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43.2大電気調理器具と言えば電子レンジと…

小ネタで挟もうとしたらしっかり1話分になってしまいました。

今回出てくるケーキは私も以前バレンタインで自分用に作ったことがあります(涙)

~~ 妹Side ~~


昼食を食べ終えた私達はお店を出たところで解散することになりました。


「じゃあまた学校で、かな」

「そうね」

「あ~あ。もう夏休みも終わりかぁ」

「私的には川に遊びにも行けたし満足です」

「こうなったら冬休みに期待ね!」

「夏休みが終わる前から冬休みの話とは気が早いわね」

「善は急げって言うしね!」

「善、なのかな」


ゆっこのノリはいつも通りです。

確か去年の勉強会の後にも同じような事言ってた気がするし。

と、こうして話してたら解散するタイミングを逃しそうなので「じゃあ」と手を挙げて別れました。

別れたと言っても私は恵里香ちゃんの家に戻って料理を教えてもらう訳ですけど。


「ところで今日は何を作るの?流石に今から夕飯の準備には早いと思うけど」

「そうですね。今日は時間もあることですしケーキを作ってみましょうか」

「ケーキ!?」


ケーキってスイーツの中でも結構手間が掛かるし難しいと思うのですが大丈夫なのでしょうか。

オーブンによっては火加減が難しいって聞いたことがあるし。って。


「恵里香ちゃんの家にオーブンなんてあったっけ?」

「いえ、ありませんよ」

「じゃあどうやってケーキを作るの?」

「そこはちょっと手を抜きます。実際にはケーキもどき、とでも言うようなものになる予定です」

「ケーキもどき……」


うーん。想像が付かないですね。

とにかくここは恵里香ちゃんにお任せしましょう。

帰りがけに材料を買って行こうということになりスーパーに寄った私達。

ケーキと言ったら当然使うのは小麦粉ですよね。

えっと、薄力粉?強力粉?んん??小麦粉って一言で言っても色々あるんですね。


「恵里香ちゃん。小麦粉はどれを買えば良いの?」

「あ、すみません。今回のに小麦粉は使わないんです」

「え?なら何を使うの?」

「これです」


恵里香ちゃんが手に取ったのはホットケーキミックス。

なるほど。確かにそれなら小麦粉にベーキングパウダーも適量混ぜてあるから膨らみが足りないとか膨らみすぎになる心配はないですね。

更にそこにビターな板チョコを数枚追加。溶かして混ぜればあっという間にチョコレートケーキの生地の出来上がりだそうです。

卵と牛乳とバターは家に残っているのを使うそうなので、トッピングにクリームとイチゴを買えば買い物は完了です。

家に帰った私達は早速エプロンを付けて手を洗って料理開始。

恵里香ちゃんがホットケーキミックスを牛乳で溶いている間に私は板チョコの湯煎に初チャレンジです!

と意気込んでも別段難しくは無いんですけどね。

失敗するのは大抵湯煎をせずに直接火に掛けるせいなので、湯煎の場合は特に火加減も気にしなくていいので楽なものです。

無事に溶けたチョコレートを恵里香ちゃんの用意したホットケーキミックスに混ぜて行けば無事に生地の完成です。


「って、恵里香ちゃん。結局肝心のオーブンはどうするの?

まさかフライパンで焼く訳じゃないでしょ?」

「はい。今回使うのはこれ。炊飯器です」


まるで3分クッキングのようにじゃじゃーんと取り出された炊飯器の釜。

恵里香ちゃんはその内側に満遍なくバターを塗るとケーキ生地を流し込みました。

それを今度は炊飯器にセットして炊飯開始ボタンをポチッと押しました。

後はこれで炊き上がるのを待つだけだそうです。

あ、流石に3分クッキングみたいに『完成したのがこちらに』とはならないか。


「私炊飯器ってお米を炊くの専用だと思ってた」

「ふふっ。ネットで『炊飯器』『レシピ』って調べると意外と色んな料理が出てきますよ」

「どれどれ。……わっ。本当だ。結構本格的なのまで出来るんだね」


炊き上がるまで時間があったので、その間にネットを色々調べてみました。

どの料理も普通なら煮込むのに鍋の前に張り付いていないといけないところを炊飯器を使う事で火加減は気にしなくても良いし、手が離せるからその間にもう1品作る余裕が出来るみたいです。

これならうちでも作れそうですね。

侮りがたし炊飯器。

そうして炊飯が終わった炊飯器の中を覗き込むと……あれ、若干火が通ってない?


