・・・・・いいなぁ。男の子って・・・・。私、ちょっとオッパイが大きすぎるところあるから、制服着たら太って見えちゃうんだよね・・・・・。フィットした姿を男の子に見せるのは、ちょっと恥ずかしいし、嫌な部分もあるんだけれども、太って見られるのは嫌かなぁ・・・・。

しかし私を明るくしたり、憂鬱にしたりもする服の悩みは、これで終りではなかった。



「水泳の授業っ!!」

私は、すっかり忘れていた夏の行事を授業中に突如、思い出した。

ああっ!! す、すっかり忘れていた。再来週、6月も半ばを過ぎたら、体育では水泳の授業が始まるんだった!!

通常の体育の時間は、完全に男子女子で運動場が分かれるから、体にフィットする体操服は、さほど気にしてないのだけれども、水泳になると、そうもいかない・・・・・。

え~、やだ。

絶対、男子はエッチな目で見てくるよぉ・・・・・。

自慢じゃないけど、私はお姉様の眷属らしい美ボディの持ち主。オッパイの大きさだって多分、校内一と思う。その私を男子が見過ごすわけがない・・・・・。

うう~・・・・。隆盛に見られるのは嫌じゃないけど、他の男子には見られたくないかなぁ・・・・・。

私は今日、白のセーラー服を着れた喜びに浸ったというのに、もう夏が始まることにうんざりしているのだった・・・。


「・・・・水泳の授業やだ・・。だって、男子、絶対に私のことをエッチな目で見てくるもん。」

意外なことにそう言ったのははじめだった・・・。

いつものようにお昼休みに隆盛の分の弁当を取り分けてあげながら、憂鬱そうにそういうのだった。

どうやら、隣のクラスでは、既に6月の第3週目から水泳が始まることを告げるプリントが配られてたとのこと。それをみて、はじめは憂鬱になっているようだ。

あ~・・・?いやいや・・・君、男子でしょ?、と心の中で突っ込みを入れつつも、はじめの柔らかそうな体つきと白い肌は、確かにちょっとエッチかもしれないと、私も思わなくもない。

ふと、隆盛をみると隆盛も微妙な表情ではじめを見ていた。どうやら思い当たる節が無くもないという感じだった。

そういや、この子、SNSで人気で動画もお小遣いが入ってくるくらい再生されている子だもんね。男子高校生がこの子の色香に惑わされる可能性は、十分にあり得るのか・・・・・。

全く、男はケダモノねぇ・・・。やんなっちゃう・・・。


「ああ。本当に嫌になるよ。」

水泳の授業になるといやらしい目で見られてしまうのは不知火先輩も同じらしく、放課後、美術部の活動中に深いため息をつきながら言うのだった。

「・・・・あの子に言っておいてやってくれないか? 下着が盗まれる可能性があるから、予備をちゃんと隠し持っておくんだよ、と・・・・。」

不知火先輩は、同病相哀れむといった感じではじめにアドバイスするのだった。

・・・・て、いうか。そこまで?

そこまでする子がいるんだ?

私は改めて男子が怖くなった。


「私、水着になるのが怖いんです。今は体操服姿だから、皆そんなに見てこないだろうけど、水着になったら、泳ぐ場所も男子と近いから、怖くって・・・・・。」


私がそう不知火先輩に不満を溢すと、不知火先輩は目を白黒させてこう言うのだった。


「何言ってるんだい?・・・・君は体操服姿でも男子の中で有名だよ?」


意外過ぎる言葉に私は目の前が真っ暗になる。

うそ・・・体操着姿も見られてたの? それも学年が違う不知火先輩の耳に入るほど、有名なの?

かなりショックなんですけど・・・・。

「当たり前じゃろ。 全く、お前は男子を何だと心得ておるのか?

 そもそもあ奴らは、飢えたら平気で男子でもやる連中だぞ。

 嘘だと思うなら、男同士を1~2カ月でも山中で二人きりで隔離してみろ。片方が美少年だったら、すぐに結ばれおるわ。

 なのに明。お前みたいなエロの権化みたいな体の女子が無事で済むわけなかろう。・・・」

お姉様はホトホト呆れたように言う。

お、男同士でって・・・・・。

お姉様の話は極端だから話半分にしても、そういう噂は聞いたことがある。そういう事もありうるのかもしれない・・・・。こっわ・・・・・


私が男子の性欲の強さにおびえていると、ふと、不知火先輩の視線が気になった・・・・。


「あの・・・・・私の胸、見てませんか? 不知火先輩!!」


私に睨まれて、不知火先輩は「いや、だって・・・・」とか言い訳しながら、キャンパスの方を向いて絵をかきだした。

全く、男子は気を抜いたらすぐに私の体ばっかり見てっ!!

お兄ちゃんも隆盛も先輩も私が気が付いてないとでも思っているのかしら?と、心の中で怒りながらも、3人なら、そういう目で見られても嫌ではないと、私は気が付いていた・・・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