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45.波乱の2学期

今回はタイトル詐欺かもです。

きっと波乱といいつつさざ波程度になるでしょう。

~~ 妹Side ~~


おはようございます。

昨日で夏休みも終わり今日から2学期です。

と言っても初日の今日は始業式があって各種連絡事項が終われば午前中で終わりです。

朝の教室もたった2週間くらいでは特に変わり映えはありませんね。

強いて言えば何人かは日焼けして顔が小麦色になっていることくらいでしょうか。

朝のHRに来た水元先生も特に変わりなく……あれ?


「……!」


え、今、先生に睨まれた?

気のせいですよね。

特に先生を怒らせるような事をした記憶はないですし、連絡事項を伝え終えた先生は私に何かを行ってくることもありませんでしたし。

さて、HRを終えたらすぐに始業式ですが、昔とは違って講堂に全校生徒が集まるようなことはありません。

全クラスに備え付けのディスプレイを通じての中継放送という形で式は行われます。

お陰で私達は楽なのですが、話してる校長先生とかはどんな気持ちなんでしょうね。

以前私もとある発表でテレビ会議形式で話をしたことがあるのですが、周りに誰も居ないし接続先も全てミュートになって居た結果、何を話しても何も反応が返ってこないし、ちゃんと聞こえてるのかなとか結構不安になりました。

せめて少人数のテレビ電話みたいな感じならお互いに話ながらリアクションも取りながらで楽しく会話が出来るんですけど、やっぱり何もないのは嫌でした。

ちなみにクラスの様子ですが、まともに放送を聞いてるのは3割くらいでしょうか。

残りの人たちはうたた寝してたり机の下で携帯弄ってたり本読んでたりしてます。

一応先生は居るので騒いだりはしてないですが、やっぱり特に面白くも無い話を聞きたいと思う人は少ないみたいですね。

そう言う私も話の内容はほとんど聞いていないのですが。

と思っていたらちょっと気になる内容が。


『……1学期は悲しい事故が2件もありました。

まだそれほど日が経っていないので皆さんの記憶にも残っていることでしょう。

再び同じ様な事故が起こらないように私達も気を引き締めねばなりません』


悲しい事故ってひとつは私の事ですよね?

クラスの何人かも私の方を見てますし。

でも結局原因不明の事故ってことで調査も打ち切られたと聞いています。

それを気を引き締めたからってどうにかなるものではないと思うのですが。


『特に皆さんは心も体も子供から大人へと移り変わる時期です。

そんな大切な時期だからこそ、自分を安売りすることなく、周囲の甘言に惑わされることなく、よりよい未来の為に言動には特に注意し最善の選択を取って行って頂きたい』

「……」


結局後の話はありがちな訓戒でした。

ただちょっと気になるのは時々先生から視線が飛んでくるような気がします。

HRの時は気のせいかなって思いましたけど、こう何度もされるとそうじゃないのが分かります。

それも心配してるとか気遣ってるというよりも睨まれているような感じです。


「それで?万里っちってば、何かやらかしたの?」

「それが全然心当たりが無いんだよね」


午前中で学校を終えた私達はお昼ご飯も兼ねてマッスバーガーに行くことになりました。

注文した品を受け取って席に座ったところでゆっこがすぐ尋ねて来たってことは、先生のあのあからさまな視線には気付いてたみたいです。


「親の仇を見るようにっていうと言い過ぎだけど、浮気をした彼氏を見る様な眼差しだったわね」

「それは言い得て妙ですね。

でも私も万里さんが先生を怒らせるような事をしたとは思えないのですが」

「まぁね」


恵里香ちゃんの言葉に頷く他のふたり。

どうやらみんな私の味方みたいです。


「でもそうするとあり得るのは、変な誤解をされてるとかかな」

「それなら早く解いた方が良いわね。そういうのは一人で考え込んでるとどんどん膨れ上がっていくから」

「ふふっ。経験者は語る、ですね」

「わ、私の事は良いのよ」


千歳は先日私の家に来た時の事をネタにこうしてちょいちょい揶揄われています。

ま、誰も根に持ってる訳じゃないから何か新しいネタが出来たら忘れられる程度ですけど。


「でも誤解を解くにしても、どんな誤解をされているのかが分からない事には動きようが無いよね」

「そうね。何日か様子を見てみましょうか。

もしかしたら今日たまたま機嫌が悪かっただけかもしれないし」

「そうですね。今ここで話し合っても何かが解決することはなさそうですね」

「よし、それなら話題転換という事で、これとかどうよ」


ゆっこが携帯を操作して映し出した画面には1つのかき氷が色とりどりに着色されてガラスの器に盛りつけられていた。ガラスの縁には氷の色に合わせたフルーツも盛り合わせてある。

えっと何々、


『残暑を乗り切れ!魅惑の超ジャンボフルーツかき氷♪』


超ジャンボって。確かに横に置いてあるリンゴがサクランボに見えるくらいにかき氷のサイズ感がおかしい。他にも、


『カップル限定!私達の愛の前には夏の暑さも関係ない無敵のハートかき氷♡』


と題して、何をどうやったのか氷全てがピンク色でハート形という注文するだけで頭がキーンとなりそうなかき氷とかもある。

ちなみにピンク色も全て天然フルーツで着色してあるらしい。


「いやこれ、普通に果汁100%のかき氷で良いんじゃないかな」

「のんのん。今の時代、それだけじゃ注目を浴びる程のネタにはならないでしょ」

「でもこれ、注文する側はネタはネタでも体を張ったネタにしかならないと思うよ?」


SNSで頑張ってる人なら挑戦する人もいそうだけど、幸い私達はそうでもない。

でもここでゆっこが見せてきたってことはもしかして行きたいって事なのかもしれません。


「えっと、ゆっこ。もしかして食べに行きたいの?」

「いえ~す。SNSを確認したらネタはともかく味は文句なく美味しいらしいんだ。

4人で行けばこのジャンボのやつ1つを注文して皆で食べるとか何とかなりそうじゃない?

まぁ、流石にこのハートのは注文する気は無いけど」


なるほど。確かに1人だと命懸けフードファイトになりそうだけど、4人ならまだ何とかなりそう、かな。


「場所は隣町か。なら行くなら今度の休日とかかな」

「そうだね。あ、折角なら賢護さんも誘っちゃうのはどう?4人より5人の方が楽しいっしょ」

「そう言って奢りを期待するゆっこであった」

「あ、ばれた?」


ぺろっと舌を出すゆっこ。

もう調子良いんだから。


「先日も奢って貰いましたし、今回は私達でご馳走するのも良いかもしれませんね」

「うん、良いかも」

「恵里ちんも万里っちも優等生過ぎ!そこが良いとこなんだけど」

「よし、なら決定ね」


そんな訳で、週末はみんなでかき氷を食べに行く事に決定しました。

それがまさかあんな事になるとは思いもしなかった訳ですが。



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