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魔法と科学の国③

俺は今、剣や鎧が保管されている保管庫にきている。


「ここから好きな物を持っていくといい」


RPG系の王様は見習えと言いたいこの待遇。

だけど俺並の高校生程度の力しかないし、装備は身軽なものしか選べねぇよなぁ······


「ありがとうございます」


俺はそう言って保管庫の中を漁る。

いい感じの装備はー······これは······?

俺が手に取ったのは緑色のマント。


「それに目をつけるとは。なかなかいい目をしておるのぉ」


「はぁ······それで、これは?」


「そのマントは羽織っておくと傷が勝手に治っていくという物じゃ」


おお!ならこれは貰っておくか!


「じゃが擦り傷程度の傷を治すのに三日かかる」


「なんでだよ!」


普通のこういうのってさぁ?傷を負えばすぐに治って戦い続けることができるみたいなさぁ?そういうもんじゃないのぉ?


「どうやら使用者の魔力量によって変わるらしいんじゃが······」


んんん?それって時間だよな?治る時間が変わるんだよな?多ければ多いほど治るのが早いんだよな?


「······まぁ一応貰っておきます」


「おおそうか」


訊くのも面倒くさいし、勝手に解釈しておくとしよう。

さてさて次は······これは······?

俺が手にしたのは黒いハチマキ。


「おお、それは······」


「これは?」


「頭に巻いておくと、どんな攻撃にも耐えられるようになるという物じゃ」


おお!これもいいじゃないか!


「じゃが一度使えば消滅してしまうのじゃ」


「いやだからなんで!?」


きあいのハチマキかよ!でもあれは赤だったよな?ってそんな話はどうでもいい!

······どんな強敵が現れるかわからんし、保険で持っておくか······。


「一応、貰っておきます」


「持っておくといいじゃろう」


さっきからツッコミどころだらけのもんしかねぇな······。

まともなものはないものか······っとこれは······

俺が手にしたのは首飾り。


「それは持ち主の魔力量を上げ、なおかつ身軽になるというスグレモノじゃ」


かなり凄い·····が、今までのパターンからすると······。


「あの、欠点とかは?」


「特にそんな話は聞いたことはないのぉ」


マジか!?大当たり見つけたぜ!


「これ!持っていきます!」


「魔法を使うのであれば、魔力は重要じゃからな」


この調子でいい物が見つかるといいが······。

······しかし、ここには鎧とかの鉄製が多いな······。

よくさっきまでの物が見つけられたな······自分を褒めたい。

ん?これは······。

俺が手にしたのは少し重い木刀。

······なんであるんだ?


「それはなかなか見つからない貴重な物じゃ」


「へぇ、そうなんですか?」


「うむ。それにはある魔法が付与されておってな。それにより強力な物となっておる」


「その魔法とは?」


「ふむ、なんじゃったか······おお、そうじゃった。最上位破壊魔法『完全破壊(カマル)』と最上位生命魔法『完全治癒(ファエル)』じゃ」


「その二つはどんな魔法なんですか?」


「『完全破壊(カマル)』は対象を破壊し尽くすという魔法で、『完全治癒(ファエル)』は対象の傷を完全に癒すというものになっておる。付与という使い方で、それぞれ振るった相手に効果をもたらすものとなっておる」


なるほど。

つまりこれで殴った相手を壊すか治すかのどちらかができるということか!

