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魔法と科学の国①

俺が周りを見ていると、何故か道行く人達にジロジロ見られているような感じがする。

何か変なところでもあるのだろうか、と思いながら俺は自分の服装を見る。


「えっ」


なんと服装がガラリと変わっていた。

普通のTシャツとジーパンだったのが、今はゲームでよく見る【皮のよろい】というようなものだった。

周りの人を見てみると、スーツ姿の人やガッチガチの鉄っぽい鎧を着用している人がいる。

そんな中では、自分の着ているものは浮いているだろう。

俺はそう思い、一旦その場から離れることにした。

······のだが、さっき言ったガッチガチの鉄っぽい鎧を着用した人達が俺を囲んだ。


「え、えと······えー······、なんでしょうか······?」


俺は恐る恐る訊く。


「そのような装備、見たこともないぞ。どこで手に入れた」


鎧の人が男の声でそんなことを言った。

中の人は男だろう。


「なんというか······さっき手に入れたというかー······最初から持ってたと言うか······」


俺がそう答えると、話していた鎧の男が他の鎧の人達を見る。

見られた鎧の人達が頷くと、鎧の男は俺を見る。


「身分を証明出来るものはあるか」


「え、えーっと、少し待ってください」


俺はそう言い、ズボンのポケットに手を突っ込む。

すると何かカードのようなものがあった。

俺はそれをポケットから取り出し、鎧の男に渡す。


「これでいいですかね?」


「ふむ······なっ!どうなっているのだこれは!」


鎧の男が俺に向かって大声でそう言う。


「な、何か変なところでも······?」


「変も何もあるか!なんだこの表記は!巫山戯ているのか!?」


そう言って見せられたのは、生年月日だった。

そこには二〇〇四年四月二四日と書かれていた。

······?どこかおかしいところでもあるのか······?


「二〇〇四年など······!一〇〇〇年も前ではないか!」


「え?······あっ」


それを聞き、俺は思い出した。

俺は転生前に4日ほど待たされた。

そしてその間に一〇〇〇年経っていたのだと。


「あー······一応巫山戯てはないです······多分······」


俺がそう答えるが、鎧の男は納得しないのか、腰に付けていた鞘から剣を抜く。


「これ以上巫山戯るのなら斬る!」


「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ!俺は本当に巫山戯てなんていませんよ!」


『これも全部神とか言ってたやつの所為なんだ』と言っても『それは本当かい?!』とはならなさそうだ。


「殺すのだけは······!それだけはやめてくれませんか······?」


俺は頭を下げてそう言う。

すると、鎧の男は剣を鞘に収めた。


「······そこまで言われたら斬ることも出来ん。城の牢に連行するぞ」


「城?」


俺がそう漏らすと、鎧の男は俺の両手を縄で縛りながら言う。


「知らないのか?この国では昔からの風習として、かなり怪しい者は城の牢に収監し、王と面会するのだ」


······それって大丈夫なのか?それで王に危険が迫ったこととかないの?


「ちなみに、怪しいと収監された者のほとんどがある職業に就き、国の平和に貢献している」


俺の疑問を読んでいたかのようにそう言う。

今までにも俺と似たようなことを思って訊いた人がいたのだろうか。


「にしても······よく見てみれば、その装備は博物館に展示されている物に似ているな」


「そうなんですか?」


「ああ、博物館の方はボロボロだがな」


鎧の男はそう言いながら俺の手を縛っている縄を引っ張っていかにも城という感じの建物に連れていく。


「一つ気になったんですが······この国がこうなる前はどんな所だったんですか?例えば一〇〇〇年前とか······」


俺は一〇〇〇年の間に何があったのか気になり、鎧の男にそう訊く。


「ふむ、そうだな······伝承によれば、魔王とやらがいたらしい。それを伝説の五人の勇者······王によれば四人だったらしいが、そやつらが魔王を殺したということだ。それからは勇者達が科学を広め、一〇〇〇年かけてこのような国になったということらしい」


なるほど······四人の勇者が今の技術を広めたということはそいつらも俺と同じ······。

······ちょっと待て、伝説の五人の勇者ぁ?

でも王は四人って言ってるんだろ?

もしかして五人目だけ転生出来なかったとか?

······もしかして、五人目俺じゃね?

······いや、この考えは捨てた方がいいな。

自称神が剣術と魔法の適性は全部上げとくとか言ってたが、確認の方法がない。

そもそもあいつが胡散臭い。

あれだけ言って放置したやつの言うことなんて信じられるか。


「ま、それも王と博物館の館長の話でしかないがな」


いかにも国の歴史に詳しそうな二人だが、信用しきるのは無理だ。

歴史がちゃんと後世に伝わることなんてないし、どこかでねじ曲がっているのは確実だろう。

五人の勇者の所とか、ねじ曲がった部分の一つだろう。


「他に当時のことを記録した物はないんですか?」


「どうだったか······そういえば魔法があったな」


「魔法、ですか?」


「ああ、今でこそ日常生活で使える最初級魔法しか使われないが、昔は戦闘用の魔法があったらしい」


魔法が完全に消滅した訳ではないのか。

形を変えて存在してる、とは少し違うが、似たようなものか。


「今はその最初級魔法以外にはないんですか?」


「いや、城にいる王直属の魔術師団には中級魔法が使える者がいる。一応戦闘用だが、複数人で一度使えるかどうかというものらしい」


なるほど、だから実質ないようなものと······。


「でもこんなに発展している国なのに、どうして魔法は消えなかったんですか?」


それが気になることだ。

科学だって凄すぎるものは魔法と呼べる、とはよく聞く話だ。

そんな中、何故本物の魔法は消えずに今も残っているのだろうか。


「わからん。これ関しては、誰に訊いても同じだろうな」


大方、王族とかそこらが魔法を絶やさないようにしてるんだろうな。


「少し話をしすぎたか。城に着いたぞ」


目の前にあったのは、とても大きな門。

鎧の男が「開けろ!」と言うと、門が開かれる。


「牢まで連れていく」


鎧の男はそう言い、縄を引っ張って中に入る。

······俺、何を訊かれるんだろうか······。

所々変な部分があると思います。

すみません。

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