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32.買い物に行こう(みんなで)

~~ 妹Side ~~


さあやって来ました。夏休みです。

初日の今日は明日の川遊びに向けての準備日です。

具体的には水着などを買いに行くことになっています。

それをゆっこ達に伝えたら自分たちも新調したい(特に恵里香ちゃんは去年まで着ていた水着が胸のサイズ的に着れなくなった)そうなので一緒に買いに行くことになりました。

ただその待ち合わせは1時間後の11時なので、それまで私はお兄さんとふたりでウィンドウショッピングです。


「えっと、何か欲しいものがあるんだっけ?」

「いえ、特には。でも女の子としてはこうしていろんなお店を回るのも好きなんですよ。

そりゃ気に入ったのがあったら欲しいですけど、そんな事してたら際限なくお金を使ってしまいますからね。お兄さんならお願いしたら買ってくれるのかもしれないですけど?」

「こらこら。それは俗にいうパパ活と言う奴だな」

「あはは。この場合は兄活とかになるんですかね?

『お兄ちゃん、あれ買って~』みたいな」

「ええい、腕に抱き着いて上目遣いで変な声マネはやめなさい。若干周囲の視線が痛いから」

「は~い」


と、そんなおバカな会話をしつつ幾つかのお店を回っていきます。

ちなみにウィンドウショッピングの目的は、一緒に回るだけでも楽しいのですが、やっぱり相手の好みを知る良い機会だと思うんですよ。


「お兄さん、これとそれだったらどっちが好みですか?」


店頭に並んでいたネクタイを2つ持ち上げてお兄さんに聞いてみましたが、残念ながらお兄さんは首を横に振りました。


「残念、俺が仕事時に着けるというのであればどっちもなしだ」

「その心は?」

「第一に派手すぎ。営業マンなら良いだろうけど社内業務中心なら色合いもデザインももっと落ち着いたものにすべきだな」

「ふむふむ。具体的にはどういうのになるんですか?」

「そうだなぁ。この中で行くとこの深い赤のチェック柄とかグレーとか紺をベースに多少の差し色が入ったこっちとかだな」

「なるほど。確かに仕事中のお兄さんにはそっちの方が似合いそうですね」


単純にその人に似合うかどうか、だけじゃなくて使う場面までイメージする必要があるんですね。

これは勉強になりました。


「こっちのカフス?とかはどうなんですか?」

「それもお客様に会う人やパーティー向けだな。小物類で俺が使うとしたらネクタイピンくらいだろう」

「へぇ。色んなデザインがあるんですね」

「これについては宝石が付いているとかで無ければ多少のデザインは気にしなくても大丈夫だ。

それほど目立つものでもないし」

「わっ。こんな小さいのでも結構な値段するんですね」


ちょっと大きめのヘアピンみたいな物なのに、安いので数千円、高いと2万円のまであります。


「基本大人向けだからな。拘る奴はお金に余裕がある奴だから。

高いのはそれなりに良い品なんだろうけど、残念ながら俺にそこまでの目利きは無いから分からん。

これに金を注ぎ込むくらいなら晩飯のおかずの質を上げる方がいいな」

「その意見には賛成ですが、お兄さんらしいですね」


最近分かってきたことですが、お兄さんって価値を感じないモノに対しては無関心なんですよね。

自分たちの生活や安全にプラスになるかどうかが一番なのはほんとお兄さんらしいですけど。


「それなら私ももっと質素な生活を心掛けた方が良いですか?」

「いや、女の子は綺麗になるのも仕事のうちだ。

特に美容と健康、内面からの美しさについては若いうちからコツコツと努力しておいた方が良いらしいぞ」

「どこ情報ですか、それ」

「会社の同僚だ。『若いうちに頑張っておけば~』って時々ため息をついてるからな」

「はぁ」


確かに以前読んだ雑誌でも紫外線の影響は蓄積して20代半ばくらいに表に出てくるそうですからね。

私も気を付けないと。

と、楽しい時間はあっという間で待ち合わせ時間がそろそろです。


「もうそろそろ待ち合わせ場所に行きますか?」

「そうだな。今から行けば5分前くらいには着くか。

ところで、万里の友達は待ち合わせ時間にはちゃんと来るタイプなのか?」

「え、あ~。ゆっこがギリギリになるかもですが、後の2人は余裕をもって来てると思います」


待ち合わせ場所に行けば、案の定、千歳と恵里香ちゃんは既に来ていました。

ふたりが私に気が付いて手を振ってくれる。


「おまたせ~」

「おはようございます」

「お待たせって言ってもまだ集合時間前だけどね。

それで、隣に居るのが噂の親戚のお兄さんで良いのかしら?」


ふたりの視線が興味深そうにお兄さんに注がれる。

まあそうよね。先日のお宅訪問の時もそうだったけど、千歳は特にお兄さんがどんな人か気にしてたし。


「うん。しょうか「ちょぉっと待った~!!」」


私の言葉を遮りつつ飛び込んできたのはゆっこだった。


「ぜー、はー。ふぅ~~。

あぶないあぶない。私だけのけ者にされるところだったよ」


いやそんなつもりはないけど。

でも2回紹介する手間が省けたかな。


「えっと、今飛び込んできたのが水島優子。通称ゆっこです」

「ちょっ。もっと格好いい紹介してよ~」

「なら……時間の限界に挑戦するのが生きがいのゆっこです」

「いや確かに格好いい言い回しだけど、生きがいにはしたくないかな~」


まだ文句を言ってるゆっこは置いておいて、この流れのまま皆を先に紹介しよっかな。


「で、こっちの知的で落ち着いた感じのが上月千歳です」

「どうも」

「最後に癒し系担当で実はしっかり者の風見恵里香ちゃんです」

「よろしくお願いします」

「そしてこのちょっと変わった男性が私を引き取ってくれたお兄さんです」

「変わったって、それは褒められてはいないよな。まぁいいけど。

えっと、万里の義兄の高島賢護です」


いや、何か改めてお兄さんを紹介するのって照れるじゃないですか。

そこでふと、お兄さんが順番に私達の顔を見比べて首を傾げた。


「ところで、どうしてあだ名だったりちゃん付けだったりとバラバラなんだ?」

「えっと、何となく?」

「万里は釣られやすいからですね。

ゆっこは誰にでもあだ名を付けたがる子だし、私は気心が知れた相手には呼び捨てにする方だし、恵里香は誰にでも丁寧な話し方をするから。それを反対にしたら今みたいになるの」

「なるほど。分かりやすい解説をありがとう」

「それより先日の謝罪をさせてください。

私の早とちりであなたにあらぬ疑いを掛けてしまいました。ごめんなさい」

「うん。まぁあの状況を見たら疑われても仕方ないだろうなと思ってたから気にしなくていいさ」

「はい」


千歳も無事にお宅訪問の時の事を謝れたのでちょっぴりすっきりした顔になりました。

それでは挨拶も済んだことですし水着売り場へと向かいましょう。



寄り道してたら買い物が終わるどころか始まりもしなかった罠

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[良い点] 水着のサイズが合わなくなった話を詳しく!
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