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男の子に甘えてみました

https://youtu.be/mHyOJ8Yg5Uo

いよいよ、拙作「俺の赤ちゃん、産んでくれ!!」のボイスドラマが公開されました。

毎週一話更新しますのでよろしくお願いします。


「お姉様、百合娘を男とくっ付けるなんて創作物だったら最低の悪手で御法度ですよ!!

 今すぐ止めるべきですっ!!」

「妾は男でも女でも何でもいけるクチだから、問題ないっ!!!」


と、いうわけで不知火先輩の別荘でのお泊り会の2日目の晩は婚活パーティの如く男女がそれぞれ交代でカップリングが入れ替わって話し合う時間を設けることになった。


1巡目 隆盛りゅうせいと私、不知火先輩とはじめ、 お兄ちゃんと美月みづきちゃん

2巡目 不知火先輩と私、 隆盛と美月ちゃん、 お兄ちゃんとはじめ

3巡目 お兄ちゃんと私、 隆盛と初、 不知火先輩と美月ちゃん


ということになった。なんか変なことになってきた・・・・・。私はこれまで自分が女神の呪いで女の子に変えられた上に男子に交際を迫られて、自分もその気になっているというとんでもない経験をしてきたというのに、その上にまだ、百合娘と男の娘と恋人を取り合うというわけがわからない展開が起きて正直頭が付いていかない。

でも、そんな私を隆盛は「ほら・・。」って手を差し伸べて、私を花火を手渡してくれる。

バチバチ燃え上がる閃光花火は、夜の闇を明るくすると共に彫りの深い隆盛の顔をさらにカッコよくライトアップしてくれる。

「花火は久しぶりだけど・・・・キレイだな。」

と隆盛が呟いた。私は、「・・・うん。」と答えてから、「君の方が綺麗だよって言ってくれないの?」と、ちょっとおどけて見せる。

「明、お前の方が綺麗だぜ・・・。」

隆盛は真顔でまっすぐ私を見つめながら言った・・・。その真剣な眼差しに私は心臓が止められてしまうかと思った。

隆盛の整っているけど野性味の帯びた彫りの深い顔立ちには、嫌でも男性を感じさせられてしまう。特に私を真っすぐに見つめる熱い瞳に私は

”ああ・・・隆盛は、今この時。このお泊り会の最終日に私を仕留めようとしている・・・・”と感じていた。

その真剣なまなざしは恋人のそれと言うよりも狩人のそれだった。その眼は私の心を支配するかのようで・・・・・。

「俺は、この旅行が勝負だと思っている。俺だけじゃない、多分、他の二人もそうだろうな。

 お前の水着姿を見せつけられて、正直、俺たちはもうたまらなくなっている。明、お前が欲しい。」

隆盛は、周りに聞こえないように私の耳元でそう囁く。

”お前が欲しい・・・・”

そう言われた私は、腰の力が抜けてヘナヘナとその場にへたり込んでしまった・・・。


・・・・お前が欲しいって・・・・・それって、

それって・・・・

今晩のうちに私と・・・・・って・・・・そういう意味っ!?

その時の自分を想像しただけでドキドキと心臓が高鳴り、体が再び燃え上がるのを感じる。

「ちょっと、刺激が大きすぎたか?」

隆盛はそう言うと「ほら・・・。」と私に右手を差し出す。私は緊張で震える心を隠す余裕もないままに「・・・は、はい。」と、力無く返事しながら隆盛の手を取る。

体を起こそうにもがくがく震える膝は心もとない。そんな私を隆盛が腰を掴んで持ち上げる。

「あんっ!!」

その力強い腕に思わず甘い声を上げてしまった私は、その恥ずかしさを誤魔化すために「も、もうっ!!気軽に女の子の腰に触りすぎだからっ!」と、隆盛の頭をポカリと叩く。

「・・・いや。お前敏感すぎだろ。

 その可愛い声やめろって・・・・・メチャクチャ興奮するだろうが。」

あ、こいつやっぱりドSだ・・・・。女の子がああいう声を上げて興奮している。

多分、性的な相性は隆盛が一番なんだろうなぁ・・・・。

ふと、頭によぎった隆盛と私の痴態。隆盛のその逞しい大きな体に包み込まれるようにされる姿はあまりにも刺激的だった。


でも、それでも・・・・それでも私は女の子として隆盛に確かめないといけないことがある。

「・・・・・私、誰かを決めてない。

 でも、私が選ぶ男の人には私を大事にしてほしいの。私だけを・・・・。

 隆盛、あなた。はじめのことはどう思っているの?」

その一言に隆盛の顔が一瞬曇った。

そして、その表情には戸惑いが感じられた。きっと、隆盛自身にも分らないくらい複雑な感情なんだろうと思う。

だから、隆盛は「・・・・お前が俺だけを見てくれるのなら、俺もお前だけを見る。」と答えた。ちょっとズルい返事だけど、仕方ないから。だって、私は色々な男の人を見ている最中だもの。文句を言える立場ではないわ。

「そう・・。じゃぁ、もっと私があなたのことが好きになる様にしてくれないと・・・ね。」

そう言ってウィンクする私がよっぽど深く刺さったのか、隆盛は顔を真っ赤にしている。撃沈したその姿を恥じらう様に私から目線を外しならが「・・・この小悪魔めっ・・・。」と、呟く姿はちょっと可愛かった。


