隆盛は不利?
私のテストの結果が散々だったことを理由に隆盛と不知火先輩は、話し合いの末「デートは月2回に留めること!」と決めた。
え・・・・?
私の意思は?
二人とも勝手すぎない?私の都合も聞かずにデートを毎週に決めたり、月2回に変更したり・・・・・。
私も一応、そう言って小さく反抗してみたのだけれど、不知火先輩に「うん。でも明がこれ以上ば・・・・明の成績が下がるのは問題だから、我慢してね?」と、説得されてしまった。
て、いうか。不知火先輩、今、「明がこれ以上バカにならないように」って言いそうになってませんでしたか?
「言わない、言わない。言い切ったわけじゃない言葉の先を邪推してせめてはいけないよ?」
不知火先輩っ!!
しかし、隆盛も不知火先輩も譲歩する気はないらしく、とりあえず私の成績が平均以上になるまでは、部活の時間も半分にして、その上、週1回は不知火先輩と初が勉強を教えてくれることになった。
うう・・・・・。
なんか、惨めな気がする。
それはともかくとして、私とのデートは、前回、不知火先輩と水族館に行ったわけだから、次は隆盛の番という事になる。
私がお昼休みに隆盛にどこに連れて行ってくれるの?と、尋ねると隆盛は、動物園に行こうと言った。
そこで大体、隆盛が何を狙っているのか、私にはわかってしまった。
だって、動物園は隆盛と私が初めて会った場所。だから、そこを突く作戦なのだろう・・・・。
なんてことを予想してしまう自分がちょっと嫌かも。
私が家に帰ってから、そんな愚痴を言うとお姉様は慰めてくれる。
「まぁ、明。お前もそれだけ男になれてきた証拠よ。
これだけ毎週毎週、違う男から言い寄られておれば、男の手口を読む様になっても仕方ないわ。」
・・・しかし、隆盛は天然の男じゃから、狙ってなくても、女をホロリとなるようなことをしてくることをやりかねないからのぉ。」
・・・うん。展望台のデートの時はヤバかった。めっちゃカッコよかった。
不知火先輩は美しくて、お兄ちゃんはエッチで、隆盛はカッコいいの。
「その通りなんじゃが、武様の評価がエッチというのは、酷くないか?
武様は、エッチなのではなくて、エロボイスなだけで・・・・。」
だってっ!お兄ちゃんエッチだもんっ!!
すぐにキスしようとするもんっ!!
「キスぐらいで何をガタガタ抜かしておるのじゃ・・・・・ていうか、お前もキスしようとしておったじゃろうが・・・・。」
うん。そうなんだよねぇ・・・
正直、私からもキスしてあげたいって思っちゃったのよねぇ。
そこが、お兄ちゃんと他の二人との一番の違いかなぁ・・・・・。不知火線も隆盛のことも好きだけど、言い寄られて、私が押し切られそうになっているだけで、私の方から求めてはいないのよね。
ねぇ、お姉様。以前に見せてくれた私の恋愛感情を数値化したあれ。また見せてもらえます?
自分で自分の気持ちが整理できないの・・・・。
「自分で自分の気持ちを整理できないのは、女の特権じゃが、まぁ、お前が見てみたいというのなら見せてやろう。」
お姉様はそういうと、以前に見せてくれたグラフを見せてくれた。
「久しぶりじゃから、覚えておるかのう?お前がモブキャラに感じている恋愛感情が1として
隆盛が5
不知火が13
武様が20じゃ。
あいかわらず、武様がぶっちぎじゃのう・・・・不知火も食らいついておるが、隆盛はもうちょっと頑張らんといけんな。」
本当だ、不知火先輩、前回は7だったのに、今回は倍近くになっている。
「うむ。不知火の攻めかたは、理にかなっておる。
明、お前の不知火への憧れを引き出して恋愛感情にもっていかせる。中々の手腕じゃな。」
・・・・・憧れ?
「絵師としてのな。お前を何度も描く不知火の絵師としての執念は、お前の絵師魂をくすぐっておる。その憧れが恋心へと昇華しておる部分を否定は出来ぬな。
まぁ、お前がエロい視線で不知火を見過ぎて惚れておる部分があるのも事実じゃが・・・・・」
だって!!しょうがないじゃないっ!!あれは不知火先輩の作戦なんだからっ!!
