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行かず後家

お姉様は衝撃的な事を言った。

それは、お兄ちゃんにとって私以上に可愛い女の子の存在として、お姉様が名乗りを上げたから・・・・。


お、お姉様・・・・。それって・・・・。

・・・・・え~~っ!?

いや・・・・その・・・・・なんて言うか・・・・。


動揺する私をお姉様は、自信に満ちた顔で見つめている。

その神々しいお姿に、私は動揺を隠せない。

だって・・・・。


お姉様って、女の”子” なんですか?


・・・・・

・・・・・・

・・・・・・・・しばしの沈黙。

「ようし、あかり。お前ぶっ殺す。」

ちょっ!!

何言いだすんですかっ? お姉様っ!!

落ち着いてくださいっ!!

「言い訳は認めぬ。

 よもや眷属の分際で妾を年増扱いするつもりかっ!!

 その罪、万死に値するっ!!」

いや、年増とは言ってませんっ!!

「同じじゃ、同じっ!!

 妾が女の子って言ったのが気に入らんのじゃろうがっ!!」


いえっ!! 気に入る、気に入らないの問題じゃなくてっ!!

こういうことは、無自覚な場合はっ、ハッキリと言ってあげた方が本人の為だと思ったから、言ったまででっ!

決して、お姉様のことを行かず後家の年増だなんて考えたこともありませんっ!!

私が必死で弁解すると、お姉様は目に涙をたっぷり湛えながら私を睨む。


「うわあああああああんっ!!

 いじめるっ!! 明がいじめる~~~~っ!!_」


お姉様は、そういってその場に泣き崩れた。

・・・・ふっ・・・。勝った。

じゃなくて・・・・。お姉様、しっかりしてくださいよぉ・・・・。

私は、それから現実世界なら30日ぐらいの時間をかけてお姉様を慰めて、ようやくお許しを得ることが出来た。


「ぐすっ・・・ぐすっ・・・。

 ええかっ! 二度と妾にそんな失礼なことを言うなよ?

 妾、豊穣神じゃから、へそを曲げたら大変じゃぞ。近隣は何年も何年も大不作になるんじゃぞっ!!」

あ・・。そういや、お姉様。いつの間にかおなかの赤ちゃん、いなくなりましたね。

「うむ。あの子たちは、既にこの地に豊穣の源として、降り注いだ。今年は大豊作になるぞ。

 なんといっても、大神二人に孕まされたわけじゃからな。」

赤ちゃんが生まれてくるわけじゃないんですね。

「妾にとっては、赤ちゃんじゃがの。

 もちろん、赤子の姿で生まれてくる場合もあるぞ。

 その場合は、その子は新しき神か、半神の存在になるわけじゃが‥‥。」

へ~・・・・。凄いですね。

何の話をしていたか、すっかり忘れちゃうくらいスケールが大きい話でした。

私がお姉様の豊穣神としての一面についてのことに話題がそれたことに気がついて話題修正を求める。そして、そこはお姉様も心得たもので、私のペースをコントロールしなおす。


「うむ。たけるの話じゃ。

 お前、あ奴が妾にメロメロになっておることに気がついておらぬのか?」 

は?

何処の平行世界の話ですか? それともお姉様の妄想の話ですか?

お兄ちゃんには私がいるのに、お姉様に浮気するわけがないじゃないですか? 頭大丈夫ですか?

「おおう。一言一言が死罪に値するの。

 しかし、まぁ。それも負け犬の遠吠えと思えば、惨めさが倍増してかえって、気分が良いの。」

お姉様はそう言ってケラケラと笑う。

何がおかしいんですかっ!!

私とお兄ちゃんは相思相愛なんですからねっ! お姉様が入る余地なんかありませんっ!!

気持ちの悪い妄想する前に神様らしく、人々に豊穣をもたらしたらどうですか?

「ふふふ・・。言うのぉ、言うのぉ・・・・。

 いや、豊穣神としての務めは果たしとるからの? お前、一分ほど前の会話を覚えておらぬのか?」

お姉様は呆れたように言うけれど、呆れるはこっちのセリフですっ!!

お兄ちゃんと私の間に割って入るなんて、どういう情緒してるんですか?

「ふうむ。

 可能性が無いと申すか?」

ありませんっ!! だって、私はお兄ちゃんの可愛いあかりですからっ!!

「可愛い・・・妹よな?」

妹ですっ!!

