BBQ!!
ああっ!! 来てっ!! 来てっ!! 先輩っ!!
もっと明の敏感なところへ来てっ! もっと、明の大事なところへ来てっ!
そして、私を奪ってっ!!
そう思った瞬間に不知火先輩も私も、力を失ってその場にゆっくりズルズルと崩れ落ちて気を失う。
言うまでもない。監視役のお姉様の仕業だっ!
私は心象世界に閉じ込めたお姉様に涙目になって抗議する。
「いや~~んっ!! お姉様っ!! いくらなんでも今止めるなんてあんまりですっ!
こんなの・・・こんなの、生殺しじゃないですかっ!!」
私は、火照った体を大人しくさせるように自分で始めようとすると。
するとお姉様は私の手を取って制止する。
「やああんっっ! お、お姉様っ!! 止めないでっ!!
明。おかしくなっちゃいますっ!!」
お姉様は、私を見つめながら
「そのスイッチの入りやすさは、まさに繁殖期の終わりの影響・・・。
辛いじゃろう。体が夜泣きするように熱く火照りあがって・・・。」
「よしよし…可哀想な子じゃ。
妾が念入りに可愛がってやるで大人しくするんじゃよ・・・・。」
お姉様は、そう言いながら、私を押し倒すと、特に念入りに私を優しく可愛がってくれた・・・・・。
それから現実世界だったらどのくらい時間がったのか、私は何度も失神させられたからわからない。
でも、現実世界に戻ってきたとき、不知火先輩は私の隣に座って、何事もなかったように「起きたかい? ちょっとウトウトしていたね。」と笑った。
お姉様による記憶の改ざんだった・・・・。
い、一体、この旅行は何なの?
お姉様は私に何がさせたいの? くっ付けようとしたり、離したり・・・。
おかげで私は欲求不満ばかりが積もる。お姉様は私の肉体的欲求を解消はしてくれる。
でも、精神的な部分。恋愛感情はフラストレーションが溜まる一方で、流石に私は参ってしまう。
それでもお姉様は「肉体的な関係はここまでじゃ。精神的な欲求を満たしたかったら、明よ、お前がプラトニックな関係を発展させるしか無かろうよ。」と私に試練を与えるのでした。
え~と・・・。それで?
じゃぁ、お姉様。今、私と不知火先輩ってどういう状況を経てこういうことになっている設定なんですか?
現実に起こったことは、不知火先輩が私の水着姿に興奮しすぎて、私を抱き寄せて私を奪おうとした。
で、そこをお姉様がお止めになって、私達を失神させたのちに、不知火先輩の記憶に齟齬が発生しないように記憶の改ざんをしたと。
で、それはどんな記憶なのですか? 私、話し合わせないといけないのですが?
「そう怒るな。ええか? お前たちは、普通に歩いて、木の陰で座って話し合って寝転んでいたら、日陰の心地よさに何時の間にか寝落ちしかけていたってところじゃ。」
何ですか、その健康的なシチュエーションは。ていうか、不知火先輩もデートの最中に居眠りしかける女の子をどう思うんですか?
「不知火も寝落ち寸前じゃったから、お互い様。日陰の心地よさのせいってことで話を合わせよ。」
そう言われたら、もう私は話を合わせる以外ない。
「先輩もちょっと、ウトウトしてましたよね。」
シレっとそう答えると、先輩は気恥ずかしそうに「お互い日陰の心地よさには勝てなかったってことで・・・・。」と笑った。
良かった。先輩がいい人で・・・。
「じゃぁ、戻りましょうか・・・。皆が待ってますし。」
私がそう言って立ち上がると、先輩は慌てるようにして私の手を取ると
「向こうまでは手を握らせてくれないか? それぐらいのサービスしてくれてもいいと思うんだ。僕には。」
不知火先輩は二人っきりの時間が終わってしまうその時まで、私に触れていたい。そう言いたいのだと思う。そりゃ・・。私もね。不知火先輩みたいな絶世の美少年と手を繋がせていただけるのなら・・・・・本当にうれしい。
私が恥ずかしそうに小さくコクリと頷くと、先輩は「ありがとうっ!! 嬉しいよっ!」 「明の手、小っちゃくて気持ちいいねっ!」なんて、嬉しい感想を言ってくれた。
ああ・・・・。そうだよね。
今は繫殖期の終わりとお姉様の生命の舞の影響で、私のスイッチが滅茶苦茶入りやすくなっているだけで、本来はこういうプラトニックな関係で私はいいの・・・・。
不知火先輩が優しく引くその手のぬくもりと、細身なのにしっかりと男性の逞しさを感じさせてくれる掌に私はトキメキを覚えながら、帰り道を歩いた・・・・。
ああああ~~~~~~っ!!!
しかしっ! 皆の所へ戻った私の前には、またもや大問題が起きていたっ!!
またしても泥棒猫ちゃんたちがっ!!
