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私が魔法の開拓者(パイオニア)~転移して来た異世界を魔法で切り拓く~  作者: 夢乃
第三章 コンタクト

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3-0.政府の対応

 世の中が一変して以来、首相官邸はてんやわんやだった。予告のないインフラの停止、数々の物品の破損や消失、得体の知れない動植物の出現で、国家機能は完全に停止したと言っても過言ではない。

 それでも、国民に選ばれた代表という矜持はあったようで、普段は野党議員やマスコミの追及からのらりくらりと逃げるだけの首相は、官邸内の使える人員をすべて使い、大臣や与党議員、果ては野党の有力議員にも使いを送って、可能な限りの人数を集めた。

 さらに、各省庁の官僚や職員を呼び集め、その間に集まった議員で方針を決め、到着した官僚や職員の中から体力に自信のある者を選んで各地に使者として送り出した。


 第一陣は、情報収集が目的だった。しかし、それにより判ったことは、“どうにもならない”と言うことだった。電気・ガス・水道・通信、あらゆるインフラが停止し、その異変がどこまで広がっているのかも判らない。あらゆる交通手段も使えず、と言うよりタイヤや燃料が消失したため使い物にならず、移動すらも人力に頼らざるをえない。

 自衛隊を派遣しようにも派遣先をどこにすべきか判断に困り、そもそも自衛隊の車輌も使い物にならないのだから、各基地近隣住民の支援に出す程度のことにしか使えない。


 米軍基地にも使者を送ったところ、同じ状況で情報収集に奔走しているようだ。それでも、連絡を断たれたことから米本国政府が動いたらしく、北東太平洋艦隊から連絡機が来ていた。

 その事実を掴むとすぐに、首相は防衛副大臣を米軍基地に派遣し、支援を要請したものの、それは叶わなかった。それでも、新たな情報や米国の動きを得ることはできた。


・この現象は北海道から九州まで、日本列島全域を覆っている。

・日本列島のみならず、朝鮮半島とロシア東部・沿海州地方の一部も含まれる。

・外から持ち込んだ機材は使用できる。ただし、通信は不可能。

・範囲があまりにも広く、支援のしようがない。

・米国・ロシア・中国がそれぞれ事態の把握に動いているが、ほとんど何も判っていない。

・米軍基地に居住する一般市民は、チャーターした旅客機で米国本土に順次帰国を手配する。


 また、公式には伝えられなかったものの、派遣した防衛副大臣が小耳に挟んだところによると、日本近海に展開していた北西太平洋艦隊も同じ状況下にあり、事実上機能停止しているらしい。そのため、本来なら管轄外の北東太平洋艦隊が動いているようだ。


 首相官邸に集まった政治家たちは頭を抱えたものの、そうしてばかりもいられない。次の方針を即座に決めると、第二陣となる使者を各地に送り出した。方針といっても、各自治体でそれぞれに対応するように指示することしかできなかったが……

 連絡手段が人の脚しかない状況で、指示が地方に届くのはいつになるのか……江戸時代の飛脚は江戸──大阪間を三~四日で繋いだと言うが、その日数を期待するわけにはいかない。いや、そもそも無事に到着できるかどうかすら怪しい。戻ってくるまで、その確認もできない。


 しかし、使者が戻って来るまで座して待つわけにもいかない。待っている間に、大都市圏の人々は飢えに苦しむことになるだろう。

 打った手が功を奏したかどうか確認する間もなく、次の手を打つために彼らは頭を悩まさざるを得なかった。

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