俺が女になった理由が理不尽すぎると思うのだけれども?
がっつりメス堕ちさせていきます。
以上
「真面目な話だ。」
「例えば、俺が女になったとして・・・・・・」
「お前、俺を抱いてくれるか?」
俺の親友の榊 明は、恐ろしいことを言い出した。
コイツはかなりイケメンなのに頭が悪いところだけが、玉に傷。今回も何を言い出すのやら。
俺が呆れて明を見ていると、おもむろにキスをしてきた。
そして、驚く俺の右手を掴むと自分の胸に誘導する。
そこには男には、あるはずのない柔らかなオッパイがあった。
「じょ・・・・女性ホルモン?」
俺が尋ねると明は左右に首を振って答える。
「だから言ったでしょ?俺、女になったの!」
そ、そんな馬鹿なーっ!!!!!
「と、叫んだところで目が覚めたんだけど、どうも夢を見た気がしない。ひょっとして、あれは正夢だったのでは?と、思ってな。」
「それで今、こうしてお前の胸を揉んで確かめているんだよ。」
なるほど。それが親友であるこの俺を昼休みに後ろからタックルして、胸を弄っている理由か。この変態ヤローめが。
俺の親友川瀬隆盛はスポーツ特待生なだけあって、スポーツ万能で明るく爽やかなイメージの風貌から女子の人気も高い奴だが、頭の出来が悪いところだけが玉にキズだ。
「夢だとわかったら、手を放してくれないかな?」
俺が冷たい口調でそう言うと「悪かった。」と言って、離れる。素直でよろしい。
「隆盛!ジュース奢れよ!」
「か・・・・紙コップの方でいいかな?」
俺が隆盛に罰としてジュースを要求すると、隆盛は値段が20円安い方に値切って来たけど、お互い高校生の身だ。仕方あるまい。
「ファンタオレンジ。ダッシュでな。」と、俺が言うと隆盛は「はい」と返事してスゴスゴ買いに行った。素直でよろしい。
全く・・・・・・・
アッブネ〜っ!!
もうちょっとで、バレるところだったわ~!!
なんで?
なんでわかるんだ?俺の先祖がやらかしたせいで、さっき隆盛が言った通り、今まさに性別が変化しようとしていることをっ!!
夢で見たとか預言者かっ!!テメーはっ!!
ふー。危ない、危ない。
俺は必死でクラスメイトに動揺を悟られぬように顔で笑って心の焦りを隠す。そんな俺の様子を見て、俺の心の中に住み着いた自称土地神の「コヒミズサマ」がケラケラ笑っている。
いつの間にか俺は現実世界から切り離されて、自分の心象世界に引きずり込まれていた。
・・・・何、ケラケラ笑ってんだ。ぶっ殺すぞ、テメー。
俺が心の中で不満を爆発させながら、神であるコヒミズサマを睨みつける。
「ははは。女に変化する途中のド貧乳で良かったのぉ。妾と同じサイズであったら、バレておったな。」
コヒミズサマは、両掌から溢れんばかりの乳房を揉みしだきながら、俺をバカにする。
コヒミズサマ。その名は、如何なる風土記にも口伝伝承にも存在しない土地神様だ。多産を象徴する両性具有の地母神で、男相手でも女相手でも子供を成す。それが豊饒の源であり、恋愛の神でもある。
見た目は、匂い立つような美形の男子のようでもあり、ボーイッシュで可憐な美女のようでもある。まるで宝塚だ。その美貌で男の神を誘惑したり、女の神をかどわかして恋愛関係を作っては問題を起こすトリックスターでもある。とは言え本人的というか、神聖的には多産の神だけに男性の方が好みらしいがな。
そして、信じられないことに俺の一族は、元々、この神の眷属である蛇だったと言う。蛇の仲間には、繁殖期になれば性転換する種類もいるが、俺の一族は両性具有の神の眷属らしく、性転換する蛇の一種だったとか。
かつて、その先祖の一人が、山の主の大蛇に求婚を迫られて難儀していたところを武者修行中の旅の途中にその地を訪れた武士に救われる。俺の先祖は山の主を退治して救ってくれた武士に恋をした。とはいえ、道ならぬ異種族の恋。叶うはずもなく、毎日武者修行の武士を想って泣きくれる日々を過ごした。そんな眷属を憐れに思ったコヒミズサマは、コヒミズサマの社を建てて末永く祀る事を条件に先祖を人間の娘に変えたという。人間の娘になった蛇は、果たして武士の妻となり、末永く幸せに暮らした。それが俺の一族の始まりだという。
美しい話だ。
ここまではな。
だが、約束は守られなかった。もう千年以上、信仰は失われ誰もコヒミズサマの事を知らない。そして、とうとう怒りに耐えかねたコヒミズサマは、昨晩、突然、俺の枕元に立たれて、事の一部始終を話して聞かせた後、俺を女に変えていく罰を与えたのだった。
完っ全!!に、とばっちりじゃねーかっ!!
