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お義兄ちゃんの声がヤバいのっ!!

ううっ・・・・恥ずかしい・・・・

俺は負けた・・・・・コミズサ・・・・いや、お姉様に。

で、でも!!引き換えに異常分泌していた女性ホルモンを押さえることが出来たし、自分で自分をコントロールできる術を手に入れたっ!!

これで、もう!!不知火しらぬい先輩の顔を見ても落ち着ていられるぞっ!!

お姉様のおかげでスッキリしたし・・・・・



俺が何事もなかったようにトイレから部室に戻ると、不知火先輩は絵に集中しきっていて、俺を見ても軽く笑顔を見せるだけだった・・・・・・・

・・・・

・・・・・いやっっ!!その笑顔だけでっ!!俺は、滅茶苦茶、ドキドキしてるんですけどっ!!

お姉様、俺のこと騙してないっ!?

で、でででで、でも仕方ないかもっ!!

だって、不知火先輩。やっぱりきれいな顔してるものっ!!

俺は女になっちゃってるから・・・・・・女の子は皆、不知火先輩に惚れちゃうのわかっちゃうのかな・・・・

・・・・・ううっ!!

ダメだ、ダメだっ!!もう絵に集中するしかないっ!!

絵に集中しないと、俺、また変になっちまうよっ!!


俺は絵に集中する。

とにかく、筆に全てを乗せて油絵を描くっ!!

油絵のいいところは、何度でもやり直しがきくところだ。

塗っては上から塗り重ね。邪魔になったら、削ぎ落せばいい。

そうやって塗りを重ねて失敗を重ねて描く油絵が俺のやり方だっ!!

俺はキャンパスに描いた「猫と美少女」の題材を何度も何度も塗り重ねて絵を完成させていく。

どれくらい時が経っただろうか・・・・・?

不意に不知火先輩が俺に声をかけてきた。

「ねぇ、あかり。今日は凄い集中力だねっ!!」

振り向くと、不知火先輩は俺のすぐ右脇にいて、俺の作品を観察していてくれた。

「きゃあああああああああああっ!!」

俺は思わず悲鳴を上げる。

その声の高さに自分でもビックリする。

あ、そうか。俺、今。女の子なんだって改めて思った。


でも、その声に不知火先輩はもっとびっくりしてた。

「うわっ!!凄い声っ!!明、そんな声出せたんだっ!!」

不知火先輩は、びっくりしたように目をまん丸にして、俺を覗き込む。

や・・・・・やめて・・・。

そんな綺麗な顔で俺を覗き込まないでっ!!

・・・・・・・やめて・・・俺、俺・・・・・・・

・・・・俺、本当に心の底から女の子になっちゃうからっ!!


俺は自分の心臓が止まるかと思うほど、ドキドキしていた。

そんな俺を不知火先輩は、心配そうに見ていた。

「ごめんごめん。そんなにびっくりさせちゃった?顔・・・・真っ赤だよ?大丈夫?」

優しくしないでっ!!

今、優しくされたら、落ちちゃいそうっ!!!!

もう、やだ。俺、逃げ出したい!!怖い。

センパイの綺麗な顔が・・・・・こわいよぉ・・・・・・

「今日はもう時間だから、帰ろうか。でも、その前にね・・・・・。」

不知火先輩は、俺の右手を取るとキャンバスに向かって突き立てて、塗り方を伝授してくれた。

「ほら、ね?もっと繊細に筆を使わないとだめだよ?

 明の塗り方も悪くはないけど、それじゃ、この先がないよ?もっと、繊細に筆を動かすんだ。

 ほら、こうやって・・・・・。」

凄い・・・・・不知火先輩って、こんな繊細な筆遣いしていたんだ・・・・・。

不知火先輩の筆遣いを俺は体感しながら、やっぱり、不知火先輩を男として以上に絵描きとして尊敬していることを実感した・・・・・・。

不知火先輩は、俺に一か所だけ塗りを指導してくれたけど、そのおかげて俺は少し、性的にも開放された気がする。

「・・・・・・・・・・・」

不意に不知火先輩の手が止まる・・・・・・・。

「先輩?」

俺が尋ねると、不知火先輩は「なんだか、明の手って柔らかいね。本当に女の子みたいだ・・・・。」と、不思議そうに言った。

「・・・・・・誰の手と比べてるんですかっ?」

俺は不快になった。

ああ、そうでしょうともっ!!それだけ綺麗なお顔してるんですからっ!、さぞかしおモテになって女の子にこうやってレクチャーすることなんか初めてじゃないんでしょうねっ!!

でも、だからって、今は俺の指導してくれてるんだから、他の女の子のことを考えるなんて、失礼じゃないかっ!!

