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「お前の嫁ぎ先が決まった」

「……は?」

父の言葉に思わずぱちぱちと瞬きをする。私こと、リミカ・ブラウンは、前世の記憶があることを除けばいたって普通のブラウン伯爵家の末娘だ。だからいずれは、そんな話もでるとおもっていたけれど。


 オッケー了解、と納得するにはあまりにも唐突すぎていた。


 「相手は公爵だ。無礼な真似は許されない」

公爵!? いや。私が聞きたいのは、そんなことではなく。いや、それも気になるけど!

「お父様、私、準備のひとつも──」

「必要なものは全てあちらで準備するから、身一つでこいとのお達しだ」

「……そうですか」


 しかし、そんなに今すぐ来てほしいなんて、よほど私のことが好きなのね! なーんて、舞い上がれるほどできた頭をもっていない。何か理由があるはずだ。


 「それで私が嫁ぐ、公爵閣下のお名前は?」

「チェスター・ロペス公爵だ」

「……え」


 思わず口をぽかんと開けてしまって、慌てて手で押さえる。ロペス公爵といえば、超がつくほどの女嫌いで有名だ。もっというと、社交も嫌い。お顔は大変麗しいらしいけれど、そのお姿をみた女性は少ないのだとかなんとか。


 そんな女嫌いな公爵が、なぜ、私を?


 「先方は、いますぐにでも、とお前をお望みだ。わかったら、馬車にのりなさい」

「お父様、私っ、」


 いくらなんでも急すぎる。と涙をうかべる私を父は馬車に押し込むと、にっこりと笑った。

「お前は、私とアリーナの娘だ。必ず、幸せになれるさ。その得意な嘘泣きをつかって、ロペス公爵を落としなさい」



 いやいやいや、全く幸せになれる気がしないんですけどー!?!?!?


 私の叫びも虚しく、馬車は伯爵家から出発した。

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