不知火先輩、絶対に私が・・・・・・・女の子が男の肉体のどこで欲情してるのか知ってて露出してるっ!!
あんなのズルいわよっ!女の子は絶対に見ちゃうものっ!!
私の抗議をお姉様は愉快そうに「はははっ」と、笑い飛ばしながら言葉を続ける。
「確かに。しかしな・・・・。それ以上にちゃんと精神的な部分でお前は、あの男を尊敬しておるのじゃ。こんなことを言うのは良くないかもしれぬが、不知火がお前の夫に一番ふさわしい器かもしれぬな。」
・・・・・・そ、そうなの?
どうして?
「尊敬できる夫と添い遂げられるのは幸せな女だけじゃ。ようよう思い描いてみい。
アトリエで不知火と一緒に幸せそうに暮らす自分の姿を・・・・・」
・・・・・あ
本当だ。凄い幸せかもしれない・・・・・。
「じゃろ?お金が人を裕福にすることは事実じゃが、お金が無いから不幸だとは言い切れぬ。
大金持ちになれなくとも、愛する夫が尊敬できる人物だということはの。女としては最高に幸せな事なのじゃ。」
私は、お姉様の言葉に小さく頷いた。
でも、それでも私にとってお兄ちゃんが一番なのは?
「まぁ、お前をずっと育ててきた。支えてくれた兄への憧れがそのまま愛情になっておる感じかの。
これはこれで幸せな事じゃがの。ずっと自分を包んでくれるように愛情をかけてくれる夫などそうそうおらぬ・・・・。
しかし、問題は、隆盛じゃ。」
隆盛が問題?何が問題なの?
隆盛はいい奴だよ?男らしいし、優しいし・・・・・・。
「それじゃ。」
どれじゃ?
「妾の口調を真似する出ないわっ!!お前。最近。態度がデカすぎるぞ。
あんまり調子に乗ると・・・・・・」
・・・・はい。すみません。反省します。
だから、お姉様。衣服のお腰廻りをはだけるのはやめていただけますか?
ノー、ノー、ノー・・・・・
ご立派なのはわかりますから閉まって下さい。女子高生にそそり立つエッフェル塔を見せつけようとするのはおやめください。警察に通報される案件ですよ?
「全く・・・。お前は本当に一度、妾が腕によりをかけて凌辱してやらねば、身の程をわきまえぬのかのう?」
・・・・・それで、隆盛の何がいけないんですか?
「教えてやらん。」
・・・・・・・・・・今夜はお姉様の好きなBL聞いてもいいですから・・・・・。
「よしっ!!女に二言はないな?ならば、教えてしんぜよう!
隆盛はな。未だにお前にとって「いい奴」「親友」の意識が強すぎて、異性としての思いを妨げておるのよ。他の二人がお前との思い出が恋心に繋がっているのとは裏腹に隆盛は思い出が邪魔をしておるのじゃよ。
だから、隆盛は不利なのじゃ。」
確かに。確かにそれはあると思う。
だって、隆盛は確かにかっこいいもん。他の女の子だったら、すぐに恋に落ちてるかもしれない。
それなのに、私が完全に落ちちゃわないのは、やっぱり隆盛との友達との思い出が邪魔してるんだと思う。そっかぁ・・・。じゃぁ、隆盛はかなり不利なわけね。
「まぁ、そうは言うても。あやつもモテるからの。
お前のそういう部分は既に察しておる。それだけに・・・次のデートは気を付けよ?」
き、気を付ける?
「あ奴は自分の武器を駆使してお前を落としにかかるぞっ!!妾の予想じゃが、そりゃもう、エッチな感じで攻めて来よるはずじゃっ!!」
・・・・え、
ええええええ・・・・エッチな感じってどんな感じですかっ!?
いや~んっ!!そんな風に迫られたら私、どうしようっ!!
「喜んどるじゃないかっ!!」
お姉様は呆れ気味にそう突っ込んだ。