俺、何も悪い事してないよね?
こんな理不尽な話があるかっ!!
俺は、怒り狂って猛抗議したが、コヒミズサマは、「神に理屈が通用すると思うのか、たわけ!」と、一蹴するだけだった。
チクショー、どうしろって言うんだ!!
思い出しても腹が立つっ!!
俺が地団駄踏んで悔しがっていると、コヒミズサマは、ニヤニヤ笑いながら「それは、正確ではないぞ?」と、訂正する。
「妾がお前にかけた呪いは繁殖期に、女に変わっていくことじゃ。それもお前が男に恋心を抱かねば、男に戻してやる。しかしな・・・・」
しかしな・・・・・そう言いながら、コヒミズサマは俺ににじり寄って体をまさぐる。
ち、ちくしょー。動けねぇーっ!!
俺の体は金縛りにあって身動き一つ取れない。コヒミズサマは、そんな俺のまだ蕾のような乳房をもてあそぶ。
「ふふふ。お前が男に恋心を抱けば抱くほど。もう男には、戻らぬぞ。」
「例えば、そう、あの隆盛とか言う少年に抱きつかれた時、お前は、なんと思った?」
「妾にはわかるぞ?隆盛の運動で鍛え上げられた逞しいあの肉体に抱き寄せられたとき、お前の中に芽生えた女心が何を感じていたのか。そうであろう?お前のココは滾らなかったかい?」
そう言ってコヒミズサマは、俺の股間に生まれようとしている女の部分に手を添える。
「・・・・あああああっ!!・・・・・・や、・・・・・・やめてっ・・・・」
言いようのない恐怖を感じて俺は、コヒミズサマに情けない声を上げて許しを請う。
「はんっ。昨晩、泣いて許しを請うまで可愛がってやったのを忘れたかの?まだ子供の内じゃて、この辺で勘弁してやるが、あまり妾に無礼な態度をとると、今後はこんなものでは済ませぬぞ?妾は男の方が好きじゃが、女を狂わせることなど造作もないことじゃでな。」
コヒミズサマはそう言って自分から抱き着いてきたのに、俺を突き飛ばしてケラケラ笑う。
そして、俺を触っていた指をねっとりと舐りながら「それからの・・・・・」と続ける。
「それからの。男に戻りたいのなら、男に恋心を抱かぬ事じゃ。夢々、忘れぬようにな。」
「まぁ、もっとも手遅れかも知れぬがな。ホレ、また乳房が少し成長しておるぞ!」
コヒミズサマは、そう言って俺を解放し、心象世界から現実世界に引き戻すのだった。
あー。怖かった。
コヒミズサマって、流石に神だわ。あの手に触れられたら、何も考えられなくなるくらい女になっちまいそうだわ。
いやっ!!そんな事はないっ!!俺は、男だ!!男に戻るんだ!
そして、可愛いお嫁さんを貰って、幸せな家庭を築くのだ!
俺は、将来のお嫁さんの裸を妄想して見る。それもすっごい美少女を。
・・・・・良かった。俺は、まだ女に興奮している!
そうやって自身の男性にホッと安堵していたとき、隆盛がジュースを買って来てくれた。
「ほいっ。明。」
「あ、ああ。サンキュー・・・・・」
俺は、隆盛に自分の変化を悟られぬように何事も無かったようにジュースを受け取る。
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・やめろ。
俺は、正常だ。
俺は、隆盛の太い手首にも浮き上がった血管にも心動かされたりはしない。
やめろ・・・・・やめてくれ・・・・・
やめてくれ隆盛。そんな爽やかに俺に微笑みかけないでくれっ!!
俺は、男に戻るんだ!!決してお前に・・・・・・男になんか恋心なんか感じないんだからなっ!!
俺は、胸の高鳴りを押さえるようにファンタオレンジをグビッと飲んだ・・・・・・・。