お互いの気持ちを語り合いましょう
シャワー室で私の番が来たけれどもお姉様は、怒って何も言ってくれない。
ねぇ~。お姉様ぁ~怒らないでぇ~~って、甘えた声を上げても無視されてしまう。
仕方ないから、一人でするしかないわけだけれども、今頭に浮かぶ人が私の本当の想い人なのだろうか・・・。
目をつむると私の脳裏にお兄ちゃんが思い浮かぶ。そして、あの声が・・・・あの声で愛を囁いてほしい・・・・。
そう思うと自然と手が動き出した・・・・。
さっぱりしてからシャワー室を出てリビングに行くと、初がむくれた顔で怒っている。その顔が可愛すぎて、本当に反則。この子、本当に男の子なのかしら?
ふと見ると、初の隣には美月ちゃんが初に謝る様に両手を合わせて涙を浮かべていた。
「なに・・・? どうしたの? 初」
「しらないっ!! 美月ちゃんがエッチなことを聞いてくるから悪いんだもんっ!!」
ああああ~~~っ!!
もう、この娘はっ!! 聞いたのっ!? アレをっ!
そりゃね、私だって男の娘が一人でするときどうするのか知りたいわよっ!
でも聞いたらいけないってことぐらいわかりそうなものなのに・・・・
「ごめんね、初。この子、ちょっとアレだから・・・。」
私がそう言って傷ついた初の頭を抱きしめてあげると、初は、
「もうっ!! オッパイ邪魔だからっ!!」
と、言って私を押しどけようとすると、私はドサッとソファーに倒れ込んでしまった・・・・。
その力強さにちょっと怖くなった私は「や、やん・・・ごめんなさい、怒らないで・・・・。」と、ご機嫌を伺う。やっぱり初は男の子。私より大分小さいのに力じゃ絶対に勝てない。それを思い知らされた。
初は、そんな私を見て「・・・もうっ! そんなに怖がらなくても、何もしないもんっ!!」と、また不機嫌になった。私が怯えている様子がよほど腹が立ったみたい・・・・。だって仕方ないじゃない。男の子、怖いんだもん・・・・。
「そりゃの。お前の女性としての弱さは、初に自分が男だと自覚させる要因だからのぉ・・・。
ま、この場は、甘いものでも食って落ち着けよ。」
さっきまで怒っていたお姉様が、私達の現状に見かねてアドバイスをくれた。
そうね。女の子は甘いもので機嫌が直る・・・。
私は、「そういえば、冷蔵庫にあんみつがあったわね。」と白々しく言う。
「・・・・あんみつっ!!」
その言葉に目の色が変わる初はやっぱり可愛い。
「じゃぁ、私が準備してあげるから待ってて・・・。」
不知火先輩のお父さんが女の子だけ特別だよと、内緒で入れておいてくれた秘蔵のあんみつを私はガラスの器に移し、お盆に乗せて運ぶ。
「や~ん。きれ~いっ!!」
初は、あんみつの美しさに両手を合わせて感動している。
これにて一件落着ね!
でも・・・。この二人の男の子たちへの気持ちがどう動いているのか、ちょっと知りたいなぁ。
聞きたいけど・・・・。聞けない。
それは多分、私達3人とも同じようで、あんみつを食べ終わった後に無言の時間が来たかと思うと、お互いをチラチラ見あう時間が来た・・・・・・。
でも。ここに来て、空気を読まない美月ちゃんが空気を読むから、沈黙が長くなってしまうのだけれども、いよいよになって初が口を開いた・・・・。
「あのっ・・・。」
その一声に私と美月ちゃんが注目する。私たちの瞳の光から、初は私たちも「アナタと同じ気持ちなのっ!」と考えていることを察したのか、一旦は口ごもったけど、勇気をもって口を開いた・・・。
「皆、このお泊り会で、気持ちの変化があった?
やっぱり・・・・好きな人・・・決まった?」
その言葉に美月ちゃんがビクッと体を震わせてから、私に注目する・・・・。
え・・・? 私が一番最初に答えなきゃダメ?
