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どうしようもないので繭玉は持ち帰ることにしたヨシヤであった。
とりあえずあの町には当分行けそうにない。
人どころか牛すら丸呑みにできそうな巨大クモに頭を下げさせたおっさんとして顔が知れてしまったのだ。
まあ、幸いな事に名前はバレていないし、行く用事も思い当たらないのでよしとする。
「ただいまー!」
賞賛する人々から逃れるようにして早々に神域へと戻ったヨシヤは、巨大な繭を蟻たちに運んでもらい自宅へと意気揚々と帰る。
しっかりきっちり大神様のミッションをこなしてみせたのだ、大手を振って帰るに値する。
愛する妻もきっと喜んでくれるに違いない!
「おかえりなさい、ヨシヤさん!」
玄関先で彼の姿を見つけるなり駆けよってハグをしてくるハナにヨシヤはだらしなく鼻の下を伸ばしたが、残念ながらそれに対してヤジを飛ばすようなメンツは神域に存在しない。
精々遠くからアーピス様が「んモーウ」と長閑な声を上げたくらいだろうか。
「ありがとう、また女神レベルが上がったわ!」
「そうかー、よかった! 何ができるようになったんだい?」
「ええと……神域の展開ができるようになって、こことは別に出張所? みたいな形で……限られた場にはなるけど他の人と交流できるようになったわ」
「んん?」
ハナの言葉を理解しかねてヨシヤは首を傾げた。
彼女もまた上手く説明できないらしく困ったように首を傾げているが、そんなハナがカワイイとヨシヤは思っているのだから愛妻家ここに極まれりである。
「そのあたりはお茶でも飲みながら説明を……ねえ、それなに?」
「え?」
茶を用意してあるのだと言うハナはそこでヨシヤの後ろにいる蟻たちの、持っている繭にようやく気付いたようだった。
ヨシヤもそれを見て苦い表情になるが、まあ仕方ない。
「よくわかんないんだ」
「よくわからない」
そんなもの持って帰ってくるなという話ではあるが、あの状況で放置して自分だけ帰宅するなどヨシヤのようなお人好しにできるはずもない。
とはいえ、万が一危険物、危険生物、危険人物……など可能性はあるものの、それでも彼だって別段考えなしに持ち帰ったわけではないのだ。
ここはハナの神域である。
ゆえに、彼女が望まないものであればそれ相応の対処が出来るはずであるし、同時にここはヨシヤにとってもホームなのだ。
物量にものを言わせた蟻と蜂の軍勢、さらにはコカトリスレディーたちと万全の体制である。これに勝てる布陣があるか? とりあえずヨシヤは知らない。
「……蜘蛛の糸で巻かれているだけみたいなら、切ったらいいのかしら」
とりあえず家の中に入れる気はないらしいハナの発言に、蟻たちが顔を見合わせて一匹が顎をシャキシャキ言わせながら繭に近づいた。
不穏な気配を察したのか、或いは目が覚めてパニックに陥ったのか、それまで大人しかった繭がびちびちと動き始めてヨシヤが大きく後ずさる。
「うわぁ」
うわあ。
繰り返すヨシヤを守るように蟻たちが前に出て、繭を囲み――そして、ハサミが入れられる。ハサミではなく、蟻の強固な顎だけれども。
かくして、繭の中から現れたのは人間サイズの何かだ、
蟻たちに囲まれているせいでその姿はヨシヤたちにはすぐに判別できなかったが、それもすぐにわかった。
ゆっくりと、敵意がないと手を挙げるようにして立ち上がったその姿は――頭が山羊で、足も山羊。手と体は人間という、半人半獣なのであった。