なかなか使い勝手が良さそうだな······。


「ちなみになかなか面白い使い方があってのう」


「なんですか?それは」


「相手を破壊した直後に治癒するという拷問方法なのじゃが······」


「結構です!」


何を話そうとしているのだこのジジイは。

というか治した時に痛み消えねぇのかよ······。

まぁいいや、貰っとこう。


「とにかくこれは持っていきます」


「うむ、これからそれは役にたつじゃろう」


さてと、これくらいでいいだろうか。

これ以外は鎧とか重そうな物ばかりだし。

防御力より装備のスキルを重要視した方がいいというのはよく聞く話。

両立が一番いいのだが。


「これくらいにしておきます」


「そうか、一之瀬殿これから先、成長した時にまたここに来なさい。またここで装備を選んでもらうからのう」


「そうですか、ありがとうございます!」


俺は頭を下げてそう言う。

いつかはボロボロになるだろうし、それはありがたい話だ。


「では早速旅立つがよい。これが前金の二〇〇万オルだ。受け取るがよい」


レックスがそう言うと、鎧の人が保管庫に入ってきて、お金が入った袋を持ってきた。


「どうぞ」


鎧の中から男の声でそう聞こえる。


「ありがとうございます」


俺がそう言うと、鎧の男は頭を下げて保管庫から出ていく。


「これからは長い旅になるじゃろう。四人でやっとの思いで倒された魔王を一人で倒すというのは困難を極めるじゃろう。だが諦めず、前を向いて歩くのじゃ。一之瀬殿は、きっとそれができる人間じゃ」


「······わかりました。装備をもらったからといって不安は消えませんが······死なない限り、前に進みます」


「······それを聞いて安心したわい。兵に店が集まる場所まで送らせよう。そこで必要な物を揃えるといい」


「わかりました。何から何までありがとうございます」


「いいんじゃよ。世界の希望なのじゃからな」


レックスはそう言い、保管庫から出ていく。

よし、城から出ていろいろ揃えなきゃな。

俺がそう思いながら保管庫から出ると、聞き覚えのある声の鎧の男が声をかけてきた。


「数時間ぶりだな。調子はどうだ」


「ああ、まあまあですかね」


「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はジークだ。街の案内を頼まれた。よろしく頼む」


「俺は一之瀬統哉です。よろしくお願いします」


「それでは行くぞ」


「はい」


俺は鎧の男改めジークについていく。

この男、話し方は堅苦しいが、話してみるとなかなか楽しい。

プライベートで会うことがあれば遊びにでも行きたいものだ。

······まぁこれから冒険に出るんだけどネ!

っと、いつの間にか城の出口か。

話に集中しすぎて気づかなかった。


「さて、ここからは街に行くわけだが······」


「だが······?」


「······特にない」


「いやないのかよ!」


もったいぶった言い方するから何かあるのかと······。

まぁ何もないならなんでもいいや。


「そういえば、買っておいた方がいいものとかありますか?」


「そうだな······まずは荷物を入れる袋、それに食料、薬草に魔力回復用のポーション、金が残れば往く先々での宿代にすればいい」


なるほどな、確かに食料は重要だ。

この中で一番重要といえるだろう。


「わかりました」


「しかし多すぎては移動に困る。そのため目的地までに最低限必要な分だけ買っておいた方が良い」


確かにそれもそうだ。

それに傷んでしまったら買った意味がない。


「こっちに行き付けの店がある。紹介しておこう」


「ありがとうございます」


俺は歩きだしたジークについていく。

行き付けと言っていたが、なんの店なのか。

食料?薬草?ポーション?袋?それとも全部売ってる雑貨屋的な?

そんなことを考えていると、ジークは立ち止まって言う。


「ここが言っていた店だ。さっき言っていた物が全て売っている」


あっ、まさかの正解でしたか。


「今日中に立つのだろう?早く買っておくぞ」


「は、はい」


店に入ったジークに続いて俺も店に入る。


───────────────────────


目的の物は全て揃った。

まずは薬草、すり潰して傷に塗って使うらしい。

次にポーション、これは飲めばいいらしいが······あまり飲みたいと思える色ではない。

最後に食料、これは洗えばそのまま食べられる果物だ。

袋はそれぞれ薬草用、ポーション用、そして二つよりも大きめの食料用の袋。

こんなものでいいだろうとジークも言っていたので、残りは宿代と食料代だ。


「この街の出口はわかるか?」


店から出て、ジークはそう言う。


「もちろんです」


「そうか······では、息災でな。いつかまた、生きて会おう」


「はい!その時は一緒に遊びにでも行きましょう!」


「ふっ、考えておこう」


ジークはそう言うと、城の方に帰っていった。

······よし、ここから俺の冒険が始まるぜ!

俺はそう思いながら、街の出口に向かった。

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