でも、隆盛が反社的に視線をそらした先には、不知火先輩とはじめが言葉少なに座って花火をする姿があった・・・。

「・・・・あ・・・。」

瞬間的に私の心に嫉妬の炎が燃え上がる。二人寄り添うように座って静かに花火する姿は、まるで成熟した恋人同士のように穏やかだったから・・・・。

でも、よく見るといつも行動的なはじめにしては、アクションが少ないので、普通に知り合い同士として接しているだけかもしれない。

「いや・・。ありゃ、まんざらでもないって顔だ・・・。」

そんな私の安心をかき消すようにはじめを観察する隆盛が言った。

隆盛が言うようなはじめの感情の変化は私にはわからなかった。ああ、そっか。アナタにはわかるのね・・・・。そう気が付いたとき、私は少し切なくなって、いつの間にか隆盛の腕に抱きついていた。

私の方が長く隆盛と一緒にいたのに・・・・。そんな気持ちになっていた。


私達がそんな複雑な気分になった時、順番を変える時間だと告げるアラームが鳴る。

2巡目の時間だった。

私は名残惜しい隆盛の逞しい右腕に別れを告げて、不知火先輩の元へ進むと、不知火先輩はさっきまでと打って変わって明るい笑顔で私を迎えてくれた。

「やあっ! お姫様。」

なんて冗談をこんな美貌で言われたら、女の子は誰でも嬉しくなってしまう。

不知火先輩は、先ほどの隆盛とは真逆の女性的な美しさを湛えた絶世の美少年。細い鼻筋に大きな瞳、長いまつ毛が印象的な美女・・・・にしか見えない。

その美貌で多くの男子の道を歪め、多くの女子を虜にしてきた・・・。それは私も例外ではない。

勿論、美術部の敬愛する大先輩と言う人間性に惚れ込んでいるという大前提もある。私は男の子の頃から不知火先輩のことを尊敬していた。先輩は私の憧れであり、その芸術に向かう姿勢は目標でもある。

ただ、そうはいっても・・・。そういっても、この美貌ですよ? 心がとろけそうになるのを止めることなどできるはずがない。

不知火先輩は、夏の暑さからだろうかセミロングの髪を後ろで束ねていて、うなじが光っている。その首筋に舌先を這わせたくなるほど、儚げで妖艶な色気に満ちていた・・・。

「先輩・・・。髪束ねたんですね。」

「ああ・・・。ちょっと蒸すからね。ただ、男連中には刺激が強かったかな?」

不知火先輩は、妖艶な笑みを浮かべてから、ペロッと舌を見せる。

ああ・・・。私たちと違って外で男子ばっかりで雑魚寝しているんだから、確かに不知火先輩の存在は毒よね・・・・。皆、道を踏み外さないでよね・・・。

てか、この色気たっぷりの目線を見る限り、この人、絶対に男を誑かして、その反応見て喜んでるっ!! 普段は男の人が自分に向ける行為の目線を嫌がるくせに、二人が自分の恋のライバルだから、虐めたくなるんだろうな。

「ふふふ・・・。で、明は、どの花火がいいかな?」

不知火先輩は花火の束を指差して、私に花火を選ばせてくれた。ここは、隆盛と違うところね。


「え~っと・・・・・。どれが綺麗かなぁ?」

と悩む仕草を見せながら、私は不知火先輩と選びたいことをアピールする。

不知火先輩は、そんな私の心理を見透かすように「甘えん坊だなぁ・・・。」と言ってから、「これなんかいいんじゃない? 激しい花火じゃないけれど、ポツポツと飛び出る火が綺麗だよ?」と、筒状の花火を選ぶ。この手の花火は、隆線を描いて火の粉が飛ぶから、私も好き。

「これは、本当に火も大人しいし、綺麗だよ。」

そう言って、先輩は火をつける。

「あ・・・。綺麗・・・・。」

キラキラと流星のように降り注ぐキラキラした光に私は感動の声を漏らす。

不知火先輩もその様子を見ながら「キレイだね。」って優しく言いながら、私に身を寄せて私の肩を抱く。

「あっ・・・・・。」

細身なのに意外と力強いその腕の感触に酔う様にして、自然と吐息を漏らす私に不知火先輩は「ほら、しっかり持たないと危ないよ。」なんて耳元で囁く。

その声が、息が私の耳にかかると私は、何もできなくなってしまうというのに・・・・。

「明・・・。君は本当に可愛いね。

 少し抱き寄せただけで、こんな子猫のようになってしまうんだから・・・。」

スイッチの入りやすくなってしまった私の心と体は、そんないじわるな言葉にも反応してしまう。

「やああん・・。だってぇ~・・・。」と、とろけそうな声で先輩に甘えながら、自分から肩を寄せる。

ああ、幸せ・・・・・。


不知火先輩に抱き寄せられた至福の時間を遮る様に花火が終わる。火が消えて火薬のツンとする匂いが媚薬のように私の鼻腔を刺激する。このままとろけ切ってしまえたら幸せなんだけれども、流石にこの場でそんなことも出来ないのか、不知火先輩は「次・・・・・なんにする?」と聞いてきた。

う~~~っ!! 先輩のいけずっ!!

周りに気にして、明を焦らすなんて・・・・・嫌いっ!!

私は、気をはぐらかされて、う~っと声を上げて苛立ちを不知火先輩に伝える。不知火先輩は肩をすくめて笑って誤魔化すけど、許してあげないんだからっ!! だから、私は嫌な質問を返す。

「先輩・・・さっきは随分、はじめと楽しそうにしていましたけど? 

 やっぱり、先輩もああいうロリータがお好きなんですか? いやらしいっ!」

「ち、ちがうよっ! 

 僕は明みたいなおっきな胸した子が好きっ!! ・・・て、・・・。」

とっさに出た浮気の言い訳がまさかこんな肉体的なことだなんて・・・・不知火先輩って意外とエロエロ魔神なのでは? 

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