美術部の先輩がイケメン過ぎて、ヤバいかも
(※1)明の通う学校にはデザイン科があるので、学校の規定で美術部が同好会になったり廃部になることはありません。
俺を女に変えたコヒミズサマは、請い水様の意で元々は、水神の類いでもあるという。
恵みの雨は豊饒をもたらすので、豊饒神でもあり、水神でもある。
水性の神に蛇神は多く、俺の先祖が蛇だったのもコヒミズサマの眷族だからだとか。
コヒミズサマは、信仰衰えた今でも一町村を水害で難なく沈める事ができる程度の神聖は残っているそうで、俺が女に変えられた程度で済んでいる事などは、コヒミズサマが「神としては、かなり慈悲深いからなんだぞ!」と、俺は、授業中だと言うのに心の中で随分と説教されていた。
て、言われてもな。
マジで俺は何にも悪いことしてないからね。何で俺だけこんな目に会うのよ。先祖に言ってよ。コヒミズサマ。
などと、心の中でブツブツ反論していると、とうとう本日の授業は、終了してしまった。
美術部員の俺と空手部の隆盛は、ここでお別れ。隆盛は武道場へ。俺は美術室へ向かう。
女になってから筋力が衰えだしたのか俺は美術室へ到着するまでに思いの外、時間がかかってしまった。俺が到着したときには既にデザイン科ニ年生の美術部部長「不知火忠保」さんが、美術室の鍵を開けて、中で油絵を書く準備を始めていた。
不知火先輩は、俺を見るなり、爽やかな笑顔で「やぁ、遅かったね。今日も楽しく絵を描こうね!」と、言ってくれた。
この先輩。メチャクチャ中性的な美少年である。
細見の体にセミロングの髪型。白い肌に大きな瞳をしている。特にその睫毛の量と長さが凄くて、まるで男装の麗人だ。あまりの美人っぷりに男から告白された事があると言う噂まで立っていた。いや、多分、実際にある。
そう信じざるを得ないくらい中性的な美しさを秘めた男子だっだ。
・・・・・でも、そんな女性的な美しさを秘めた不知火先輩にでさえ、女の身になってしまった俺は、不知火先輩に「男」を感じてしまう。
不知火先輩は細身の肉体だけど、やっぱり男の子だからね。
筋張った腕や首筋に男性らしさが見えてしまう。
ちょっ・・・・・先輩っ!!
まって!!まって!!油絵を描くからって、服が汚れないように腕まくりはやめてっ!
そのむき出しになった前腕の筋肉と血管は、今の俺にとっては、毒だからっ!!
ちょっと待ってってばっ!!と、心の中で叫びながらも、俺の視線は不知火先輩から目が離せない。
美しい顔。美しい肌・・・・。見とれるほどに美しい。
以前の俺はそんな風に感じたことが無かったのに・・・・・・。ああっ!こんなのヤバいよっ!
そんな先輩と俺は二人っきりの美術部員。 (※1)
俺は、今、この美しい先輩と、二人っきり。
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ
ヤバイ・・・・・・・
女になる前は、どんなに美しくても一人の絵かきとして尊敬する先輩だったのにっ!!もう、今の俺はあんな目で先輩を見つめられないっ!
いやっ!!見ては駄目だ!
今こそ、先輩を直視しては駄目だっ!!
見ては・・・・・・無理だよ!見ちゃうよっ!
だって、カッコいいんだもんっ!!
そうやって、俺が先輩をガン見するものだから、不知火先輩は俺の視線に気付き
「どうしたの?明。僕の顔になにか付いてるのかな?」
「さっきから、僕をずっと見てるけど・・・」
先輩は、俺を挑発するかのように、流し目で俺を見つめる。
ちょっ!!やめてくださいよっ!!先輩!!視界から入って脳髄まで犯されちゃうから!!
その覗き込むかのような流し目はやめてっ!!
ああっ!!む、胸が高鳴る・・・・。
だ、ダメだっ!!い、いいいいっ、一度落ち着かなければっ!!
良し。慌てず落ち着いて、フォローを入れるのだっ!!
「な、ななななっ!!何でもないですよっ!!先輩!!。今日もカッコいいなってっ・・・・・・!!」
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
って、何言いだしちゃうんだっ!!俺はーっ!!
嫌だっ!!先輩に嫌われちゃう!!
普通に絵描きとしても尊敬する不知火先輩に「なに?明・・・・ホモなの?気持ち悪っ・・・・」とか、思われたら、俺、死んじまうかもしれないっ!!