「恵里香ちゃん?」

「大丈夫ですよ。分量が多いとそうなるだけです。

火が通りきってない時は追加で炊飯を行えば良いだけですから」

「そっか」


炊飯ボタンを押して更に15分ほど待ってから中を確認してみれば、今度こそしっかりと火が通ってました。

私達は釜を取り出してまな板の上にひっくり返して乗せて、釜の裏をコンコンっと叩きました。

すると無事にボトンと中身が落ちた感触。

釜を持ち上げてみればそこには立派なチョコレートケーキのスポンジが出来上がってました。


「おぉ~~。ちゃんとケーキになってる!」

「ふふっ。ここまで綺麗に取れるのは珍しいんですけど、上手く出来ましたね」


ちなみに上手くスポンジが釜から外れない場合は側面にナイフを差し込んで剥がしてあげれば良いらしい。

さてスポンジが出来たら後はデコレーションですね。

側面は溶かしたチョコレートの残りを塗って整えて、上にクリームやイチゴをトッピングすれば完成です。


「出来た!

なんか自分の手でホールケーキが作れちゃったのって凄いね」

「そうですね。後は冷蔵庫で冷やして夕飯の後に出しましょう」

「うん。お兄さんの驚く顔が楽しみ~」


達成感を噛み締めながら休憩していたらお兄さんからメールが届きました。

『何時ごろに伺えばいい?』

と聞かれたので恵里香ちゃんにも確認して16時過ぎと返しておきます。

16時は夕飯にはだいぶ早い時間ですが、料理を作るところからお兄さんに来てもらって、3人で料理するのも楽しそうだよね、ということになりました。これお兄さんには話してないのでちょっと驚かれるとは思いますが、お兄さんなら笑って受け入れてくれるでしょう。

そうして16時15分にやって来たお兄さんは予想以上に驚かずにはいはいっと料理を手伝ってくれました。

ただ流石に3人で並ぶほど台所は広くないのでお兄さんは主に後ろから見学でしたけど。

恵里香ちゃんから「折角だから何か1品作りませんか?」って誘われたお兄さんは野菜庫を覗き込んでキュウリを取り出すとそれでササっと酢の物を作ってしまいました。

お兄さんて手の込んだ料理は滅多に作らない代わりに、こういった逸品ものは得意なんですよね。

って、すっかり忘れてましたけど昼間の一件。


「あのお兄さん。お昼の事なんですけど」

「ああ。まさか同じ店に同じタイミングで居るなんて奇遇だったな」

「あ、はは。そ、そうですね」


良かった。お兄さん、私達が尾行してたことまでは気付いてないみたいです。

いくらお兄さんでもこそこそ後をつけられたら怒るでしょうしね。


「賢護さん。ご一緒にいた女性の方はどなたなんですか?恋人、とか?」


って恵里香ちゃん。言っちゃうのそれ。

それじゃあお兄さんにバレてしまいます。

お兄さんは……あれ。怒るどころか笑ってますね。


「恵里香達にはあの人は幾つくらいに見えたんだ?」

「へ、えっと。多分30は行ってないくらいじゃないかなって」

「そうですね。私もそう思いました」


私達の答えを聞いてお兄さんは更に笑ってます。

どういうことなんでしょうか。


「あの人、静江さんっていうんだけどな。

伯父の奥さんで既に社会人の息子が居るから少なくとも40は過ぎてる筈だぞ」

「「ええ~っ」」


遠目でしか見てないけど全然そんな雰囲気は無かったんですけど。

でも重要なのはそこじゃないですね。


「伯父の奥さんっていうことは既婚者だったんですね」

「賢護さんとお似合いだったので恋人なのかと思ってしまいました」

「ないない。残念ながら俺はそんなにモテないしな」

「え、じゃあ。今現在お付き合いしている人は居ないんですか?」

「居ないなぁ」

「それは良かったです」

「え?」

「あ、いえ。こっちの話です」


慌てて顔を逸らす恵里香ちゃん。

水着買いに行った時や遊びに行った時も恵里香ちゃんはお兄さんと距離が近かったし、もしかしてそういう事なのでしょうか。


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