私のお兄ちゃんのエロボイスに恥骨をやられてっ!!
サービスでエッチなセリフを言ってと懇願して抱きついていたのだった。
「武さんっ!! お願いですっ!!
もっと、酷く美月のこと叱ってぇ~~~。」
「やんやんっ!! 美月ちゃん、さっきお願い聞いてもらったでしょっ!?
次は私の番だもんっ!!」
二人は恥骨をやられながらも、お兄ちゃんの腕に抱きつきながら、お兄ちゃんにシチュボを要求していたっ!!
「こ、こらこら。ダメだよ~~。
僕の声はお仕事なんだからっ・・・。そんなにサービスできないから。」
お兄ちゃんも困惑気味だった。
しかも、初は興奮しすぎてお兄ちゃんにお股を摺り寄せるありさま。
「ちょっと!! 二人とも何してんのよっ!!」
「そうじゃっ!! そんなん妾もやってほしいわっ!! 一晩中、罵られた上にボロボロになるくらいに抱いてほしいわっ!!」
・・・・お姉様。ハウス。
私は、初の頭をぺチンと叩いて制止する。
「やああ~~ん・・・・。」
美月ちゃんと初はそこでやっと我に返ったのか、お兄ちゃんの体を名残惜しそうにしながらも、離れてくれた。
「武さんも、声は商売道具でしょっ!!
こんなことに使っていたら、事務所から怒られちゃうんだからねっ!!」
私は、敢えてお兄ちゃんと言わずに、武さんと言った。
これは、泥棒猫ちゃんたちに対して、”これは私のものっ”って宣言する意味合いと、浮気したお兄ちゃんの意識を私に向けさせるためのもの。そう、これは女の戦い。こういう駆け引きは絶対に必要なの。
「いや、まったく、申し訳ない。
ところで、これで一巡したわけだし、気持ちの入れ替えをするためにも、そろそろBBQを始めないか?」
我に返ったお兄ちゃんの提案は、全員の気分を入れ替えるにはよい機会だったので、皆渡りに船とばかりに、その提案を受け入れた。
「じゃあ、僕はお父さんを呼んでくる。」
「じゃぁ俺は火を起こすわ。」
「じゃ、女の子たちは皆で野菜切りましょう・・・。」
テキパキと役割分担を決めて動く私達。その私たちの背後で背中越しにお兄ちゃんが隆盛に「うわ~。ビックリしたよ。あの子、あの柔らかさ。本当い女の子見たいだった・・・・。」と、小声ながらも興奮気味に語っている声が聞こえてきた。やばい・・・。この子、お兄ちゃんまで篭絡しようとしている・・・・。これは要注意ね。
BBQが始まると、私はお兄ちゃんの隣に座って二人をけん制する。
その中世的な美しさで男女問わずに虜にしてきたはずの自分の息子よりも、他の男性が人気と言う異常事態に、不知火先輩のお父さんは驚きを隠せない・・・・。
「確かに美形の部類だが、私の息子が負けるようには思えないのだが・・・。」と、首を傾げた。
声ですよ。声。
この人の声は女の子の恥骨に悪すぎるんですっ!!!
ちょっと辛口の焼肉のタレは、汗で塩分を消費しがちの真夏のBBQには向いている。
私達は、炭火で焼かれた具材に舌つづみを打ちながら楽しくいBBQを楽しんだ。
さっきまでは男子の取り合いで火花を散らしていたというのに、私達は楽しい会話を交えて食事を楽しんだ。ああ・・。やっぱりBBQは偉大だ。
そして、BBQが終わると、私達は一度家に戻り、シャワーを浴びてから夕涼みをすることになった。
「ジャンケンで順番を決めましょうよっ!!」
別荘に入ると同時に美月ちゃんが切ない顔して、シャワーの順番を決め会おうと言い出した。
初も股間をモジモジさせながら、小さな声で「・・・・ああっ・・・・んっ・・。」と喘いでいる。
まぁ、仕方ないわね。あれだけお兄ちゃんのエロボイスを浴びてしまったのだもん・・・・。BBQの最中はともかく、BBQからの帰り道はそれはそれは、辛かったでしょうね。
私は二人の辛さを身を持って体験してきて理解できるから、何も言わずにジャンケンのポーズをとる。
この日はお姉様が「このレベルの興奮度なら、細工は必要ない。どの順番でも狂ってしまうことはないじゃろう。」と分析し、ジャンケンは公正に行われた。
すると、一番、最初は初に決まってしまった!!
「やった~~っ!!」
初は心底安心したようにして、急いでシャワー室に入っていった。体を洗うよりも重要な用事があることは、言うまでもない。
「ねぇ。男の娘って、一人でする時、どうやるんだろう?」
と、再び呟く美月ちゃんの言葉に私も興味があった。
二人の脳裏には・・・・・それはそれは言葉にできないほどいやらしく乱れる初の痴態が浮かんでは消え、浮かんでは消えするのでした・・・・・・。