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親友の壁は壊れた・・・・・

体の位置を慣れた感じで上手に変えて、いつの間にか私の背後に取りついた隆盛りゅうせいの男らしい筋肉質な肉体に包み込まれた私は、自分の意思を失いかけない勢いで、メロメロにされてしまった。

そんな私にお姉様が「これっ!!これっ!!しっかりせぬかっ!!」と心の中で声をかけてくれたので、私は正気に戻ることが出来た・・・・。

「りゅ・・・・隆盛。エッチすぎるから・・・・ハグは未だ禁止だよっ!!」

私は全てを受け入れて落とされてしまう直前でどうにか、隆盛に拒否する意思がまだあることを伝えることが出来た。

もっとも、声を出すのが精一杯でその手を振りほどく気力まではなかったのだけれども・・・・。

「へぇ・・・。そう言いながら、俺を放してくれないのは、お前も同じじゃないか?」

隆盛はそう言い返してきたので、私は私自身が私を包む隆盛の腕を抱きかかえていたことに気が付いて、慌てて手を放した。

「・・・・こ、こんなのズルいっ!!ボディタッチなんて反則なんだからねっ!!」

私の抗議を聞いて隆盛は、名残惜しそうにしながらもその太い両腕を放した。

「・・・・・そうか。朝から随分、お前の体に自然とふれていたんだけどな?

 お前もウットリとして受け入れていたから、てっきり喜んでくれているものだと思っていたが?」

う、ううううう、ウットリなんかしてないもんっ!!


「いや、隆盛の言うとおりウットリとしとったぞ。」

ええっ!?

「お前はな。豊穣神である妾の眷属。オスから求められると弱いのよ。

 世界中の豊穣神の神話を見て見ろ。冥界の王に連れ去られてレイプされたり、親兄弟息子からも強引に体を求められて抗うことが出来ない伝説ばかりじゃろう?豊穣神とはそういうものじゃ。故にドМでしか務まらぬと申したのじゃ。

 あかり。お前は妾の眷属。その属性はお前にもしっかりと受け継がれておる。気を付けよ?

 こんなイケメンのマッスルに抱きしめられたら、あっという間に体を許しかねないからの。その前に何とかするのじゃ。」

お姉様は、もっと事前に話しておかないといけないようなことを今更、説明してくれた。

って、おおお。おそっ過ぎるでしょっ!!

そうと知っていれば、もっと早く対処したのにっ!!

「妾は豊穣神。人の恋路をどうして邪魔できるものか。・・・・・しかしな。流石にこのままだと、あかり、お前の方から・・・・ほれ、あの・・・・何と言うたか・・・・。

 そうっ!!不順異性行為に出かねんからの。妾、神として子供のお前を守ったまでじゃ。」


ふ、ふふふふ、不順異性・・・・って、私が自分から隆盛をエッチなことに誘っちゃうかもしれなかったってことですか?

「うむ。お前は豊穣神に使える巫女と思え。

 古来、豊穣神に使える巫女は、子作りの仕事も請け負うもの。お前は、そう言った存在に近い。

 いや、霊核としては妾の眷属だから、もっと豊穣神に近い存在だと警戒した方が良いぞ。

 そもそもお前は忘れておるかもしれんが、本来、お前達蛇の一族は今が繁殖期ラヴシーズンじゃ。ある程度、妾がお前の性欲を押さえてやっておるだけで、それはある程度までだと話して聞かせたはずじゃぞ? それなのにお前は自分から女になって恋に落ちる道を選んだわけじゃから、お前はドンドン、繁殖期ラヴシーズンのメスになっていっていると自覚するのじゃ。今日のことは、良い勉強になったと思え・・・・」

うううっ!!

な、なにそれっ!!

そう聞いたからだろうか、私はあらためて見る隆盛の男としての生命エネルギーに満ち溢れた肉体を見るだけで、体の芯が火照あがるのを感じた。

・・・・・っ!!あああっ!!

いやっ!!こんなのおかしいっ!!

私は、怖くなって隆盛を突き飛ばすと、一気に走り去って女子トイレに逃げ込んだ・・・・。

・・・・りゅ、隆盛の体を見ただけで・・・・・・せ、切なくなっちゃうっ!!

私は自分を押さえる事が出来なくなっていた・・・・。




「・・・・・少しは・・・すっきりしたかえ?」

お姉様は、いつの間にか私を心象世界の中へと隠してくれた。

私は、今更だけど、気恥ずかしくなって、お姉様の質問に答えずに頷くことしかできなかった。

「よいか?キーワードはボディタッチじゃ。

 もうな。あんなイケメンのマッスルにボディタッチされたら、妾だったら、その場で子作りを始めてしまうわ。だから、そうなる前にお前は、隆盛を止めよ。

 そうすれば、お前も理性が利いて、肉体関係になる前に隆盛との距離を意識して外せるはずじゃからな・・・・・。」

でもっ!!お姉様っ!!

