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第八話・これから先のこと

 夜は星空がすごく綺麗に見えた。火も焚かないから余計に明るくくっきりと見える。見える星々は、元いた世界とはちょっと違うようだ。


 私たち三人は、夕食を終え、馬にも水を飲ませ、後は寝るだけという状態で座っていた。

 座っていた……というか、ヴァイスは私の膝にごろんと横になり頭を撫でられていて、反対側にコノエがピッタリくっついて座っている。

 またしても体がガチガチの私。旅の疲れじゃなくて、緊張から来る硬直で体が痛くなりそう……。


「あのさ、ルカ」ヴァイスが膝の上から話しかけてくる。

「うん? なあに」

「明日の夕方にはビラタに着くよ。俺たちはそこまでしか一緒に行けないんだ。ルカはそこからどうするつもりなの?」

「どうって……」


 そもそも犬王国に行くべきと言い出した当の本人、コノエをちらっと見る。コノエがそれに気付いて口を開いた。


「ビラタから、犬王国の街まで乗り合いの馬車が出ている。必要な金は用意したから、それに乗って国境を越えろ。そしたら信用できる犬種属を見つけてらニンゲンだと話せば、力になってくれるはずだ」


 そこまで考えてくれてたんだ。私は胸がじーんとして、コノエの肩に頭を乗せた。


「何から何まで、本当にありがとう。私が犬王国に行って、落ち着いて暮らせて、お金も稼げるようになったら、必ず返しに来るからね。戦争が起こらず、また会えるように、私ができることを頑張ってみる」


 お前は女神に選ばれたニンゲンだからきっとできるな、とコノエが囁いてくれた。そんな私の膝の上でヴァイスはぐりぐり頭をこすりつけてくる。


「本当にそんな上手く行くのかなー、兄ちゃん、俺心配だよ。こいつどんくさいし。犬どもがこいつのことちゃんと面倒見るのか、悪いやつに騙されないか……」


 少年ヴァイスのくせに、私のこと保護者みたいに心配してくれてるんだ。嬉しくて涙が出そう。

 私はヴァイスの頭をくしゃくしゃにかき回らして、最後にぎゅっと抱きしめた。むぐー! と腕の中で声がする。


「ありがとね、ヴァイス。きっと大丈夫だよ」


本当は大丈夫だなんて思ってない。

 二人から離れて一人ぼっちになるのは怖い。せっかく知り合えた二人と離れてまた何も知らない世界に放り出されるのかと思うと、不安しかない。




 その夜、またしても左右を二人に囲まれて寝たけど、明日からのことを考えると不安だったから、二人の温もりは心地良かった。

 眠れないまま時間が過ぎていく。寝息を立てているヴァイスの耳を撫でながら、離れたら、次はいつ会えるかも分からない世界なのに……と思うと、涙が自然とこぼれた。

「ルカ」

 コノエが小さな声で私を呼ぶので、彼の方を振り向く。目の前に彼の顔があって、おもむろに、私の涙をコノエが舐めた。


 そういえば、昔、家族と大げんかして泣いていたら、猫がそばに来て、そっと涙を舐めてくれたことがあったっけ。その時すごく嬉しかった。猫は人の痛みが分かるんだって感じて驚いたし、深く繋がってるんだってことを感じられた。


「守れなくて悪いと思ってる。一人にして悪いとも。もしもう会えなくても、俺は、お前が安全で元気でいてくれる方がいいんだ」


 分かってる。コノエの気持ちは、出会った時からずっと、私のことを一番に考えてくれていた。

 とっても優しい人。人じゃないけど。涙が止まらなくなって、私はヴァイスから手を離してコノエの方を向いて丸くなる。コノエは私を両手でしっかり抱きしめてくれた。彼のふさふさの尻尾が私に寄り添ってくれて、温かくて心地良い。

 二人に出会えて本当に良かった。そう思いながら、私はコノエに抱きしめられたまま眠りに落ちた。

必死に書き進めております。

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