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役者バカのバカーっ!!

夕飯を終えて部屋で大人しくBL小説を読んでいるとお兄ちゃんが部屋をノックした。

私が部屋の扉を開けた時、お兄ちゃんは「明日は何処へ行こうか?」と尋ねた。

そういえば話していなかったな。隆盛達との取り決めの話を・・・。

「あのね、お兄ちゃん。私の成績が上がるまで皆がデートは月に1回づつって決めたの。

 だから・・・・お兄ちゃんも。」

私がそう言うとお兄ちゃんは、かなりムッとした表情をした。

「言っておくけどな。俺はあかりと会って話が出来るのは週末の・・・それも仕事がない時だけなんだぞ?

 学校でいつでも会える同級生たちと俺は違うんだ。」

珍しく、私に強く怒るお兄ちゃんはなんだかとても怖かった。

それでも私は「皆に悪いから。でも、明日はずっと一緒にいるから・・・・。」と答えた。

お兄ちゃんは、小さくため息をつくと、「わかった。」といって私の頭を撫でて、自分の部屋にこもってしまった。

ごめんね。お兄ちゃん。

「そう思うんなら、勉強せんかいっ!!」

お姉様が心の中で猛烈に怒っている。

お姉様もきっとお兄ちゃんとのデートを楽しみにしていたのかもしれない・・・・。

なんていうか、前みたいに隙あらば私の体をのっとって、お兄ちゃんにエッチなセリフを言わせてやろうとか考えていません?お姉様。

「ぎくっ!・・・そ、そんなわけある・・・・っわけないとは言い切れないかもしれないけれども、それは決まっているわけではないので、そこのところを勘違いせぬようにな。」

お姉様。上手く誤魔化したと思っています?

いや、結局私の質問を否定できてないですよね?

そんな私の体を乗っ取ってまでお兄ちゃんに罵ってほしいんですか?

もしかして・・・お姉様。お兄ちゃんのこと、実は狙っていたりします?

「す、すすすす、するわけないじゃん!!あ、あああかり。ばっかじゃないの?」


うわー。

まじっすか。神様のくせにまさか・・・・・・本気で?

「う、うるさいっ!!うるさいっ!!。人間が余計なことを考えるなっ!!遊びに決まっておろうが!

 妾は豊穣神じゃぞ?その気になれば人間だろうが、神だろうが、女だろうが誑し込めるのじゃ。

 本気だったら、とうの昔にたける様をやっておるわっ!!」

「・・・・・本気だったら、やっておるわ・・・。」

お姉様は、すっかり拗ねて口を利かなくなってしまった。

仕方がないっ!!今日は景気づけに久しぶりにやりますかっ!!

BL祭りっ!!

「おおおおおおっ!!じゃ、じゃあ、妾の好きな奴聞いてくれる?」

はい。もちろん。意地悪したお詫びに好きなのかけてあげますよっ!

「じゃあ、あれにしようっ!!

 ほれ、故郷に戻ってきたときに再会した幼馴染がすっかりカッコよくなっていて、一緒に海に行ったときに、興奮したのがバレて襲われちゃうやつっ!!」

わかります。

海パンだから、隠しようがなかったんですね。

攻めに押し倒されて「待って、皆が来ちゃうからっ!」っていってるのに「・・・・これだけまたされたんだから、これ以上、俺は待つ気はねぇよ・・・・」って、強引に奪われる展開ですね!

やっぱり、男の子は少しくらい強引な方が良いですよねっ!

「うむ。それで、そのあと手を握りしめ合って終わるというラストがよい。愛に言葉は不要なのじゃ。」

じゃあ、夜はまだまだこれからですけど、やっちゃいますかっ!!

「祭りじゃぁ~~~~っ!」

あ、そのあと。珍しくお兄ちゃんが受け役もやった奴かけてもいいですか?

「いやじゃ!いやじゃ!いやじゃっ!!!

 たける様は、受け役なんか絶対、ダメなのじゃっ!」

え~。リバいいじゃないですか?