ううっ・・・いっそ、もう、男の子じゃないって白状してしまった方がいいのだろうか?
・・・・・だ、ダメだっ!俺にはまだ、男に戻れる可能性があるんだっ!!
こんなところで、負けてたまるかっ!!
俺は、さらにフォローを入れるために引きつり笑いのままでも構わず、「な、なんちゃってぇ~・・・・」などと、苦しい言い訳を入れる。
それを聞いた不知火先輩は、はじめキョトンとしていたけど、やがてクスッと笑いながら、
「なにそれ。・・・ふふふ。でも、不思議だね。・・・・・なんか今日の明。可愛いね・・・・。」
「まるで女の子みたい・・・・・。」
・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!
何言いだすのっ!!
何言いだすのっ!!
そ、そんなこと言われたら、死んじまいますやんかっ!!
「か、かかかかかか・・・・・可愛くなんかないもんっ!!」
「お、おおおお、俺っ!!と、とととと、トイレ行ってきますっ!!」
逃げようっ!!この場所は危険だっ!
俺は不知火先輩の「変なのっ・・・・」というクスクス笑いを背中に浴びながら、一目散にトイレに向かう。
・・・・・・やろうっ!!
・・・・・学校だけど、やろうっ!!
この体の火照りを沈めるにはっ!!やるしかないっ!!
俺は個室トイレに入り込むと・・・・・・・・・・・
入り込むと・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お、女の子って・・・・どうやってやるんだ?・・・・・・・・・・
絶望の淵に立たされるのだった。
いやだ。こんな生殺し。いやだ・・・・・。
お願いだ。コヒミズサマ。女の子のやり方を教えてくれっ・・・・。こんなままじゃ先輩の前に立てない。・・・・尊敬する先輩に嫌われちゃうよ・・・・・・・・・。
男のくせに情けなく涙がこぼれ落ちそうになったのをコヒミズサマが見かねて、心象世界に引きずり込む。
「なんちゅうことを尋ねるのじゃっ!?お前はっ!!
妾に自慰のやり方を教えてくれとはっ!!妾は、これでも女じゃぞっ!!
恥じらいというものを知らんのかっ!!お前はっ!!!」
コヒミズサマは、真っ赤になって怒っていたが、俺が弱弱しく「だってぇ・・・・」と泣きを入れると、深いため息をついてこういった。
「お前がそんなに男に発情しやすいのはな。元々、おぬしら蛇族の繁殖期ということもあるが、それだけ急激に女の体に作り変えるわけじゃから・・・・ほれ、あの女性ホルモンとか言う奴が常人の何倍もドバドバ出ておるからじゃ・・・。」
と、コヒミズサマは、俺の体の異変について教えてくれた。
・・・・てか、それはあんたのせいじゃねーかよっ!!
「あんた・・・?お前、まだ妾の恐ろしさがわからんようじゃなっ?」
「ご、ごごごごご、ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!
や、やめてっ!!も、もう、あんな凄いのはしんじゃいますからっ!!!」
俺が慌てて失言について謝ると、コヒミズサマは俺の頭を撫でながら、俺の体の異変を止めてくれると言ってくれた。いや、正確に言うと症状をある程度押さえるということだ。
「お前の女性ホルモンを通常の女レベルに抑えるには、二つ条件を付けよう。
一つ、今後は妾のことは「お姉様」と呼ぶこと。
一つ、この心象世界の中では、女言葉を話すことじゃ。妾は女の身でありながら、男言葉を話す女子は好かぬ。」
コヒミズサマは日本の指を立てながら、俺に条件を提示する。
しかし、・・・一つだけ引っかかることがある・・・・。
「あのっ・・・・。」
「なんじゃ?譲歩はせぬぞ。」
「あの・・・・それで、女の子のやりかたは・・・・・。」
俺はそこまで言うと真っ赤になって口ごもってしまう。そんな俺を見てコヒミズサマ・・・・いや、お姉様はクスクス笑いながら、俺の肌に手を触れる。
「あの・・・・お姉様。」
「愛い奴じゃの。よいよい。今日は特別に妾が女を教えてしんぜよう・・・・。」
お姉様の御手が私の体に優しく触れるたびに、私の体は燃え上がる・・・・・
ああ・・・・も、もう・・・・。戻れないかも・・・・・・・・。
今回の話は、オッケーなんでしょうか?
アウトになるのなら、表現を押さえて書き直します。
ご意見あれば、感想やTwitterにでもよろしくお願いします。