お兄ちゃんにとってこれ以上ないくらい可愛い存在なんですっ!! 私はっ!!

だから、お姉様なんか入って来る余地ありませんよ? どうしてそれがわからないんですか?


「しかしの。明・・・。

 たけるは、これまで恋多きプレイボーイだったことは既に話したの?

 そのたけるが、妾に恋心を抱かぬと何故思う?」

だって、私可愛いもんっ!!

「妾とお前とどっちが可愛い?」

・・・・・

・・・・・・お、お姉様の方が美人です。

「ふふふ・・・。では、明と妾。どちらの方が胸が大きい?」

わっ・・・・私の方が若い分、綺麗な形してますもんっ!!

「それは、どうかの?

 前から申しておるが、妾は、神ゆえに乳が型崩れする心配もなければ、張りが失われることもない。

 いつでもムチムチ、ムニュムニュの特大サイズの乳房にピンク色の乳首じゃぞ?」

・・・・

・・・・・・・。

「さらに言うと、妾は側にいるだけで人間は安らぎを得る。

 明よ。妹のお前に妾ほどの安らぎをどうして与えられるのじゃ?」

・・・・・

・・・・・・・・。

・・・・・・・・でもっ!! お姉様、バカだもんっ!1

お兄ちゃんを怒らせたり、困らせたりばっかりだもんっ!! お兄ちゃんにとって、厄介な存在でしかないもんっ!!

「ふふふ。ぶっ殺す・・・・は、置いといてじゃ。

 たけるの手間を取らせる点は、あかり。お前も同じじゃろう?」

違うもんっ!!

私、妹だからっ! お兄ちゃんにとって、可愛い妹だから許されるんだもんっ!!

だ、だだだ、大体っ!! お兄ちゃんが何時、お姉様に心を奪われたりしたって言うんですかっ!?_


私が、そう言った瞬間・・・・。

お姉様は、カッと、光輝くととても見目麗しい長髪をなびかせる姿に変わる・・・・・。

「ふにゃあああああんっ・・・・・・。」

その姿を見た瞬間、私は、お姉様に虜にされて、力無くヘナヘナと倒れ込むと、業火に焼かれて煮えたぎる湯のように滴りあふれる自分の体に悶絶する。

「お、おおおお、お姉様っ!

 可愛がってっ!? 今すぐ、明を可愛がってっ!!

 はやくっ!! 早くぅ~~っ! 

 じゃないと、明っ!! 狂っちゃいますぅ~~~っ!!」

そう言って、お姉様にすがって泣く私の頭にお姉様がデコピンすると、体の火照りは一瞬で治まり、悪い夢から覚めたかのように、心は平常心を取り戻していた。


・・・・え?

これって・・・・・。

「以前・・・。妾が一度、お前の体を乗っ取ってたけると交渉したことがあったじゃろう?

 あの時、たけるは、今のお前のように理性を失って狂ったりはしなかったが、それでも妾の虜になったように恍惚とした表情で妾の姿を見ておったわ・・・・。」

あの・・・・。それってもしかして・・・・。

「そうよ。あの時、完全にとは言わぬが、たけるは、妾に恋しておった。

 その話をあの時したであろう?

 あの頃から、ずっとたけるの心の中には、お前以外に妾がずっとおる。

 妾を求めてやまぬ夜もあったぞ?」


その言葉は衝撃的だった・・・・。

まさか、お兄ちゃんが私以外の女の人を同時に懸想していたなんて・・・・・。

「何を驚くことがある。

 現に、お前も同時に複数の男に心を持っていかれたし、隆盛もお前を愛するのと同時にはじめを愛したではないか?」

うっ!!!

「つまりじゃの。

 お前は不知火と付き合って、たけるも一緒に家族生活を送ると言いたかったのじゃろうがの。

 お前がたけるを選ばぬなら、妾がたけるを我が伴侶として迎え入れる覚悟じゃ。

 どおじゃ? 

 そうなった時のことを考えて、不知火とたけるのどちらかを選ばねばならんと言うことを、先確認できたかえ?」

・・・・・・・

・・・・・・・・・・なんてこと・・・・。

なんてことなのっ!? お兄ちゃんが、お姉様の伴侶に・・・?

私はお姉様にお兄ちゃんを取られる可能性に現実味を感じて、背中に冷たい汗を感じてしまうのでした。


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