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妻が女神になりまして!?~異世界転移から始まる、なんちゃってスローライフ~  作者: 玉響なつめ
第四章 ニューアイテム、これで大丈夫!?

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 かくして。

 ヨシヤは怪しげな……もとい、愛妻お手製の仮面を持って、再び領主の館に訪れていた。


『私も女神としてレベルアップしているから、装飾品に加護を付けて能力アップを図ることができるようになったのよ!』


 そう、ハナはヨシヤに対して語ってくれたのだ。


 なんでも、この仮面を装備中は身体能力が相当数向上し装備者の意識によりオン・オフができるステルス機能、一定数の物理攻撃を弾くシールドを備えているらしい。

 なんだそのチートアイテムと思ったが、今できる範囲内の全てを込めて作ったのだとハナは言っていた。


『だって、私のために……ヨシヤさんに、怪我も、無理もしてほしくなくて……』


 照れながらそんなことをいう妻、本当に尊い。

 そんなことを言われたら、ちょっと微妙な造形がなんだっていうんだ。

 これだって味わいだ、そう、妻の愛情を受け取らずして夫を名乗るなどできない!

 全てはそこに帰結したのである。


 それに、仮面にしたことにはハナなりに理由があったのだ。

 説明を受けたヨシヤもなるほどと納得するほどの、理由が。

 

 一つは、ヨシヤの顔がバレることを避けるためである。

 すでにナタリーたちによって一部の富裕層からは『女神ブロッサム様の使い』として認知されているヨシヤではあるが、それでも彼らの中では『商人』として位置づけられている。

 だが領主にその存在をはっきりと『神の言葉を明確に伝える』存在であると知られた時に、彼の価値はまた変わるだろう。


 要は、ミッションそのものをクリアすればいいのであって、そこにヨシヤの身バレは必要ないのだ。ならばハナとしては夫の身の安全を確保したい。

 勿論、万が一ヨシヤが領主に捕まって軟禁されれば彼女は彼女の権限を持ってあっちゃんとエイトに対して夫を救出してくるよう、その際の被害は無視して命ずるだろう。


 ヨシヤがそういうことを望まないと知っている、ハナなりに考慮した結果が『顔を隠す』事に繋がったのだ。

 ある意味、領主陣営はハナの慈悲によって救われたと言えなくもない状況である。


 そしてもう一つ。


(ハナが、あんなくだらない話を覚えていてくれるなんてなあ……)


 そう、その理由は仮面のモチーフにあった。

 特撮ヒーロー、それは幼い子供がテレビで見て憧れる存在である。

 幼少期から穏やかな性格で争いごとを嫌うタイプであったヨシヤも、ヒーローには憧れたものである。特に、そのヒーローに。

 そんなことを妻に話したこともあったなあ、なんて思いながらヨシヤは仮面を撫でた。


『そのヒーローになれたらヨシヤさんも強くなれる、そうならないかなって……』


 次に作る時にはもっと上達するから。

 そんな風に健気な言葉をくれる妻のその想い遣りに、ヨシヤは感動したのである。


 確かに顔を隠し、この年齢で恥ずかしくもあるがヒーローを演じてしまえば勢いも相俟ってお告げ(・・・)を高らかに宣言して逃げ去ることだってできるかもしれないのだ。

 門兵を振り切るか、それとも隠蔽の能力を使って忍び込むか、その辺りはこれから手探りではあるが、仮面の能力についてヨシヤの中に疑念などない。


 だって妻は、彼にとって最高の女神なのだから。


(よっし……いくぞ!)


 とはいえ、さすがに町中で仮面を付けて歩く勇気はなかったので領主館の近くについてから、というのがヨシヤらしくもあるのだが。

 彼は意気込んで、妻お手製の仮面を装着する。


 その瞬間、ぶわりとなにか(・・・)が自分を包み込むのをヨシヤは感じ取った。

 これまでの生活で少し痩せて軽くなった気がする身体が、より軽い。

 加齢のせいですっかり痛んでしまった四十肩も今ならぐるんぐるんと大きく回せそうだ。


(これは……いける!!)


 ヨシヤは確信を胸に、それでも見つかりませんように……そう願ってそろりそろりと領主の館へと侵入する。

 どうやら隠蔽の能力も非常に有能で、多少は気配らしきものを感じるようだが兵士がヨシヤに気づく様子もない。


 仮面を付けた小太りのオッサンが歩み寄っても欠伸をしている様子に、ヨシヤは感動すら覚えた。


(うおおおおお……ハナ、すごい。すごいぞこれ……!!)


 問題は、領主がどこに居るかではあるが、かくしてヨシヤは領主の館に侵入することができたのであった。

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