俺は、少し苛立ってきた。

その不機嫌さに不知火先輩は感づいたのか「ああ。ごめん、ごめん。女の子みたいって言いすぎたね。」って、謝ってきた。

そうじゃないのにっ!!

俺は、何故だか自分でもわからないほど腹が立ってきて。

もう、すぐに美術室を出ていくことにした。

不知火先輩は、なんどもごめんって謝ってきてたけど、今日の先輩のことなんか絶対に許してあげないんだからなっ!!



俺がそんな風にプンスカ怒りながら学校から帰宅すると、継母ママが唐揚げをどっさり作っていた。

「ど、どうしたの?ママ。今日は凄いごちそうだね?」

俺が尋ねるとママは「今日はたけるが帰ってきているのっ!」って、嬉しそうに答える。

武っていうのは、継母ママの連れ子で俺とは直接的な血のつながりのない6歳年上のお兄ちゃんだ。

「えっ!!お兄ちゃんが?」

お兄ちゃんは、新人声優さんで現在、かなり売り出している。

活躍の場は未だおもにBLだけだけど・・・・・。それでもお兄ちゃんは、「演技にBLもノーマルもないよ。俺は、俺の役を演じきって見せる。俺に与えられたキャラクターの人生を演じきって見せるんだよっ!」って、熱く語る。

そのお兄ちゃんが家に帰ってきてることは、珍しいことだった。


「おうっ!あかり!!お帰りっ!!」


背後から俺の帰りをお兄ちゃんが迎えてくれる声がした。

低音の甘いハスキーボイス・・・・・・。

その声で、背中がゾクッとした・・・・。

なにこれ・・・・ヤバい。

耳から入って恥骨に直撃して響くくらいのエロボイスじゃないかっ!!!

ヤバいヤバいヤバい・・・・・・・。

なにこれ、なにこれっ・・・・!!!カッコいいっ!!

ダメダメダメっ!!こんなの絶対ダメじゃないのさっ!!

だって、こんな声とまともに会話してたら、俺、壊れちゃうよっ!!

そりゃ、BL界で急激に人気出るわけだよ。こんな声を女の子が聞かされたら、とろけちゃうよっ!!

俺は慌てて、「ただいまっ!!すぐに着替えるからっ!!」と、挨拶もそこそこに慌てて自室に引きこもる。

その途中、お兄ちゃんがママに「あいつの声。おかしいだろ・・・・あれじゃ、まるで恋する女の子だ・・・・・・。」って、言ってた。


ああああああああああああっ!!

流石は声のプロっ!!

すごいよ、お兄ちゃんっ!!あんたプロだよっ!!本っ当にっ!!

助けてっ!!お姉様っ!!

お兄ちゃんに恋するなんて絶対にダメなんだからぁー---ッ!!

俺が必死になってお姉様に助けを求めると、お姉様はすぐさま、俺を心象世界に引き込んでくれた。


だが、しかし・・・・・・・

お姉様もお兄ちゃんの声に悶えていた・・・・。

「な、・・・・・なんちゅうエロボイスじゃ・・・・・恥骨直撃の声とはよく申したの・・・・・・

 妾もあの声に抱かれてみたいのぅ・・・・・・」

やだやだっ!!私のお兄ちゃんで変な妄想しないでっ!!!

お姉様でも許さないんだからっ!!

私が怒ってお姉様をポコポコ叩くと、お姉様は、ホホホと、笑いながら「すまぬのぅ・・・・あまりのことで・・・・」と謝ってくれたの。

でもね・・・。

「あの声はヤバい。今のお前だと禁断の恋に落ちるのは時間の問題じゃ。なに?血は繋がっておらぬからセーフ?

 たわけっ!!

 お前、男に戻る気ゼロになっておるぞ?

 いや、しかし。あの不知火とかいう小僧の場合は見ないようにすればよいし、隆盛りゅうせいは触れなければ大丈夫だろうが、お前の兄は始末に悪いのぅ。声は頼まずとも聞こえてくるものじゃからなっ。」

お姉様は私をヨシヨシしながら、私の置かれた状況に配慮して、少しだけ音を遮ってくれる魔法を耳にかけてくれたの。

「よいか?あの声はヤバい。マジでの。

 お前にはフィルターをかけておるが、できるだけ、あの声を聞かぬようにするんじゃぞ?」

お姉様はそういって、私を心象世界から現実世界に戻してくれた・・・・・・。



うわ~っ!一時はどうなるかと思った!!!

全く、お姉様の加護が無かったら、俺は今日中にマジで女の子になっちまうかもしれないな。

気を付けようっと!!男に戻れなくなるからな。

「あっ・・・・・。」

学生服を脱いで着替えようとした俺の手が止まる・・・・・・。





シャツ一枚の姿になった俺の乳房は、まな板にほんの少し膨らみがある程度だったのに、今はプックリと膨らんでいるのだった・・・・・・・。

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