「殺すぞっ!!孫子の代まで呪い殺すぞっ!!」

・・・・・・こわっ。マジじゃないですか。

わかりました。やめときます。

「ぜったいじゃぞっ!!妾がお前に取りついている間は、絶対に二度とあんなものをかけるなよっ!!

 絶対じゃぞっ!!」



翌朝・・・・・「昨日は随分とお楽しみでしたね。」と、言うセリフが聞けないのが寂しいくらい昨日はお姉様のリクエストのお応えして、楽しんでしまった・・・・・。

ううっ・・・・ちょっと体が重いかも・・・・。

そうして、まだ若干気だるい体を起こして台所へ行くと、お兄ちゃんが台本片手にコーヒーを飲んでいた。

「おはよう。お兄ちゃん。」

「おはよう、明・・・。」

お兄ちゃんは、挨拶を返してくれたものの反応は、暗い。

どうしたのかな・・・?もしかして・・・・・

「お兄ちゃん。その台本。・・・・難しい役なの?」

私が尋ねると、お兄ちゃんは目を一瞬見開いたかと思うと、「ちょっと聞きたいんだがな・・・・。」と尋ねてきた・・・。


「受け役の気持ちがわからないんだ。

 こいつは、俺が昔の男と寝たことを怒っているんだが、怒る相手が俺じゃなくて、昔の男に対して攻撃的になっているんだ。

 おかしいじゃないか?浮気した彼氏を責めずに、その元カノと敵対するのって、どういう理屈なんだ?

 悪いのは浮気した俺じゃないのか?

 そこが意味が解らなくてな。俺はどういう風に、この二人の気持ちを察して演技すればいいのかわからなくて、困っている。」

んん?・・・・お兄ちゃん。自分の演じるキャラのことを「俺」っていってるんだ。

役者バカって言葉があるけど、お兄ちゃんも相当、バカね。

それに、彼氏が元カノに誘惑されたときに、彼氏よりも元カノと敵対するのなんか当たり前じゃない。

「うむ。たける様も女のことをわかっているようで、わかっておられぬようじゃの・・・・・・・。」

お姉様もそう思いますよね?

「無論じゃ。両性具有とはいえ、妾も女じゃ。浮気した人よりも浮気相手を恨むに決まっておるわ。」

私とお姉様の意見は一致している。だから、私はハッキリと言ってやった。


「そんなの簡単じゃない。

 そのキャラクターがお兄ちゃんのことを好きなら、浮気しようが何しようがお兄ちゃんを自分のものにしたいって思うもの。その障害になる相手は全員敵よ!!

 それでもし、浮気相手を恨まずにお兄ちゃんを恨むようなら、・・・・・・それはもう、お兄ちゃんに愛想をつかしったって証拠。

 お兄ちゃん。女はね、お兄ちゃんが思っているよりもずっと、独占欲が強いんだからねっ!!」


私の言葉に、お兄ちゃんは最初、納得がいっていなかった感じだった。

「いや、やっぱり浮気した男が悪いだろう?」「浮気した彼氏なんか引っ叩かれるべきじゃないか?」

と、ブツブツ言っていたけど、「それが、女の・・・受け役の気持ちなんだなぁ・・・・・」と、しみじみと呟いてから、部屋に戻り、晩御飯の時間まで部屋から出てこなかった・・・・

・・・・え?

私は・・・・?

あれ?昨日・・・お兄ちゃん。デートは月一回だけって言った時、あれだけ不貞腐れてたくせに・・・・

あれ?

・・・・もしかして、私・・・・・・お芝居にお兄ちゃんをとられた?

てか、受け役の男に負けたのぉ~~~~っ!!?



お兄ちゃんはその夜、「明のアドバイスのおかげで、良い演技が出来そうだよっ!!」って、嬉しそうに別れの言葉の代わりに私に伝えると、深夜バスに乗って東京へ帰っていった。

あのねっ!!覚えておいてよっ!!お兄ちゃんっ!!

女の子は、好きな人を独占したいんだからねっ!!それが、例えお芝居のキャラでも負けたくないんだから――――っ!!

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