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鉱石を求めて①

「·······て·····起き······よ·······」


「コッケコォォォォォ!」


俺が目を覚ました直後、ぼんやりとした意識の中でそんな声が聞こえた。

······それと何故かニワトリの鳴き声。


「······おはよう」


「やっと起きた?なんで椅子で寝てるの······」


「ああ、すまん······眠れなかったんだ」


少し不満げな顔で言うアンリに俺はそう返す。


「むぅ······じゃあなんで出かけてたの?」


「ギクッ」


おっとついくちに出してしまった。

いやいやそれよりも、なんで知ってんの?


「なんで知って······」


「小さい声で『行ってきまーす』って言ってたでしょ?」


あれ聞こえてんの!?

というか起きてたの?寝起きで地獄耳なの?


「······もういいや、早く街に行こうよ!もう一〇時だよ!」


「······え?」


「さっきそれを告げる音が鳴ったでしょ?」


一〇時を告げる音?まさかさっき聞こえたニワトリの鳴き声か?


「この街特有の時間を告げる方法なんだって。それでさっきの音は一〇時を告げているんだ」


なんでニワトリ?ニワトリといえば朝のイメージあるんだが······。

まぁこうなってるのも大抵勇者とやらの仕業だろう。

勇者達がどこの国の出身か知らないが、ニワトリが一〇時の音というのにも何か元ネタがあるのかもしれんな。

······調べる気はしないけど······。


「へぇ······結構寝てたんだな、俺」


「死んだように寝てたから最初は驚いたよ」


そんなに俺の眠りは深くないと思ってたんだが······そんなこともなかったようだな。


「そうか、とりあえず着替えるからちょっと部屋から出てくれ」


「はいはーい。終わったら呼んでねー」


「おう」


アンリが外に出ると、服を脱ぎ、別の服を着ていつも着ている装備に着替える。

軽い装備しかないから着替えはらくらくだ。


「終わったぞ」


「よし!なら今日は──」


「おっとまて、一度鉱石店によるぞ」


「なんでなの?」


「店員さんは言っていた。次の入荷予定は未定だと。だから既に入荷されている可能性はある」


望み薄だが、と最後に付け加える。

まあ確実に入荷されてないだろうが、念の為だ。


「うーん、それはないと思うよ?」


「どうしてそう言えるんだ?」


「だってさっき放送で鉱山に魔物が大量に出現したって──」


「なんだって!?」


俺はつい大きな声でそう言う。

おいおい嘘だろ······。

魔物とか森でも全然見ないのに街とか村の近くでしか見ないな······。

というか武器を作るにはあの鉱石を絶対に手に入れておきたい。

······よし!決めた!


「行くぞ、アンリ!俺達で魔物を潰す!」


「潰すって······追い払うじゃなくて?」


「追い払ったってどうせ戻ってくるだろ」


「にしても言い方考えてよ······」


確かに潰すは少し不適切かもしれない。


「なら退治だ!」


「それならいいよ!······私戦えないけど······」


そういえばそうだった······。

まぁ女に戦わせる訳にはいかねぇな。

だってアンリが活躍したら俺いらねぇもんな!


「大丈夫だ。着いてきてくれるだけでいい」


「なら、そうする」


よし、じゃあ早速行こう!


───────────────────────


「ハアッ!」


木刀に魔力を流し、狼のような見た目をした魔物を殴る。

すると魔法が発動し、その魔物は跡形も残さず爆発した。


「これで一六体目······オラァッ!」


後ろから近づいてきていた魔物に先程と同じように殴る。


「ハァ······ハァ······一七ァ!」


「トウヤ!大丈夫!?」


「·······はぁ······まだ大丈夫だ!」


俺はポーションを飲んでそう言う。

どうにか許可をとって鉱山に入ったが、魔物が多すぎた。

これで半分終わったところだ。

しかも厄介なのが、明らかにボスっぽいやつがいることだ。

そいつはほかのやつに比べて体格もデカかったし、短い角と長い角が一本づつ生えていた。

そいつは俺を見て吠えた後、すぐに坑道の奥に進んでいった。

俺達は追いかけようとしたが、それを今対処している魔物に襲われた。


「ふぅ······一旦落ち着いたみたいだな······」


「本当に大丈夫?」


「全然問題ない。一度も攻撃くらってないからな」


なんというか身体が勝手に動くというか······。

戦ってる時だけそんな感覚になる。

これもあの自称神の仕業だろう。


「ならいいけど······そういえば、ベロフォルツはあのおっきいやつが行った方にあるんだよね······」


「らしいな······」


あの魔物、ほかの奴らと違って知性を感じる。

しっかりと自分で考え、俺の行動を読んでいるように見える。

じゃなければ出会った瞬間に襲ってくるだろう。


「休憩している暇もないな······さっさと行くぞ」


「うん······」


そう言い、俺達はさらに奥に進んでいく。

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