私がちょっと戸惑っていると、初もその隙を作かのように私を見つめていた・・・。
うう~。ず、ズルい。言い出したの初なのに~~~っ・・・・・。
でも・・・そうね。
ここはお互いの気持ちをハッキリ言っておくべきことね。
「私ね、やっぱりお兄ちゃんが好きっ!!
でも、このお泊り会で先輩も隆盛もがっつり高感度上げてきたから・・・・・・・決められないかも・・・。」
私の言葉を最後まで聞いていた初が、は~~~っと、長いため息をついて「ズルいっ!!」って、言ってきた。て、言われても本当だし・・・・。
「でも、お兄ちゃんが一番好きなんでしょ?」
「うん。お兄ちゃん、大好き・・・・・。」
私が初の目を真っすぐ見ながら、戸惑いなく答えると、初は「なにそれ・・。」と言ってむくれる。
私は、逆に聞きたい。「じゃぁ、アナタは誰が一番好きなのよ? このお泊り会で気になった人はだれ? 心移りはなかったの?」と。
しかし、それは聞くまでもなかった。初は、私のジト目から私の考えを読み取ったのか、自分の気持ちを語りだした・・・・・。
「隆盛が好き。大好き・・。
でも、明ちゃんのお兄さんも好きかな・・・。あの声は反則だもん。耳から犯されて女にされちゃう。」
その言葉には、私も美月ちゃんも直ぐに同意する。
「わかる。私もシャワー室ですっごいお世話になったもん。明ちゃんのお兄さんの声。」
「まぁ、・・・・・そこは3人とも一緒かあ・・・・」
私達3人は、思い人に違いはあれど、お世話になったのはお兄ちゃんの声だった。
「美月ちゃんは、不知火先輩と隆盛のどっちがいいの?」
初が、気になる質問をぶつける。美月ちゃんはしばらく考えていたけど、「明ちゃん!!」と言って私に抱き着いて、胸に顔をうずめる。
「きゃああっ! な、なんてことするのよっ!!」
私は抗議するものの、美月ちゃんを振りほどけない。
ううっ・・・・。私、弱すぎない?
ちょっと泣きそうになったけど、初が「もう、エッチ!!」と、引き剥がしてくれる。やっぱり男の子は違う。
「やああ~~ん。おっぱいい~~。」
美月ちゃんは悲しい声を上げて私の胸にお別れを言う。いや、何するのよ!!
「じゃぁ、初ちゃんのオッパイでいいもんっ!!」
と、めげずに初の胸に顔をうずめようとして、押し止められる。
「これは隆盛のっ!!」
と、初は宣言する。そう、これは宣言。自分が誰のことを好きなのか、初は明確に決めていた・・・。
でも・・ね。
「隆盛は、アナタが不知火先輩と花火しているとき、まんざらでもないって顔してるって、言ってたけど?」
私の質問は酷くいじわるだったけど、初は、答えてくれた。
「うん・・。不知火先輩ステキだった。優しいし、可愛いって言ってくれたし・・・・。」
なんだと?
「でも、多分・・・・・不知火先輩は私のことを好きになってくれないから・・・・。私、男だから。」
悲しい事をちゃんと答えてくれた・・・。そっかぁ、初の恋は始まる前に終わっちゃったのね・・・。
でも、隆盛なら・・・・。
「うん。隆盛は、最初っからずっと、私を女の子として扱ってくれた初めての人・・・・。だからずっと側にいたいの・・・・。」
そう、初の隆盛への想いは、私達とは覚悟が違う。それは私と同じように話を聞いている美月ちゃんも感じているようで、初を真っすぐに見つめていた・・・・。
そして、美月ちゃんは、ハッキリと言うのでした。
「わかる。隆盛君なら、襲い受けの私を満足させてくれると思う。
あの大きな筋肉・・・・ステキよね~~・・・・。」
って、何、特殊性癖をはっきり言っとんじゃーーーーいっ!!