隆盛の体はエッチすぎるから見ちゃうもんっ!!


お姉様は深いため息をつくと

「お前はっ!!!

 少しはっ!!

 自制心をっ!!

 身・に・つ・け・よっ!!」

と、私に説教してから心象世界から、私を追い出した。

うう・・・・これから、どうしよう・・・?

そう思ったけど、一度すっきりした後なので、意外なほど自分の体の火照りが収まっていることに気が付いた・・・・。

いや、これは、すっきり落ち着き過ぎている。・・・・・もしかして、お姉様が私の火照りを押さえてくれたのかな・・・?

お姉様は何も答えてくれなかったけど、それ以外に説明がつかないことだし、私は現状を納得するしかないと思った。

そして、手を洗ってトイレから出ると、少し離れたところに隆盛がジュースを両手に立っていた。

「・・・・わるかった。ちょっと調子に乗りすぎたかな?」

そう言ってすまなさそうに謝る隆盛は少し可愛かった。

私はジュースを受け取ると「当たり前よっ!もう、ボディタッチなんかしちゃだめなんだかねっ!」と、文句を言った。

隆盛は肩をすくめて「いや、だって。お前は数日のうちに滅茶苦茶エロい体になったし、俺も抑えるのが大変で・・・・」なんて、信じられないことを言ってきた。

乙女になんてこと言うのよっ!!この男はっ!

「それっ!!セクハラだからねっ!!」

私はそう言って、隆盛を置いて、ドンドン前に進んでいく。

「おーい!どっち行くんだよ?そっち行ったら、直ぐに出ちまうぞっ!?」

隆盛はそう言って、私の手を取って止める。


ドキっ・・・とはしたけど、まだ、手を繋がれたくらいでは、私の理性は崩れないらしい。

それどころか、少し甘酸っぱい胸のときめきを心地よく感じるくらい、私の理性は残っていた・・・・。

「手を握る以上にエッチな事したら、承知しないんだからねっ!」

隆盛にそう宣言すると、隆盛は困ったような笑顔を見せて「そういわれても、ここからが俺の本気なんだけどなぁ・・・。」と、いいつつも「しゃあねぇ・・・・お前に嫌われるくらいなら、我慢するか・・・。」と受け入れてくれた。

それでも手は繋いでいいのなら、と嬉しそうに私の手を引いて、色々と案内してくれる。

半歩遅れて隆盛の後を歩く私は、そんな隆盛の逞しい後ろ姿に、頼もしいと感じていた。


テーマパークの中の食事は高いのだけれども、隆盛は構わずにごちそうしてくれた。この甲斐性も隆盛が見せたい男らしさの部分なんだろう。

そう思いながら食事をする隆盛を見つめていると、隆盛が嬉しそうに私に向かってニコッ!と笑う。

ううっ・・・・やっぱり、この男。天然で可愛いかも・・・・。

私は火照る顔が恥ずかしくて、慌てて下を向く。

そんな様子を見て隆盛が言う。

「すっかり、女の子らしくなったな・・・・・。」

ふふふ・・・。今頃気が付いたのかね?君。

そうですよっ!私は女の子なんだよっ!

「前まで男言葉を喋っていたのに、今では、まるでお嬢様みたいな仕草と言葉遣いをするようになって。正直、こっちは辛抱するのも大変なんだぜ。」

まぁ、ぶっちゃけ、意識して喋っているというか・・・・・ギャルみたいな言葉遣いしてたら、お姉様に怒られちゃうからね。

全てはお姉様からの賜物ですっ!!

でも、それが少年の恋心に火をつけているらしい。やっぱり男の子って清純な子が好きなのねぇ・・・・・。と、妙に納得しながら、隆盛の話を聞いていた。


「あの日、お前が女になった夢を見てから、俺はお前を忘れられなくなった。

 日に日にその思いは強くなって、俺はどうにかしちまったのかと思ったけど、お前が本当に女だったと知って、俺は自分の気持ちを押さえられなくなっている。

 他の2人も強敵だけど、俺はお前が俺を選んでくれるなら、これからも色々誘惑するつもりだ。

 そうやって、お前の心に俺を刻むことが出来るなら、俺はなんだってするのさ。」

隆盛の言葉に私は不覚にも、そのままずっと真っ赤に火照る顔を上げられないほど、トキメイテしまった・・・・

私は自覚した。もう、私の心は隆盛を昔のように親友として見られなくなっていることを・・・。


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